- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784270002742
作品紹介・あらすじ
ケストナー珠玉の短編集。
感想・レビュー・書評
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もうクリスマスと言うことで、クリスマスにご紹介したい本を。
『エーミールと探偵たち』や『ふたりのロッテ』、『飛ぶ教室』などで知られるドイツの児童文学作家、エーリヒ・ケストナーの短編集。
ちょっとしたユーモア、ウィットに富んだ構成、詩的な文章で綴られた、本書。
表題作である『サンタクロースにインタビュー』は、本書なかほどに掲載されている、わずか7ページの短編。
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ある日玄関の呼び鈴が鳴り、ドアを開けると、そこには本物のサンタクロースがいた。ジャーナリストの「僕」は、これを機会にとサンタクロースにインタビューを始める。
「子どものころからずっと疑問に思っていたことを聞いてもいいですか」
「僕がとても知りたいのは、一年の残り、あなたが何をしているのか、と言うことなんです」
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他にも、「クリスマス・テーブルのパレード」、「クリスマスの決め台詞についての小講座」、「とんでもないクリスマス・パーティ」などなど、クリスマスがらみのお話がいくつかと、もちろんそれ以外にも短編がいくつか。
「クリスマスの決め台詞についての小講座」は、たぶん今現代の日本でも、使えます。子どもから大人まで。
「なべ騒動」は、メルヒェン、ファンタジーとしても、映画にしたら楽しいのじゃなかろうか。
本書は、紀伊國屋新宿本店の、海外文学フェアで見かけて、もともとケストナー好きだから欲しい!とは思ったもののそれなりのお値段がするので一度はあきらめたのですが、数時間後にまた舞い戻ってきて、結局買ってしまったのです。
なかなか一般書店では見かけないし。
そして、買ってみて大正解。
まさしくここには、ケストナーのユーモアが、たっぷりと詰まっている。
苦いけど 甘い、
甘いけど 苦い。
ちょっとひねくれた、にんまりしたい大人と子どもに、MerryXmas。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
表題作が、ファンタジー色の強い作品かと思いきや、オチの部分でそうきたかと驚いた。「子どもの話」と題されていたり、童話っぽさを窺わせたりしているものの、現実の厳しさを一切ごまかさない。それは、おとぎ話というものが時に「賢く生きる」ための教訓となることへの反抗であるようにも思えた。
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子ども向けに書いていないケストナーの短編
グッと来るもの、あまりにブラックで悲しいもの、しかしどれもおお…と唸らされてしまう
やはりケストナーの筆力が凄まじい…そりゃナチスにも狙われるて… -
こんなに短いとは・・・
最初で手放した -
中を知らずにクリスマスプレゼントなどにしたら困ったことになりそうなブラックな短編&詩集。ケストナーの児童書にあるようなほんのりあったかい感じはありません。私はあまり入り込めなかったです。
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児童文学作家としてのケストナーは、子どもを蔑ろにする大人に対して厳しい態度を示しつつも、子どもを慈しみ善を愛し、心の底からハッピーエンドを望んでいる。 と同時に彼の中には詩人としてのケストナーも存在している。彼は世間に悲観し、失望し、シニカルに世の中を嘲笑っている。
作家として彼はこの両面から世界を観、ものごとを捕え、無意味に思えるものに意味を見出し、作品を生み出してきた。どちらの面も彼にとってはなくてはならないものであり、片方だけでは成り立たなかったからこそ詩人ケストナーは後に子どもたちの為の物語をつくるようになったのだ。
彼の子ども時代の経験に裏打ちされたここにある数々の物語はひたすらに暗く、救いが無いものばかりだ。だが、その中にひそんでいる一見なんでもないようにみえる事柄が実は計り知れない意味を孕んでいる。彼は書物を通して、自分ひとりでは到底到達できない深みへわたしを誘ってくれる。そして、わたしは本当の幸福や痛みを知るのだ。 -
○感想
『また過ぎてゆくこと』の書き出しが好き。
『庭に出る』も好きかも。 -
それで僕がとても知りたいのは、一年の残り、あなたがなにをしているのか、
ということなんです。そう言った僕をサンタのおじさんは、かなりたまげた
様子で見つめた…。表題作他を収録したケストナー珠玉の短編集。