- 本 ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784267024146
作品紹介・あらすじ
昭和30年、映画監督を目指す主人公の五堂顕(ごどう・あきら)は太平洋映画の助監督試験に落ちてしまう。だが、諦めきれずアルバイトを探しに来た撮影所で小火(ぼや)を消し止めたことから、照明部にスカウトされる。照明部のいちばん下の見習いからスタートした顕は、失敗を繰り返しながら現場で経験を積むうちに照明の魅力に引き込まれていく。まじめだが臨機応変で勉強熱心な顕は、徐々に監督や他のスタッフたちに好かれ、照明技師としての腕を上げていった。活気があり、エネルギーに満ち溢れていた映画の世界は、まさに娯楽の王様だった。
しかし、映画の栄光は長くは続かなかった。「電気紙芝居」とバカにされていたテレビがカラー放送を開始し、東京オリンピックで爆発的に売れたのだ。映画会社の衰退は著しく、スタッフたちは事実上解雇されてしまう。顕は、照明技師たちは、映画界はこの先どうなってしまうのか──。
もう一人の主役ともいえる女優の衣笠糸路(きぬがさ・いとじ)や初の女性脚本家、監督や俳優など、誰がモデルになっているのかを想像しながら読むのも楽しい。
ただならぬオーラを放つ俳優、そして名監督たちが綺羅星のごろく存在した時代。そして、刻々を移りゆく時代のなかで、それでも変わらない心揺さぶるもの、人が懸命に生きる姿を、松本清張賞受賞作家の著者が描く。
──本作は誰にでも楽しめる極上の娯楽小説だと思います。読めば元気が湧いてくる物語に仕上がっています。本作が映画化・ドラマ化された暁には、衣笠糸路の役は、ぜひ私に演らせてください! 糸路に魂を吹き込んでみせますので。(高島礼子/女優)
──「娯楽の王様」を支えた光当たらぬ技師たちの日々の研鑽と苦楽を照らし出し、映画スターが光り輝いていた時代の、明るく開放的な物語。(東えりか/書評家/「週刊現代」より)
感想・レビュー・書評
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プロローグ/光の描く世界/見えない壁/
カラー時代到来!/結ぶ想い/最高の照明/エピローグ
「映画会社の助監督試験」ってすごく狭き門なのですね。落ちてしまった顕くんはどうなっていくのでしょうか?
ひょんなことから照明部のアルバイトに雇われた彼の未来は明るいのか?
ドキドキハラハラしながらちょっと昔の映画の世界を覗き見る。とっても楽しい時間を過ごした ♪♡♡♪
初めて見た映画は… ゴジラだったか、宇宙物だったか…
白黒だったかカラーだったか… う~~ん大昔だなぁ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
安定の面白さ。後半一気に話が進んだが、もう一つエピソードを挟んでいるともっと良いな。
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語弊を恐れずいえば、幼い頃から志願して、裏方のライト・スタッフになる人は少ない。
だからこそ、そこに、スポットライトを当てることで、その仕事はどれだけ、やりがいのあるものかが引き立つ。その人生は、幸せに満ち、だから、人生は予測不能で、それはちょっとした偶然と、感情によって突き動かされて辿り着くものなのだと気づく。
また、監督と名のつく人の人物像が、生き抜くだけの太々しさもまたよし。。往年の女優、学生時代の友人の脚本家など、その道のプロとなって、煌々と輝く女性の姿も眩しい。いずれも、映画の栄枯と相まって、時代の流れを感じさせていて、興味深い。 -
山口恵以子先生、いつもとは違う世界を見せてくれてありがとう。
映画の世界ってそんな感じなのね。
中でも衣笠糸路の孫愛はバツグン。
あとがきにあるように、もし映画化されたら高島礼子さんが演じられるのかしら。
少し前に読んだ有川ひろさんの「イマジン」も同じような世界の話だったが、映像の裏側、知ってみると興味深い。 -
昔の映画にかけるみんなの熱い思いが伝わって来た。それにしてもいつの時代にも嫌な奴はいるのね( ;´Д`)#読了
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映画の裏側が分かって勉強になったし、さくさく読み進められた。おすすめしたい本。
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戦後間も無くからの映画黄金期を舞台に、偶然で照明技師となった青年の物語。映画好きなので元ネタを想像するのが楽しかったです。映画の斜陽〜テレビの台頭といった郷愁を描くのかと思ったら、現代の4K・8Kまでエピソードとして出てくるのも面白かった!
著者プロフィール
山口恵以子の作品





