セバット・ソング (潮文庫)

  • 潮出版社 (2022年11月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784267023682

作品紹介・あらすじ

 北海道・大沼湖畔に佇む2つの児童自立支援施設。そこではさまざまな事情で親元を離れた少年少女たちが、自立のために職員たちと一つ屋根の下で暮らしていた。
 施設を束ねる藤城遼平の娘・ゆきは札幌の病院で働く新人の理学療法士。偶然、父の教え子である同世代の摩耶が歌うYou Tubeを見たことから、摩耶そして同じく教え子である兄・拓弥の兄妹と出会い物語は動き始めていく……。
「非行児はずっと非行児」と、登場人物の一人は投げかける。人は変われるのか、傷を負った子供の心を大人は癒すことができるのか――。実在の児童自立支援施設を取材し、児童福祉を巡る現実とともに、愛を求めて傷つき、もがき、それでも生きていく若者たちの繊細な心情を描き上げた著者渾身の一作。待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 個人的には読みやすかった。
    ただこれは賛否どちらもあるのかもしれない。
    白鳥が集まり飛び立つセバット、実際に見てみたい。

    児童自立支援施設、存在は知っていたが実態は知らなかった。
    社会に出ても前科があると厳しく見られる人が多いことも知ってはいたが、どう見られるのかもなんとなくしか知らなかったが、
    自分は少なくともちゃんと立ち直っている人のその芽を摘むようなことをしたくはないなと感じさせられた。


    プライベートも犠牲にして働きたいという人は減っている今、どういう形態にするのがいいのか、確かに難しいところだろうなと思う。
    自分自身も高校の時は学生寮でほぼ住み込みの寮母さんにお世話になったこともあるため、利用者として助かるのはとてもわかるが、ずっとそのスタイルだと引き継ぐ人がいるのか…交代制でどれほど密度の高い経験ができるのか…いい塩梅ってどこだろうと考えてしまった。

  • 自動自立支援施設を題材にしていると聞いて読んでみることに。

    舞台である北海道の豊かな自然や凍てつく大地の伝わる描写がとても良かったです。自然描写の上手な作家さんだと思いました。

    主人公である施設の院長の人柄も背伸びせず、等身大で穏やかで
    豊かな大地と穏やかな大人の元で育ち直していく子どもたちの様子に触れられました。
    院長について「福祉の人」と表現されていましたが、同じく福祉に携わる者として自分自身もこのくらい余裕を持って子どもたちと共に福祉に生きていきたいなと思います。

    個人的に所々の文章の気持ち悪さが目立ってしまったのがBADポイントです。
    接続詞や脈絡に違和感を感じてしまう箇所がかなり多く、視点の切り替わりも曖昧です。
    スムーズに読み進めるのが厳しいレベルで違和感があり、とても残念でした。

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著者プロフィール

1962年北海道生まれ。北海道大学農学部卒。’90年『結婚しないかもしれない症候群』で鮮烈なデビュー後、’91年に処女小説『アクアリウムの鯨』を刊行する。自然、旅、性などの題材をモチーフに数々の長編・短編小説を執筆。紀行、エッセイ、訳書なども手掛ける。2003年『海猫』で第十回島清恋愛文学賞を受賞。

「2021年 『半逆光』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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