制裁 (ランダムハウス講談社文庫)

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  • ランダムハウス講談社 (2007年7月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784270101070

作品紹介・あらすじ

スウェーデンのとある町。古いアパートの地下室で、二人の少女の死体が発見された。凄惨な強姦殺人事件に人々は震え上がるが、ほどなく犯人は逮捕された。それから四年後-。作家のフレドリックは、テレビのニュースに映った脱走犯の顔を見てパニックに陥った。娘を幼稚園に送ったときに入口で挨拶を交わした男だったのだ!娘の無事を必死に願うフレドリックだったが…。グラスニッケル賞最優秀北欧犯罪小説賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 『三秒間の死角』のコンビによる、勢いのあるスウェーデン産犯罪小説。

    ある日、ひとりの刑務官が私情に走った末に、護送中の服役囚(児童を狙った性犯罪者)を取り逃す。すべてのドラマはそこから、その小さな「しみ」から始まる。卑劣な犯罪を憎む気持ちは、誰にとっても変わらない。しかし、その「憎み方」と、負の感情が周囲にもたらす影響はさまざまだ。被害者とその家族、捜査にあたる警官たち、職務上あくまで法に則って裁かざるをえない人びと、マスコミ、日ごろから不安や不満、不平で破裂寸前の「世論」という名の風船のような存在、そして独自の掟とプライドをもって生きる「塀の中の人びと」……。さまざまな人間がさまざまなかたちで関わることで、はじめ小さな「しみ」にしか過ぎなかった事件は、思いもよらない規模に広がってゆくのだった。

    一見したところ端正な表情にみえる現代社会が、ボタンをひとつ掛け違えただけでいかに凶暴な姿のモンスターへと変貌してしまうか、重厚なテーマを映像のような速度と鮮やかさとで一気に読ませる傑作。

  • 読むのが辛い描写が結構あるが、大変面白かった。最後まで嫌な予感がずっと当たり続けるという悲しい犯罪小説。再読は出来そうにない。
    次の話を読みたい。

  • ハヤカワの復刊を読んだので積読から読了に。

  • スウェーデンのとある町。古いアパートの地下室で、二人の少女の死体が発見された。凄惨な強姦殺人事件に人々は震え上がるが、ほどなく犯人は逮捕された。それから四年後―。作家のフレドリックは、テレビのニュースに映った脱走犯の顔を見てパニックに陥った。娘を幼稚園に送ったときに入口で挨拶を交わした男だったのだ!娘の無事を必死に願うフレドリックだったが…。グラスニッケル賞最優秀北欧犯罪小説賞受賞作。

    ようやく読んだ。後味悪し。でもとてもリアル。

  • ジャンル的にはサスペンスやミステリーとなるが社会派ドラマの側面もある。幼児殺害犯とそれを追う刑事、被害者の家族や受刑者、その事件に触発される人々などを多彩な視点で描きこんでいる。それぞれのキャラが掘り下げられているうえに濃密な文章なので読みごたえがある。幼児殺害という最悪の犯罪を誰がどのように裁くのか、その罪の大きさゆえに憎しみが増幅され連鎖していくさまがリアルに描かれていて恐ろしい。
    これがデビュー作とは思えないリアルな小説だが、罪の大きさを描くために仕方ないとはいえ、幼児殺害の描写がリアルなほど後味が悪くなったのは残念。

  • 普通(?)のサスペンス、犯罪小説かと思っていたら、想像していたよりも社会派な内容だった。
    法とは、正義とは、を問う、考えさせられる内容。

  • 北欧産の犯罪小説シリーズ第1作。現代社会が抱える病理をテーマに、とことん救いのない物語が紡ぎだされる。邦題の意味するところが明らかになる後半の展開には心底打ちのめされた。

  • 女児暴行殺害犯が逃亡、そして新たな悲劇が…。胸糞悪くなる犯罪と、それがもたらす負の連鎖、あまりにも救いのない展開に胸が締め付けられる。社会や人間の暗部を鋭く描きつつ、重いテーマを突きつけてくる、これぞイヤミス。

  • 本作は『制裁』と名付けられた。巧い邦題だと思う。事件によって、夏の日に拡がった憎悪の波紋は“制裁”という型になって発露するからである…しかし、本作の原題は“獣”、転じて“怪物”という意味合いだそうだ…直截的には幼女強姦殺害を繰り返すような、誰もが嫌悪する異常な男が“獣”或いは“怪物”として思い浮かぶ。しかし、誰しもがある種の“怪物”めいたものを心の中に宿らせてしまうことがある…そうしたものが波紋となる…本作にはそんな様子が描かれていると思う。

  • どこででも起こりえる事件だと思う。そう考えると怖い。
    父親が取った行動は誉められるべきものではないし、刑に服すのは当然なんだけれども、でもその反面、市民の反応も当然という気もするし、そうなると何が正しいんだろう、と思う。そういう意味でも怖い。

  • サイコ・サスペンスかと思ったんですけど。なんだろう?人間ドラマかなぁ?負の連鎖かな。たぶん。生きるに値しない人間はいるのか?とか、どんな人間でも他人が生死を決めていいのか?とか。
    フィクションだけど、どこにでもいる人達で、フィクションだとは言い難い感じでした。え〜…読み終わったあと、これっぽちもスッキリはしません。

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著者プロフィール

アンデシュ・ルースルンド 1961年生まれ。作家・ジャーナリスト。ヘルストレムとの共著『制裁』で最優秀北欧犯罪小説賞を受賞。

「2013年 『三秒間の死角 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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