リヴァトン館 (下) (RHブックス・プラス)
- 武田ランダムハウスジャパン (2012年5月12日発売)


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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784270104125
作品紹介・あらすじ
母とふたりのさみしい暮らしから、上流社会のメイドに。戸惑いつつも、優雅な生活と人々に惹かれていくグレイス。無邪気なお嬢様達、贅沢な料理、心おどる晩餐会…厳格な執事の小言も苦ではなかった。だが、迫りくる戦争で状況は激変する。慌ただしく月日は流れ、グレイスはリヴァトン館とともにたくさんの秘密を抱えこんでゆく。それが、大切なお嬢様をあの悲劇へ導く羽目になるとは知らず-。巧みな伏線と見事な筆致で世界中のミステリファンを魅了した物語。
感想・レビュー・書評
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ミステリ。サスペンス。
主人公グレイスが、若い時のリヴァトン館でのメイドとしての生活を回想する物語。
基本的に、グイレス視点でハンナの人生を描いた作品だったように思う。
ストーリー自体は定番だが、とにかく構成と描写力が素晴らしい。
ミステリ的には、伏線の回収が見事。
最後の2ページがとても良い。
読了後に伏線が繋がり、物語の印象が変わる感覚は、乾くるみ『イニシエーション・ラブ』を思い出した。
本当に小さなことから起きてしまった悲劇だったように思えて、とても切ない。けど感動。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
謎ときではなく、運びで読ませる話
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ミステリーというかイギリス時代小説、というかゴシック小説?
20世紀初頭のイギリスの描写の細やかさや表現力は凄まじいものがある。ぶっちゃけ知識無さすぎてついてけないとこも多いが、それでも大きく世の中が変化する時期の不安定さや不穏な空気、廃れゆく身分社会の戸惑い、古き良きイギリス文化の美しさのようなものは否応なく感じる。
人物の描写も本格的かつ少女漫画的な繊細さを併せ持ってとても丁寧。少女期グレイスの純粋さ、ハンナへの憧れと忠誠心。このいじらしさには百合豚もニッコリ。現代グレイスもいい感じにヒネてて魅力的なのだが、家族に囲まれ迎える最期、迎えに来るのはハンナの赦し。最高すぎる。
物語の核心は言ってしまえば大した話でもないのだが、世界の構築がしっかりしていて語り口が上手いので実に読ませる。
歴史好きのみならず、ヴィクトリアンメイドと主家のお嬢様の主従ソフト百合に萌える方はぜひ。 -
ラストはハッピーエンドではなく悲しい話だがモートンの作品と同様なかなか衝撃を受ける。
モートンらしく過去と現在を回想を重ねて進んでいく。
ストーリーの周辺の描写が美しく綺麗。
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2016.09.25
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売却済み
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蜘蛛が巣を作るように緻密に縦糸横糸が張り巡らされたお話だった。
ただ、上巻の感想にも書いたけれど、現在と過去を行き来するからどうしても物語の世界に入り込めない。
最後まで読んで、登場人物の行く末を全部知って、悲劇だけでは終わらなかったことを知ったうえで、それでも、リヴァトン館の事件が起きた当時だけに絞ってくれてた方が良かったと思う。
語り手の現代と過去とが入り混じって、もしかしたら狙ってたのかも知れないけれど、お話全体がぼやけた印象に感じました。 -
物語はなんとなく予想できた所もあったけれど、文章がとても綺麗で、物語全体に漂う哀しさを引き立てていた。
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推理小説、、、というわけでもない感じですが
色々と話が進むに連れて真相が明らかになっていくワクワク感は
推理小説に似ているかもです。
しかし、最後の最後で打ちのめされる。
速記か・・・!そういうことか・・・!
彼女はこの罪をあの年齢で老衰で亡くなるまで抱え続けていたのかと思うと
どうにも救いのようのない絶望感に襲われたり。
現代と半世紀以上昔の話が入り乱れているのですが、
昔の話で出てくる豪奢なお屋敷の外観や家具、服装なんかを想像するのが楽しかったです。
中々オススメの一冊。
著者プロフィール
ケイト・モートンの作品





