明日は誰のものか イノベーションの最終解 (Harvard business school press)

  • ランダムハウス講談社
3.35
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本棚登録 : 335
レビュー : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (568ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270000717

作品紹介・あらすじ

クリステンセンが見通す、次なる破壊。『イノベーションのジレンマ』『イノベーションへの解』の著者による集大成。ビジネスのパラダイムシフトを的確に見抜く慧眼がここにある。

感想・レビュー・書評

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  • 「イノベーションのxxx」の集大成ともいえる本。内容は相変わらず難解であるが、「机上の空論」と思わせるような学者的発想でないのがよい。特に大企業のトップたちの、意思決定が何に依存しているかにまで言及していることは、単なる理論ではなく、まさに「知は、行いをもって知とする」を地で言っている感がある。とにかく読むべし。

  • 理論で説明のつかない特異なこと、説明のつく例外との違いをはっきりさせること

    書の中で多々使われていた言葉である「満足度過剰」。今の電化製品の多くに当てはまるものではないでしょうか。

    パソコンに代表されるように、電化製品の機能をフルに使いこなせる人など中々いません。パソコンならいざ知らず、掃除機一つとっても、何のために存在しているのか分からない機能がついていて、消費者がその機能についていけないものがたくさんあります。メーカ側が高付加価値製品と宣伝している光景が滑稽に見えて仕方がありません。企業のマーケティング調査で出てくるニーズは、総じて高機能商品を欲する「富裕層」からの声であり、消費者の大半を占める「中間層」の声ではないと思います。

    必要最低限の機能に絞った超低価格製品(パソコンで言えばネットブック)の思想が、他の電化製品にも波及しないものでしょうか。低価格製品と高価格商品との利益率の差を考えると無理があるかもしれません(得てして、高い物は利益率が高いので企業には好まれます)。

    機能で差がつかなければ、消費者は、もはや「値段」でしか購入の判断をしません。そうなると、企業の有するブランド価値があまり意味を成さなくなり、純粋な規模の経済の戦いになります。
     
    規模の経済での勝負において重要となるのが「集中と選択」です。しかし、やたらにリスクへッジを行い事業を分散する日本のメーカ(一部の企業では選択と集中が見られるようになりましたが)にとっては、とても勝負できるフィールドではないかもしれません。
     
    これからの電化製品には、プライベートブランドのように「メーカのラベルではなく小売のラベルが貼られる」時代がくるかもしれません。現に一部の家電量販店では小規模ながら実施していると所もあります。そうなった場合に、重要となるのは「モノづくりというすり合わせの技術」ではなく、「需要に即して必要な製品を作るマーケティング戦略」ではないでしょうか。そこは、既にモジュール化された世界であり、取り立ててさらなる工夫を図る必要がありません。また、消費者も、そういった特別な工夫を望んでいません。

    特許業界に携わる身にとっても、「技術の陳腐化が早いために今専門としている分野がいつ廃れてもおかしくない」という気概を持って、貪欲に新たな技術を吸収する術を身に着けなくてはなりません。それが唯一且つ確実な生き残り方ではないでしょうか。

  •  クリステンセン教授はイノベーション論では既に第一人者であるが、経営戦略論の大家・ポーター教授が学生だった頃の指導者でもある。ポーター教授がマクロな産業構造分析からミクロな経営戦略へと論を展開したのに対して、本書はミクロなイノベーション論をもとにマクロな産業動向を論じている。しかし、クリステンセン教授の論点がポーターの経営戦略論や過去の同種の著作と大きく異なるのは、ある一時点の静的な分析に留まらず、時間軸を伴う動的な分析が可能な点にある。
     本書はクリステンセン教授のイノベーションの理論が過去の事実の説明だけでなく、将来の変化の予測に対しても有効であることを示そうとした挑戦的な試みである。分析の対象としているのは米国の教育、航空、半導体、ヘルスケア、通信の5分野であるが、背景要因には米国特有の事情もあり、日本の読者にとってはやや難解な部分も多いかもしれない。ただし、いくつかの項目については本書で指摘された通りの変化や兆候が現れ始めており、理論の有効性を裏付けるものとなっている。
     本書は理論の解説にも一部、ページを割いているが、より詳細を学びたい人は代表作「イノベーションのジレンマ」「イノベーションの解」をお薦めする。

  • 『明日は誰のものか イノベーションの最終解』読了。★4つ(5点満点)
    http://www.amazon.co.jp/dp/4270000716/

    最近、にわかイノベーションオタクの私。
    「トルネード」「イノベーションの解」「イノベーションの普及」と続いて、こちらを読んでみました。
    内容的には、イノベーション理論演習、あるいは、イノベーション理論事例集という感じでしょうか。
    通信、教育、航空、半導体、ヘルスケア、国と、それぞれイノベーション理論を当てはめて、将来を予測しています。

    前2作ほどの衝撃はありませんが、全2作を読んでさらに、イノベーションの理論を染み込ませたい人向けでしょうか。
    3部作それぞれ、以下の様な感じです。
     イノベーションのジレンマ:最も衝撃受ける本
     イノベーションへの解:一番実践で使える本
     イノベーションの最終解:理論をしみこませるための本

    ◆めも
    基本的な3つの戦略
    1.既存の競業企業に勝る製品を開発し、それを武器にその競合企業が抱える最高の顧客を盗み取る
    2.低コストのビジネスモデルを生み出し、価格に敏感な顧客を狙ったローエンドの破壊を展開すること
    3.非消費者への売り込み


    意欲と能力

  • 自社の顧客の要求を満たそうと懸命になっている企業は、時間が経つにつれ、その顧客に対してサービス過剰になる。既存企業が抱えているなかでも最も控えめなローエンドの顧客をターゲットにする新規参入企業にチャンスをつくりだす。既存企業は金持ちマーケットにおける満足を満たすように、休むことなくイノベーションを投入していかなければならない。その間、新規参入企業は、既存企業の上得意客に迫っていく。 P102

    ボーイングは最も要求の厳しい大手航空会社を相手に、超大型航空機マーケットに君臨していた。挑むエアバスは200億円を超えるA380を開発。二社が競って航続距離何千マイル、座席数500以上もの豪華航空機の開発に巨額の投資した。
    一方、カナダのボンバルディアとブラジルのエンブレアが、規模の小さな地方航空会社をターゲットに、座席数は30、航続距離も東京から宮崎までしかない小型航空機で爆発的に成長している。
    Deltaなど大手航空会社が経営不振に陥る一方で好調なサウスウェストなどのリージョナルジェットをターゲットに、ボンバルディアは、座席数を50、100と徐々に増やし、ボーイングの顧客である大手航空会社の金持ちマーケットにじりじりと迫っている。
    一方で、ボーイングは大手航空会社を満足させる、超大型航空機の開発投資も、続けていかざるをえない。もし大手航空会社が好んで中型機のリージョナルジェットに移行しはじめたら、ボーイングは深刻な事態に陥る。小型航空機市場に本格的に参入しようとしても、ボーイングのコスト構造では、ボンバルディア等に太刀打ちできない。
    ボンバルディアが毎年30%という爆発的な成長を続ける一方、ボーイングの成長は毎年5%の率で下落している。 P254

    破壊のイノベーションは、一般的に業界のリーダー企業に難題を突きつける。生き残るための軌跡に沿って、要求の厳しい金持ちマーケットのために開発投資を続けるのか、それとも破壊のイノベーションに投資するかの選択にせまられる。 この選択は難しい。 なぜなら、たとえ破壊のイノベーションが結果的には長期的な成長の原動力になることが多いとしても、既存事業を継続するための持続的イノベーションのほうが、はるかに成功率が高く、魅力的だからだ。 P474

  • 「イノベーションのジレンマ」第3弾? 分析する企業を現代のとして理論を更新しているが、根本の主張はこれまでと同じ。
    深みには欠けるが、手っ取り早くクリステンセンの理論を理解するならこの1冊だけでもいいかもしれない。

  • 英語版をそういえば読んでいた
    とはいえあまり覚えていなかったのでよかったかも

    インクリメンタルイノベーションとデストラクティブイノベーションの関係(ジレンマ)の切り口の鮮やかさから、
    どうしても実地的な内容に進むと当たり前に見えてしまう

  • 五年越しで読了しました。
    出版が2004年なのですが、理論は今でも色褪せるどころか、的確に商戦争を表してます。特に、実例・実目は今のイノベーション戦争を予見してます。
    悔しいのが、本書p445にある『(Wi-Fiビジネスにおいて、)ある種の参入企業が躍り出て、独立したバリューネットワークをつくりあげ、(大手通信事業者が)取り込みの可能性のないビジネスモデルを開発し、不均等の技量を生み出し、既存の無線および固定回線のサービス業者を破壊するかもしれない。』が実現できていないことです。
    初心を思いおこす貴重な時間でした。

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