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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784270006412
作品紹介・あらすじ
変幻自在な言語感覚で注目される詩人chori。生まれ育った京都を題材にした初の「詩文集」。
感想・レビュー・書評
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2012/06/23
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「ああ、この人の彼女になりたい。」と思った。
息子ほど歳が下なのだが。
彼は有名な茶道の家元のご子息だが、それを隠して、作詩と音楽をなさっている。
こういう方の場合、いずれそれを現すのだが、彼の場合恐らく
よほどの事がなければ極力隠し通されるであろう。
同じくらいの歳であれば、4万円台の彼のアパートに
ストーカーしているかもしれない。
彼の文体に似た文章を読んだことがある。
それはボ・ガンボスのどんとの父の手紙。 -
誰かが神様に会ったことがあるか、そんなことは知らないが
神様が現れるのは、私の生活と無縁なところから来るだろう。
そして私の生活に少しの間、居座るだろう。
この本は京都の12ヶ月の情景を詩とエッセイと写真で
織られた手軽な絵巻物だ。
詩の中にはひょこひょこと神さまが出てくる。
これは素直にまれびと(客人)として読んだらいいと思うのだけど、
このチョイスは京都という街を表現するのには確かにぴったりで、
京都が閉鎖的であるというよくある風説は
まれびとへの欲求の裏返しでないかという感じもする。
エッセイ部分は、やや鼻につく言い回しもありつつ
落ちのないような着地も多いが、これはむしろ
詩を読ませるためのアミューズとしてはちょうどよかったかもしれない。
というより、本人を知りすぎているので正直書きづらいんだが、
そのあえて噛み砕かないで書いたような書きぶりというのは、
はっきり言って本人がぐらぐらと話している口ぶりと完全な相似形である。
そんな訳で、この本の読者となったならば、
軽く酒でも飲みながら読むのがちょうどよいということになる。