灰色の季節をこえて

  • 武田ランダムハウスジャパン
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (420ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270006894

感想・レビュー・書評

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  • 1665年のイギリスの田舎町でペストが発生。村の識者である牧師はペストが収まるまで自発的に村を封鎖し、外部との一切の接触を断つことを決める。外部との取り決めで生活に必要な物資は届けられるものの、ペストの伝染は止まらず、村人は次々と病に倒れ、死んでいく。
    下宿させていた他所者が最初にペストに倒れ、村での発生源となったため、始めのうちは村人に忌避されていた寡婦アンナも二人の幼い子供を病で失ったが、村で一番学のある牧師夫妻に献身的に仕え、少しでも病を食い止めようと励んでいたが、状況は日々悪くなる一方。
    出口のない状況に、村人の心は次第に荒廃し・・・?

    というような話。

    田舎の小村でのペストの発生から終焉までを描く話。
    冒頭部分がペストの流行がほぼ収まった時点での描写で、そこから主人公アンナが過去を振り返る形で話が進んでいくので、最後は村の封鎖が解けて終わりなのかと思っていたら全然違った。
    主人公アンナは逆境の中でどんどん知識と力を身に着け成長するが、まさかラストがあんなことになるとは思わなかった。どう頑張っても暗い結末にしかならなそうだと思っていたので、いい意味で裏切られた。

  • 1665年、イングランドのある村でペストが広まってしまう。村は外とのつながりを断ち、疫病を封じ込めようとするが……実話をもとに描かれた物語だが、ずっとペストと戦い続ける人々の疲労、不安、いらだちが、物語の語り手である主人公の目を通して伝わってくるので、読んでいるこちらのダメージもけっこうなものだった。閉ざされた世界での死と隣り合わせの生活は、内に抱えきれなくなった負の感情を誘爆の連鎖に導いてしまう。しかしそんな中にあっても信念の歪んだ人間の言動は異常に映るのだからすごい。ラストは怒涛の展開になるが、主人公のこれからも続くであろうしたたかな生き方に称賛とエールをおくりたい。

  • 時代背景とかめちゃ好み。
    人物描写もよくここまで描けるもんやなっと感心。

  • ペストが流行した時に、感染を拡げないために村を自ら封鎖したというフランスの実話がベース。なぜそうしたのか、それは正しかったのか。村の3人に2人が死んでゆく、という状況が凄まじい。

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