- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784270001424
感想・レビュー・書評
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カポーティの処女作。これを十代で書いたとは信じられない。
彼の作品の登場人物はみんな何かが欠けていて、関係する人たちにそれを満たしてもらおうとして、結局悲劇的な最後に向かっていってしまう。この作品を書いた時点で彼の人生はもう決まっていたんじゃないかと思ってしまう。後半の疾走感は恐ろしさを伴っていてどんどん読んでしまった。
安西水丸さんの訳した本を初めて読んだ。これまで読んだ翻訳ものとはまた違った雰囲気で面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
カポーティの「遠い声、遠い部屋」の前に書かれたカポーティの処女作。天才作家の作品としては残念な気がする。多分全ての作品を読んだので今後、探すことはないだろう。
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カポーティの幻の処女作。そして訳者は安西水丸さん。10代でこちらを書いたものの本人はゴミにする予定だったよう。
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いわゆる、身分の違う恋、のお話。
カポーティの作品を読むとよく思うのだけれど、原文でないと伝わりにくいものがあると思う。
日本語に翻訳された段階で文章が流れにくくなってしまっているところがあって、読みにくい部分がある。
グレディのクライドを見る視線の揺れを感じる。
ふっと恋心を離れてクライドを見る瞬間があって、第三者である読者は、この先の破局を予感させられる。
物語は狂気で終わる。
この先、妊娠のこと、帰宅する両親のこと、冬の到来。
気ままで頼りない夏の航海が終わりを迎えたとき、冬の荒波を越えて安住の地に上陸できるのか。
私にはその姿は見えがたいが。 -
本人が発表しなかったものを読んでしまう後ろめたさはどうしてもあるのだけど、私この小説大好きなの、カポーティごめん…。
夏が死んで、青春が終わる。
くだらない大人になるのか、子どものままでエンドマークを置くのか。
たまらなく愛おしい。 -
安西水丸さん訳と知り興味を持ち読みました。私の生まれる前の、ギラギラした時代のアメリカの、成金の家に生まれてイライラしている美人と、駐車場で働くクールな男のちょっと身分違いの恋愛とか、その周辺の出来事。主人公グレディの苛立ちが伝わってくるようでけだるく、それが後半加速して爆発するところが良いです。
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子供から自分を1人の人間として自覚する思春期の心の揺れを描いた作品。
暴力的なまでに無垢。
カポーティは狂気と紙一重の純粋さを描くのがとても上手いと思う。 -
避暑地へと旅立つ両親を見送り、ひとり真夏のニューヨークに残る17歳の少女・グレディ。社交界デビューを控えた上流階級のご令嬢を街にとどめたのは、駐車場で働く青年・クライドとの恋だった。
神経質でいて大胆な性質をもち、人間関係に苦痛を感じる少女にとって、クライドは特別なはずだった――。
熱波に茹だるニューヨークを無軌道に疾走する狂乱と刹那の青春、突然の終焉を描く、カポーティ19歳の処女作。
作品としては未完とのことだが、まさに映画のラストシーンのような終幕に、これはこれで完結と言われても納得してしまいそう。