日本社会の対抗と構想 (講座 現代日本)

  • 大月書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (510ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272200641

作品紹介・あらすじ

対抗構想としての「新福祉国家論」を提起。支配層の強行する帝国主義的諸改革の全体像をとらえ、それに対抗する運動の課題と展望を示す。

感想・レビュー・書評

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  • 冷戦終結後,日本と世界の情勢は激変を迎えた。日本にかぎって言えば,自衛隊の海外出動,コメなどの農業自由化政策,日本の高度経済成長を支えてきた企業社会の再編,規制緩和,などがそれである。いったい,これらの諸変化を推し進めているのは何か? 日本は,世界は,どこへ向かおうとしているのか? もし矛盾や困難が生じるなら,それを解決してよりよい社会を作る展望はどこにあるのか? 本書は,こうした一連の問いを解明するシリーズの第四巻である。

    本書では,前三巻までの現状分析に基づいて,現代日本社会における対抗関係と,対抗の末に打ち立てられるべき新たな国家・社会構想を提示している。新構想は,「新福祉国家構想」と名付けられ,冒頭の渡辺論文において,?新自由主義的改革による福祉・教育費の削減や弱小産業の切り捨てに真正面から反対し,むしろこれを擁護する,?国民経済の保護のため多国籍企業の規制を行うという点で反帝国主義的性格をもつ,?武力によらない平和を理念とし,日本の現代帝国主義化を阻止し,核兵器廃絶・武器禁輸など,国際平和を創出する政策を国連総会に結集する途上国と連携して実現する,?多国籍企業の規制のために,先進資本主義国との共同を志向する,との特徴づけられている。

    本巻全体に貫かれているのは,現代日本社会に起きている矛盾がいかなる階層に現れているのか,そしてその矛盾を解決するためには,それら矛盾を被る諸階層がいかにして社会変革の担い手となり,どのような運動をすべきかを具体的に追求している点である。この点は,他の「こんな社会や政治が望ましい」とする様々な著作とは異なる。そういった著作の多くは,まず社会変革の担い手を誰が担うのかという視点がまったく,あるいはほとんどないし,なにより現状分析が甘い。

    本書が世に出て10年以上たつが,そこに示されたあり得べき自治体運動や労働運動のスタイル−地方選挙における保守勢力とも結びついた革新勢力の勝利,個人加盟の非正規労働者ユニオンの伸長など−は,現代においても妥当している。一巻と同様,その意義はまったく失われていない。

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著者プロフィール

一橋大学名誉教授。1947年東京生まれ。東京大学法学部卒業、東京大学社会科学研究所助教授を経て、90年から一橋大学教授。「9条の会」事務局。専門は政治学、日本政治史、主な著書・編著に『日本国憲法「改正」史』(日本評論社)、『「豊かな社会」日本の構造』(旬報社)、『戦後政治史の中の天皇制』(青木書店)など多数。

「2021年 『「平成」の天皇と現代史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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