無我と無私 禅の考え方に学ぶ

  • ランダムハウス講談社
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本棚登録 : 63
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (140ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270001646

作品紹介・あらすじ

藤原正彦監訳/藤原美子訳による新訳完成!「品格ある日本人」に出会える感動の書!半世紀以上にわたって欧米人に読み継がれてきた超ロングセラー。

感想・レビュー・書評

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  • 2015/9/20図書館から借りた。
    英語題名
    Zen in the Art of Archery by Eugen Herrigel

    日本人にとって弓道は、宗教儀式と考えている。
    ここで言う仏教とは、一般的に言う非常に思弁的な仏教ではない。
    「思弁的」:経験によらす、思考や論理にのみ基づいているさま。
    全P140と短い。その中に武道の精神の解説がなされている。
    「うまくいかないのは、呼吸法が間違っているからです」と師範は説明した。「息を吸い込んだら腹壁がふくらむようにゆっくりと息を押し下げ、そこでしばらく止めなさい。それから息をゆっくりと、できるだけ一様に吐き出すのです。少し間をおいて、もう一度一気に息を吸いこみ、ゆっくりと吐き出す。これをリズミカルに繰り返すうちに、次第に呼吸が安定してきます。呼吸が正しくできれば、日一日と弓も簡単に感じられるようになるでしょう。この呼吸があらゆる精神力の源であることがわかり、リラックスすればするほど、ますますたくさんの力が湧いてきて、あなたの手足に行き渡るようになるでしょう」
    師範は息を最後の最後までできるだけゆっくりと、しっかり吐き切ることを重視していた。私がうまく呼吸をコントロールできるように、ウーと声を出しながら息を吐き出すように、と師範は言った。ウーという声がすっかり消えてすべてを吐き出すまで、息を吸ってはいけなかった。ある時、師範は謎めいた言葉を言った。「吸気は結合と連合。息をいっぱい吸って止める時、一切がうまく働くのです。呼気はあらゆる限界を、克服することによって完成するのです」
    「偉大な達人は同時に偉大な教師でなければなりません。我々にとって弓と呼吸法は切り離せないものなのてす。もし弓のけいこを呼吸法から始めていたら、決定的なことはみな、呼吸法のおかげであるということを、あなたに納得してもらえなかったでしょう。師範が投げてくれた救命具にあなたが手を伸ばす前に、あなたは難破船の辛さを味わわなければならなかったのです。信じてください。私の経験から申しても、師範はあなたや弟子一人一人を我々が自分自身について知っている以上に知っているのです。弟子たちが認めたくないほど、師範は弟子たちの魂の中までも読み取っているのです」

  • 先日レビューした岩波の「日本の弓術」の新訳という位置づけ。こちらも短くて読み易い。この版では剣術という弓道以外の武芸や墨絵という芸術の分野まで言及していて興味深い。いろいろと引用したい箇所もあるけど、自分も「それ」が為してくれる境地になりたいと思う。

  • スティーブ・ジョブズが愛読の「弓と禅」を読んでみようと図書館で検索したらこの本が見つかった。
    あとがきによると「弓と禅」の新訳なんだそうな。
    短いし字が大きくて読みやすい。
    忘我の状態で行う行為こそが本質であり、自己意識によるはからいは、一見見事に見えてもそこにはなんの価値もない。弓道においては自己意識を消し去ることが本当の修業で、個別の肉体的なテクニックはむしろそれほど重要ではないということ?
    自己意識を無化すると言う一点において禅と共通の基盤を持つということだろうか。

  • これまでの原著「禅と弓」の日本語訳「日本の弓術」「弓と禅」よりは、ずっと読みやすいです。

  • 「国家の品格」の藤原正彦氏が、夫婦でヘリゲル版「弓と禅」を新訳した
    お二人が弓を引かれるかは存じ上げないが、旧訳とはおもむきがかなり違う

  • 無我の境地。
    精神集中の世界。
    とてもわかりやすく書かれています。

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著者プロフィール

1884年、ドイツ生まれ。哲学者。1924年に東北帝国大学講師として来日し、哲学史を教えるかたわら阿波研造に入門。弓道五段の免許を得る。帰国後は日本思想を講じ、1948年に『弓と禅』を著した。1955年没。

「2015年 『新訳 弓と禅 付・「武士道的な弓道」講演録 ビギナーズ 日本の思想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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