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- / ISBN・EAN: 9784267890024
感想・レビュー・書評
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きめ細かく編み込まれた上質の織物のような丁寧な展開構造の中に、現代にも通じる社会問題が鋭くも無理なく盛り込まれた、言わずと知れた名作。
エンターテイメントとして優れているだけは終わらせなかった手塚治虫の技量に感心せずにはいられない。
仏教を開いたブッダの80年ほどの人生を主軸とした100年程の時間の中で、ブッダが直面した苦しみや悲しみ、そして彼が迷いながらもようやくたどり着いた悟りの境地はもちろんのこと。
彼が出会う様々な人物の人生を絡ませながら、宗教の不確かさや限界、人が集うことで始まる組織化の苦労、腐敗や権力をめぐる争い、宗教では救われない人もいるといった負の側面まで、余すことなく描かれています。
個人的に特に印象に残ったのは、ブッダが生まれるかなり前から物語をスタートさせてカースト制による身分制度に苦しんだ下層の人々の苦しみを描いた後に、彼らに想いを寄せるブッダを描いた骨組み。
これにより、ブッダ一人の生を追うだけでなく、多くの人生が絡まり合って物語が展開していく多重層的なつくりとなっており、人生の岐路や機微が感じられ、物語に深みを与えています。
名作とされるものは読むべきものだなあ、という思いを改めて起こさせてくれた作品です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
実家を整理していたら出てきたので持って帰って読んだ。読み始めて、イメージしてたのと全然違ったので驚き。さすが手塚、としか言いようのない、衆生を救うために苦しみぬく人間ブッダの生涯を描き切った大作。いやー、面白かった。
あとがきで手塚が書いているが、ブッダにまつわるキャラクターやエピソードはほとんど手塚の創作。もちろん、そうでない人(ダイバダッダやアナンダ)もいるけれど、エピソードはほぼ手塚の想像力の賜物。ブッダに惹かれ、振り回され、救われ、あるいは人生を狂わされる多彩な登場人物がこれまた魅力的で、読者はその誰かに惹きつけられ、共感するのではないか。
私がいちばん魅力的に感じたのは、やはりタッタ。ブッダの一番弟子を名乗りながらついに彼の教えを理解することができなかった男。しかし、彼の生涯の潔さと愚かさに手塚は「ふつうのひと」を集約させたのかもしれない。
コミックスサイズの新装版から省かれているエピソードがあるので、気になる人は読み比べてみるといいかも。
長い間「食わず嫌い」でいたけれども、間違いなく手塚の代表作の一つだと思います。 -
全巻を一気に読破しました。
手塚治虫さん、すごい!
手塚ブッダさんは、お母さんの脇の下から生まれたりとか、はじめの7歩で「天上天下唯我独尊♪」なんて言ったりしません(笑)
ブッダさんを最後まで「人間」として描いていたのが良かったです。
人は必ず死んでいくのに、なぜ生まれ、苦しまなければならないのか。
死ぬのは人だけじゃない。
カピバラだって、草だって、この世にあるものはみんな必ず死んでゆく。
読むたびに何かに気づくことができそうな、とても素晴らしいお話でした。
らじは『火の鳥』よりこっちのが好きだな! -
これは手元に置いて読み返したい。
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何度読んでも読書状況を「読み終わった」と完了形にしちゃいけないと感じてしまうほど、読めば読むほど「気づき」が生まれる作品だと思います。
慈悲の心…心がけようと思ってもなかなか難しいですね。 -
日本美術史の勉強をしようと思ったら、鎌倉時代まではほとんど仏像とか寺院ばかりが作品だ。水墨画とか浮世絵以前に、日本の仏教について理解しないといけないと思ったのです。
そこで仏教的知識を得るべく本を探すのですが、仏教解説本はいくらだってあるけれど、細かく説明されてもなんだか頭に入らない。
うーん、困ったなあと思ったところで、「ブッダ」があった!早速箱買いというわけです。
ブッダ一般的な知識をこの作品から学んで良いのかどうかわからないが、如何せん良くわかったし面白い。単なる伝記として出来事を連ねるわけではなく、ブッダ自身の人生の出来事において、悩み苦しんでいく心情が良く書かれており、十分に読者が共感し得ると思います。
なぜに宗教的な考え方や信仰が人間に芽生えるのか、割とすんなりと飲み込めました。仏教というとなんだか子難しい世界観を理解しなければ入門できないと思っていましたが、取っ付き易かったです。 -
図書館にあったので借りて読んでみたら、、、仏教に興味なかったのにこの漫画のおかげでブッダにのめり込むことができた。初心者には入りやすいストーリーで本当に面白かった。
手塚治虫の空想の割合もかなりあったのだが、そこがまた面白くて改めて手塚治虫は天才だな。と感じた。
何度でも読みたくなる。 -
借りて読んだのですが
手塚治虫ってすごい。
登場人物の中には復讐心を持ち続けて生きていく人が何人か出てきますが、それぞれが同じような結末を辿ることになる、それを繰り返し描いているところに絶望に近い悲しみがある。人は、理不尽に自分の大切な人を傷付けられることが1番許せないことだから。
ブッダがああいうブッダなので、対比でとても強い印象を受けました。 -
これは純粋なブッダの評伝ではない。そうではなく、むしろブッダという一個人を通じて生と死を問うことに主眼が置かれており、ウサギが自ら火の中に身を投じて僧に食べられるという「謎」を時間をかけて解いていく。その意味で、これは手塚治虫自身の死生観を自問自答した作品でもあるのだろうと思う。
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前々から読みたいと思っていて、ようやく手をつけた。忙しかったけれど2日で読破。
本当に面白かった。たくさんの人々が色んな悩みを持っていて、それぞれにいろんな想いを抱いて、色んな生き方で自分を生きている。その中には自分に当てはまるものもあるし、知人に当てはまることもある。たくさんのことを学ばせてもらった。
ブッダが数千年後まで伝わる教えを導き出せたのは、身分が上から下まできっちり区別されてしまっていた厳しい身分差社会の中に生まれて、外を知ろうとしたからなのかな。
沢山の人に出会って触れ合っていくこと、自分や他人を理解しようとすること、他人に自分の手を差し伸べること。支えること。私にとっても大事なことをしっとりと教えてくれる。
借り物だけど、いつか余裕が出来たら買って手元に置いてもう一度読み直したい。
著者プロフィール
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