石が流す血 (ランダムハウス講談社文庫)

  • ランダムハウス講談社 (2009年10月13日発売)
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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784270103234

作品紹介・あらすじ

ロンドンの高級ホテル6階のバルコニー。女は両手を広げて鳥のように空を飛んだ。次の瞬間、その体は不気味な音とともに地面に激突した…。女の名はマリアン・シアラー。情け容赦ない法廷戦術で知られる弁護士で、死ぬ直前にも証言台に立った被害者を責め立てて自殺に追い込み、女性の敵ともいうべき犯罪者の無罪を勝ち取ったばかりだった。キャリアの絶頂にあった彼女がなぜ自殺を!?その死の背後に隠された暗い秘密が、やがて徐々に明るみに…。

感想・レビュー・書評

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  • 衣類への深い愛情とそれに関する蘊蓄にマニアックなこだわりを感じさせ、事件のきっかけとなる部分で描かれる人の心の闇のどす黒さと対照的になっている。以下に詳しい感想があります。http://takeshi3017.chu.jp/file5/naiyou20301.html

  • まいったなあ。
    CWA最優秀長篇賞を受賞しただけのことはありますよ。
    イギリス女流でも実力派のファイフィールド。翻訳は久しぶり?
    女性の辣腕弁護士マリアン・シアラーがロンドンの高級ホテルから両手を広げて投身自殺。美しいドレスを着て…
    裁判には勝ったのに、なぜ?
    遺書も持ち物もなかなか行方がわからない。
    検死審問のために、調べだした若い弁護士ピーター・フリエル。
    じつは友人の遺言執行者に死後に手紙が来て、フリエルが担当するようにと指定されていたのだ。
    下っ端でうろうろしていただけの自分になぜといぶかるピーター。個性の強い登場人物の中で、このピーターは一番平凡だけどいいヤツです。
    裁判の被告リック・ボイドは異常性格で、次々につきあう女性を支配し暴力をふるっていた。
    マリアンは、無実かどうかは気に掛けずに証言者をいたぶって揺らがせ、嘘をついているように陪審員に思わせた。
    証言者は恐れをなして出てこなくなり、中でも被害者エンジェル・ジョイスは自殺して、結審。
    エンジェルを救い出し、訴えた姉ヘンリエッタは納得できない思いだが…
    このヘンリエッタが服の修復を仕事にしていて、美しい古着に埋まったアトリエに住んでいるのが面白い。
    海外ミステリを読み慣れている人には、ぜひお勧め。
    でないと、濃すぎるかも…
    嫌な人物が多くて、かなり辛辣な筆致だけど、実に鮮やかな描き分け。
    思いがけないイントロ、ひどい事件、異常性格者、運命の皮肉、惹かれ合う若い二人、終盤の危機と乱闘、意外にエンタメ要素も加えて。
    救いもあります。
    作者は事務弁護士で、公訴局でおもに殺人事件の訴追を担当。経験を生かして1988年に「愛されない女」でデビュー。2作目でCWAランポール賞、「目覚めない女」でCWAシルヴァー・ダガー賞を得ている。
    別名義を含めて20冊以上の著作があり、ミステリの新女王と評される。

  • ミステリよりも文学作品としての雰囲気が強い。この作者の場合、謎というのは、人の心の闇に根ざすものであって、通常の謎解きとは少し異なるようだ。心理描写や、それに付随したエピソードに多くのページが割かれているので、ストーリーの進み具合はいまひとつ。会話も少なく、地の文はひとつの段落が長いので、多少の忍耐は必要かも。
    衣類への深い愛情がサイド・ストーリー的に描かれているが、その意図がよくわからない。キャラクターは極端か中途半端かのどちらかで、よく理解できない人たちがそれぞれに苦悩している。重苦しく、読んでいて辛いというほどでもないが、決して明るくはない。なのにラストはふわ~っとまとめられてしまった。好き嫌いの分かれそうな作家であることは確かだろう。

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