小さな神たちの祭り (潮文庫)

  • 潮出版社 (2025年3月5日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784267024528

作品紹介・あらすじ

"3.11を忘れない──。そのような思いで東北放送60周年記念ドラマとして2019年に制作され、文化庁芸術祭テレビドラマ部門で優秀賞を受賞し、日本民間放送連盟賞優秀賞、国際エミー賞最終候補作ノミネートと、国内外で高い評価を得たTVドラマ作品『小さな神たちの祭り』。東日本大震災から10年の節目となる2021年3月に、同作の脚本を執筆した内館牧子氏自らの手によって、完全描き下ろしで小説化された作品が、ついに文庫として登場!

【物語のあらすじ】
宮城県南部の町、亘理(わたり)。イチゴ栽培が盛んな地域だ。谷川晃(たにがわ・あきら)はイチゴ農家の長男。しかし、家を継ぐ気はなく東京の大学に合格、晃は2011年3月11日、アパート探しなどのために上京していた。一緒に東京に行きたいとせがんだ弟を置いて──。その弟、両親、祖父母、そして飼い犬。晃を除く家族全員があの大震災での津波に呑まれてしまった……。
あの日から9年経った今でも、まだ家族の誰一人も見つかっていない。
大学を卒業後、一旦東京で就職するも挫折し、仙台で肉体労働をする晃には、東京や仙台の人々は、もう震災の事を忘れてしまっているように感じられる。仙台で知り合った恋人の岡本美結 (おかもと・みゆ)も同じ。しかし、美結の明るさに救われているのも事実だった。つき合って2年、二人とも結婚を意識する頃だったが、晃は家族のことを考えると、どうしても、 自分だけが幸せにはなれないと、結婚に踏み出せないでいた。そんな時、二人の前に一台のタクシーが現れる──。

2時間のドラマ作品では描かれなかった物語の一つ一つエピソードの詳細が、作者自らの手で鮮やか紡ぎ出されていく──。
巻末には、ドラマで主演(晃役)を務めた俳優・千葉雄大さんによる感動的な解説も掲載!!

みんなの感想まとめ

心の傷を抱えながらも前を向いて生きる主人公の物語が描かれています。東日本大震災で家族を失った晃は、震災当日、上京中で命を救われましたが、その後の人生は家族の喪失によって大きく揺らぎます。彼は東京や仙台...

感想・レビュー・書評

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  • 東日本大震災大震災で家族5人と1匹をなくした晃の物語です。大学進学のためちょうど晃が上京している時に震災は起こりました。心に残ったのは震災は何年が経つと歴史になるということ。そして、当事者たちいがいは直ぐに震災から立ち直って普通の生活をするようになることです。正直、いつまでも立ち直れないとせっかく生き残った意味がないと思います。でも、完全に忘れるという訳ではなくそのような事があったことをココロに刻んでしっかり前を向くことが大切なのかと思いました。最初に見たのが小説だったのでドラマも見てみたいです。

  • 東日本大震災から前を向いて立ち上がる話し。
    印象に残ったのは
    文庫版後書きに書いてあった二つの文章
    腹が立ってたまらなかった。それはテレビ番組で
    ふるさとをみんなで歌って締めたこと。
    実にあざとい。涙で締めたいのだと、私は思った。多くを失った人々の思い出に乗じることを、
    何とも思わないのか。それは品性の問題だろう。
    もう一つは
    生きている者は死んだら無になるのではなく、
    灰になるのではなく、どこかべつのところで生きている。目の前から消えたが、心配いらない。
    どこかで楽しくやっている。

  • "3.11を忘れない──。そのような思いで東北放送60周年記念ドラマとして2019年に制作され、文化庁芸術祭テレビドラマ部門で優秀賞を受賞し、日本民間放送連盟賞優秀賞、国際エミー賞最終候補作ノミネートと、国内外で高い評価を得たTVドラマ作品『小さな神たちの祭り』。東日本大震災から10年の節目となる2021年3月に、同作の脚本を執筆した内館牧子氏自らの手によって、完全描き下ろしで小説化された作品が、ついに文庫として登場!

    宮城県南部の町、亘理(わたり)。イチゴ栽培が盛んな地域だ。谷川晃(たにがわ・あきら)はイチゴ農家の長男。しかし、家を継ぐ気はなく東京の大学に合格、晃は2011年3月11日、アパート探しなどのために上京していた。一緒に東京に行きたいとせがんだ弟を置いて──。その弟、両親、祖父母、そして飼い犬。晃を除く家族全員があの大震災での津波に呑まれてしまった……。
    あの日から9年経った今でも、まだ家族の誰一人も見つかっていない。
    大学を卒業後、一旦東京で就職するも挫折し、仙台で肉体労働をする晃には、東京や仙台の人々は、もう震災の事を忘れてしまっているように感じられる。仙台で知り合った恋人の岡本美結 (おかもと・みゆ)も同じ。しかし、美結の明るさに救われているのも事実だった。つき合って2年、二人とも結婚を意識する頃だったが、晃は家族のことを考えると、どうしても、 自分だけが幸せにはなれないと、結婚に踏み出せないでいた。そんな時、二人の前に一台のタクシーが現れる──。

    2時間のドラマ作品では描かれなかった物語の一つ一つエピソードの詳細が、作者自らの手で鮮やか紡ぎ出されていく──。
    巻末には、ドラマで主演(晃役)を務めた俳優・千葉雄大さんによる感動的な解説も掲載!!

  • 舞台観劇にあたり予習。
    当時仙台におり、津波で家族を失ったり家に多大な被害を受けた同僚もいた。彼ら彼女らも晃や美結のように様々な想いを抱いて今を生きているんだろうと改めて想いを馳せながら読み進めた。

  • 内館牧子さん追悼シリーズ。
    これは、書店で購入。
    号泣です。

    エッセイを読むと、東北大学で宗教学を学んだ内館牧子さんは、日本の各地に神々の存在を感じた…というような事を書かれていたように記憶しています。
    それで、この本を手にしました。

    これは、小説ですが。
    東日本大震災をテーマに書かれた小説。
    東日本大震災をテーマにしたドラマの脚本を頼まれ、書いた物を、小説に書き下ろしたそうです。
    ドラマは、千葉雄大さんが主演。
    このドラマを見たいのですが…。


    震災の当日、東京の私立大学へ進学が決まっていた谷川晃は、友達とこれから住むアパートの契約へ東京に日帰りで出かけた。
    弟の航も一緒に行きたがったが、煩わしくて断った。
    契約を終え、友達と大学のキャンパスで昼ごはんを食べてい時に、震災。

    しばらくは、帰る事も出来ず、大学の寮で暮らした。東北への鉄道が開通して、実家へ帰るが、跡形も無くなった自宅。仮設住宅に住み、家族の遺骨を探し続けるが、見つからない。
    大学を辞めて、遺骨を探す覚悟をし、大学で退学届けを受取り、父の友人で保証人の伊藤玄次に印鑑をもらいに行く。玄次は、父の広太郎から預かった、通帳と印鑑を渡してくれた。晃が困ったら、親ではなく、玄次を頼ってくるから、この金を渡してくれと。玄次は、今は、皆、震災を思っているが、10年もしたら忘れてしまう。お前は、前を向いて、大学に通え、それが供養だと。晃は、退学すると伝えたが…4年後、大学を卒業。


    晃は、コピー機の営業マンになる。震災で被災し、家族全員を失ったことは、誰にも言わず。それで、同情されるのがイヤだったから。辛い思いを隠し、明るく振る舞っていた。
    しかし、コピー機は、全く注文を取る事が出来ず、3年で辞めて、仙台に戻る。

    仙台では、ウォーターサーバーの水タンクを届ける仕事に着く。そこで知り合った保育士の岡本美結には、家族を失った辛さを吐露する事ができ、付き合い支えてもらう。2人の付き合いが3年経っても、結婚の兆しが見えず、美結は、別れを切り出す。晃は、家族が死んだのに、自分だけ幸せになる事に罪悪感を持ったままなので。

    美結に別れを切り出された帰り道、教会の前で、タクシーをひろい、自宅へ帰ろうとする。
    そのタクシーは、祖父の行雄が運転していた。そして、暗いトンネルを抜けると、懐かしい亘理町の実家へ連れて行った。そこには、生きていたままの家族がいて、晩ごはんのカレーを食べ、晃にもすすめる。恐る恐るカレーを食べると、美味しい!
    そこは、死者の世界だった。家族はみんな元気に暮らしているから、晃も幸せになれと言われる。
    そして、また祖父のタクシーで、送られ、仙台の教会の前で降ろされる。

    翌日、美結は、晃にちゃんとお礼を言って別れるべきだったと反省し、再度、晃を呼び出す。
    晃は、死者の世界の話をするが、もちろん、信じてもらえない。喫茶店を出て、昨日の教会の前にいると、また、祖父のタクシーが来た。美結を無理矢理タクシーに乗せて、再度、死者の世界へ。

    晃と美結が、実家へ着くと、晃が彼女を連れて来たと皆んな大喜びで、近所の人たちも大勢やって来て、大宴会になる。小さな子どももいて、美結に遊ぼうとせがんで、遊んでもらう。
    みんな、ここは死者の世界と認識していて、生きている人たちの事は、なんでも知っていた。
    自分たちは、死んでもここで楽しく暮らしているから、生きている人もクヨクヨしないで、楽しんでと。
    ここの子ども達は、お祭りが無いのだけが淋しいと。晃は、お祭りを開催する事に。子ども御輿を作って、灯籠流しをしようと提案。夢中でみんなで作る。

    出来上がって、御輿を担いで、灯籠を流しに出かけようとしたところで、祖父のタクシーが迎えに来た。

    現世に戻り…晃と美結は、新たな出発を…。


    なんでしょうね。
    感情移入して、一気に読んでしまいました。

  • 東日本大震災で家族を失った青年の物語。
    青年の後悔だったり、やるせなさだったり…
    心が痛かった。
    自分を許すことができず、ずっと後悔の海を漂っているように見えて、この人が自分を許せる時はくるんだろうか…と思いつつ読んだ。
    前に一歩踏み出せた姿には思わずホロリ。
    これが本当であって欲しいと思わずにはいられないファンタジーだった。

    遺された家族の思いは想像するだけで…というか想像を絶するものがある。
    想像して、簡単に共感することすら失礼なのではないかと思ってしまう。
    私にできることはやっぱり忘れずにいること。
    時に思いだし、思いを馳せること。
    それだけかもしれない。

  • 一気読みした本

    ドラマから小説に書き起こした本は初めて読んだ
    内館牧子の小説も初めてだ
    すごく読みやすくて読後感もいい
    たくさん泣いた
    読んでよかった

    作者があとがきの冒頭で書いている
    「東日本大震災で亡くなった方々は、実はどこかで生きているのではないか」という想いがこの小説の内容に繋がっている
    ネタバレになるので詳しくは書かないけど
    震災で辛い経験をした主人公がそういった体験を経て心が救われ、再生への道を進み始めることができた
    心温まるお話でした

    登場人物の女性がレストランで言った言葉が
    胸に響いたし、かっこいいと思った
    「こちらのお客様、3.11で死んだ人は死に損というような言い方をされたんです。それで死に損の人たちは五千か六千か、もっとかって。死んだのは一人一人なのに、よくまとめられますよね。それに『生きてる者勝ち』とか言って盛り上がっているんですから、誰だって怒りますよ。」
    「被災地の人間として、恥を知りなさい。」

    被災者でない自分はなんて言っていいかわからない時があるけれど、被災された方々が、この小説で少しでも心が穏やかになればいいなと思う

  • 第一章から泣いてしまった。真ん中あたりで泣きかけて、最後でやっぱり泣いた。今の生活は当たり前じゃないし、いろいろあるけど今の自分は幸せなんだなって気付きました。
    さみしかったけど最後は気持ちが楽になれる結末で良かったです。
    「小さな神たち」ってそういうことかー!!

  • はじめに2011年3月11日の出来事から始まった段階でやばいなと思い、やはり泣いた。
    第4章がやばい。

  • 本当にこうだったらいいな、亡くなった方が向こうで楽しく暮らしているといいな、と思う。

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著者プロフィール

1948年秋田市生まれの東京育ち。武蔵野美術大学卒業。1988年脚本家としてデビュー。テレビドラマの脚本に「ひらり」(1993年第1回橋田壽賀子賞)、「毛利元就」(1997年NHK大河ドラマ)、「塀の中の中学校」(2011年第51回モンテカルロテレビ祭テレビフィルム部門最優秀作品賞およびモナコ赤十字賞)、「小さな神たちの祭り」(2021年アジアテレビジョンアワード最優秀作品賞)など多数。1995年には日本作詩大賞(唄:小林旭/腕に虹だけ)に入賞するなど幅広く活躍し、著書に映画化された小説『終わった人』や『すぐ死ぬんだから』『老害の人』、エッセイ『別れてよかった』など多数がある。元横綱審議委員で、2003年に大相撲研究のため東北大学大学院入学、2006年修了。その後も研究を続けている。2019年、旭日双光章受章。

「2023年 『今度生まれたら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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