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本 ・本 (184ページ) / ISBN・EAN: 9784272211258
作品紹介・あらすじ
K-POPなどをきっかけに韓国に興味をもち日韓関係の歴史を学び始めた学生たち。しかし、ネットや家族・友人の言葉になんだかモヤモヤ。それはなぜか、自問し、語りあい、モヤモヤの根源を探りつつまとめた日韓関係「超」入門書。
感想・レビュー・書評
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韓国時代劇が好きだけど、好きだからこそたまにはお勉強本。
日韓のニュース、韓国の芸能人の言動、他国にルーツを持つ人etc…を考えた時に、「モヤモヤ」っとしたことはないだろうか?、それを語り合おう、という内容。
歴史を学ぶことも欠かせないけれど、その際に「人権の問題」として考えることも大事なポイントだ、ということだ。
5人の大学生(日本人4人、韓国人留学生1人)の体験談も交え、それぞれの意見や対話で話が進み読みやすい。韓国人の参加者が1人だけなのが正直残念。
見出しから興味深い。韓国好きの若い世代にもハッとする内容もあるのではないかな?
例えば…
・なぜ韓国の芸能人は8月15日に「反日」投稿するの?/BTSメンバーが着た「原爆Tシャツ」─推しは反日かも…と言う前に知っておきたい歴史認識の違い。
・韓国のアイドルはなぜ兵役に行かなければならないの?─朝鮮半島で初めて徴兵制が敷かれたのは1944年日本によって。日本の植民地支配解放後に一時廃止されたものの、朝鮮戦争勃発で復活。日本は無関係ではない。
・「82年生まれ、キム・ジヨン」はなぜ売れたのか?─韓国におけるフェミニズムの起こり。など。
日韓については、本やネットでたくさんの情報で溢れている。本書では、著名人H氏のある著書について、何度か批判的に触れていた。これから読もうと思っていたけれど躊躇われた。何が真実なのか分からなくなるが、色々と読んでみて、私なりに抱えている「モヤモヤ」を紐解いていけたらと思う。「モヤモヤ」にぶちあたるのは大事なこと、ともある。
まずは歴史を知ることかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし - 株式会社 大月書店 憲法と同い年
http://www.otsukishoten.co.jp/smp/book/b583927.html -
日韓の歴史について、初学者向けに必要最低限の知識がわかりやすく学べるパートと、学生さんたち自身の体験を綴ったパートから成るユニークな構成。断片的で不十分だった知識を補強できたし、何より「人権」という視点で歴史問題をとらえることの大切さがわかって、ブレそうな時迷った時の考え方の指針を得られたように思う。突き詰めて考え、正しさを追求していく姿勢は、先日読んだイブラム・X・ケンディ『アンチレイシストであるためには』に通じるものがあり、日本人としての実践篇、ワークブックのようにも読めた。女子学生、男子学生(韓国出身の留学生含む)合わせて5名の皆さんのエッセイパートも、映画や音楽など韓国文化の消費について、親世代との考え方の相違についてなど、幅広く興味深いテーマが扱われている。たとえば、K-POPファンの男子学生は、韓国のスタディツアーに参加したおり、歴史問題について現地の学生に詰問され、さらに、その合宿で意図せず自分が女性差別に加担していたことに気づいて、パニックに近い大きなショックを受けるのだが、そこで「もういいや」ってなりそうな気持ちをぐっとこらえて、日本人であり男性である自分の特権や加害性を自覚したうえで、しっかりと歴史に向き合う決意をする。親世代の私はそこに綴られる率直な思いに胸がいっぱいになってしまうわけだが、「現実は酷いが若い世代に希望を感じる!」などとのんきに感動している場合では全然なく、自分も真剣に考え、行動に移していかなければならないのだ。その過程でモヤモヤはあったままでいい、いや、学べば学ぶだけモヤモヤは増えるということにも励まされる思い。
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「無知の知」という精神を日頃から大切にしているつもりでいるが、まだまだ私は知らなかった。
ここに書いてある全てが正しいことなのかどうかを判断することすらも今の私にはできない。
ただ間違いないのは、日本と朝鮮の関係や問題について知らなすぎる人は多いし(自身を含め)、そもそも①何が問題で②何をもって解決と呼んで、③何をもって和解とするのか、そういうことをもっともっと掘り下げていかなくてはならないのだと思った。
今回は日本・朝鮮のことについての本を読み、それを考え、話し合うきっかけになったが、その手の問題は他にもごまんとある。
「無知の知」を知った気になってる自分へのアラートのような気がした。 -
自国の侵略・加害の歴史についてこれまで教わってこなかったと改めて感じた。
日韓のモヤモヤというよりは日本の歴史認識についてさらにモヤモヤとしてきた。 -
今時の若者、ゼミってどんなことをやっているのかしら?コロナ禍の最中に編集されたというのも興味深い。日本の義務教育では近現代史をほとんど教えないらしい。しかしながら、私が通っていた中学校では道徳教育の中でも特に部落問題と民族問題について教員たちが力を入れていた。その教育の成果もあって?いまでも心の片隅にモヤモヤを持ちながら考えるようになった。
モヤモヤは解決しなくてもよい。真偽や争点はどこにあるのか、自分で考えること。複数の歴史的切り口を見つけられるよう、疑問を持ちながら調べ続けることではなかろうか。あと、ネット上だけでなくリアルな人との繋がり、人間関係から自身の経験をアップデートしてくこと。これが一番大切。 -
友人のツイートで見かけてこれは?!と思って読んでみた。なぜならまさにモヤモヤしていたから。具体的には「DNA REMIX」 という曲がきっかけだった。これは高等ラッパー4という韓国のヒップホップオーディション番組でYLN ForeginとJAY PARKが披露した曲で、めちゃくちゃかっこよくて好きな曲。
その曲で色んなラッパーを召喚したREMIX verのMVが公開されたのだけど、USからカルチュラル・アプロプリエーション(文化的盗用)だと叩かれてしまい公開中止に追い込まれてしまった。(JAY PARKの発言も問題視された模様)で普通ならこれで終わりなんだけど、ビデオ内容を変更して再アップロードするというあまり例のない展開に。そして韓国を思いっきりレップするMVに生まれ変わり8月15日に公開された。Liberation dayを祈念して…私がモヤモヤしてしまったのはLiberation dayという言葉だった。
日本で歴史教育を受ける中で、8月15日は戦争被害について思いを馳せる日であり、自分たちの加害性など1㎜も顧みていないのが現状だと思う。それを自分の好きなヒップホップから思いっきり全力でぶつけられたからモヤモヤというか動揺してしまった。自分自身、歴史修正主義者でもないし、慰安婦をはじめとする戦争時の加害性について「良くないよね」と思っているつもりだったのに、内なる自分の無知さというか、首根っこをつかまれた気がしたのである。
本著は学生たちが日韓の歴史と向き合った内容がまとまっていて、各学生の思う疑問をそれぞれが調べて説明したり、座談会で話したりしている。興味深いのは専門家ではなく学生たちが歴史とどう向き合ったか?その過程を収めているところ。慰安婦、マリーモンド、在日朝鮮人、少女像、軍艦島など日韓関係でわだかまりが存在していると思われるところを平易な文体で説明してくれている。これによって日韓関係についてオーバービューできるのが助かった。(がっつり説明して欲しい人は専門書を読めばよい。)数々の問題の土台にあるのが「朝鮮半島を植民地支配していた」ということ。この認識は社会的に全然共有されていないと思う。なので、どの問題でもすれ違いが発生してしまうのだろう。なるほどと思えたラインを引用する。
日本が朝鮮を植民地支配したこと自体知られているのか疑問です。学校で絶対習うはずなんだけど,「ただ領土が拡大した」みたいな感覚しかなくて,植民地支配したという切実な感覚がないんじゃないかなと感じます。
「そういう時代だった」と言うときの「そういう時代」って,だれの時代感覚なんだろうって疑問に思います。(中略)だから,「そういう時代だった」と言っているときは,自分たちもまさにマジョリティ側,支配する側の時代感覚で言っているんだって思います。
過去に先人が犯した罪と現代に生きる我々がどのように考えるべきか?という点については、「連累」という概念が興味深かった。それは以下のとおり。
現代人は過去の過ちを直接犯してはいないから直接的な責任はないけれど,その過ちが生んだ社会に生き,歴史の風化のプロセスには直接関わっている。そのため過去と無関係ではいられない
同じ過ちを繰り返さないための伝達責務があり、そのためには知る努力とか勉強が不可欠だなと感じた。学生の頃は理系だったし、歴史とか学んでなんの意味があるのか、全く理解できていなかった。しかし自分のアイデンティティや生活と密接に関係あるのだなと今回やっと肌感覚で理解できたかもしれない。ネット上に転がっているような上辺の情報ではなく質の高い情報で学んでいきたい。 -
身近に「韓国」と聞くだけで、拒否反応を示す人がいる。なんで、そこまで?という思いと、自分自身も感じる日韓関係のモヤモヤを知りたく読む。
徴用工や慰安婦の問題の前に、人権問題であること。
人権問題であるのに、日本側は、賠償金や戦争責任で対応しているので、いつまでたっても、韓国とは話が平行線なんだな、ということがわかった。
日本では政治的な話はタブー視されるし、一人だけでは何もできないかしれないが、「知ること、理解しようとすることから、はじめよう…」と思うきっかけになった1冊。
学生のゼミのまとめなので、データが豊富ではないが、言葉もわかりやすく、読みやすい。 -
2023.6
記録し忘れていた
1年以上寝かせていて
今年の1月に読んだ本
加害の歴史に向き合う -
2023年8冊目。
日本軍「慰安婦」、徴用工、竹島などなど、日韓の関係を知り、考えることができる本です。
その道の専門家がまとめたオカタイ本だとハードルが高いけど、大学生がモヤモヤを解決するために調べたりまとめたり対話したりした内容になっているので、読みやすいしわかりやすいです。
歴史的な問題を、政治上の問題ではなく、人権問題ととらえること。
この視点はとても大切だと思います。
二度と過ちを繰り返さないために、事実をしっかり教えようと考えてきましたが、よりよい関係を築くためにも必要なことだと思いました。