いよいよローカルの時代: ヘレナさんの「幸せの経済学」 (ゆっくりノートブック 5)

  • 大月書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272320356

作品紹介・あらすじ

グローバリゼーションに対する問題提起をつづけてきた環境活動家として名高いヘレナ・ノーバーグ=ホッジと、「スロー」を提唱する辻信一による対談。世界的な文脈の中でローカリぜーションを論じる。

感想・レビュー・書評

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  • 「問題を解決するときに個人を責めたり、個人の悪意や陰謀のせいにする、知的なエネルギーをそんなことで浪費するより、問題を引き起こしたシステムを見抜き、みんなで現実を変えていこう」・・・今、求められている最も大切な思想だと思いました。

  • 大企業中心の、常にストレスがつきまとう消費至上主義のこの世の中に、少しでも疑問を感じたり、生きづらさや、もどかしさを感じているのであれば是非この本を読むことをお勧めします。

    現代の若者の大半は、生まれながらに消費至上主義社会で生きる事を余儀なくされ、それらが生む弊害に知らぬ間に苦しめられてきたのではないでしょうか。その影でまた第三世界の貧困が
    生まれることも知らされずに育ってきていると思います。
    ヘレナさんの「重要なのは、私たちが世界危機の状況をまちがった方法で読みとり、絶望して自分を責めて、行き場を失ってることにちゃんと気づくこと。」「まず人を責めることと自分を責めることをやめること。」という言葉が私には特に心に残りました。

    「システムは多くの人びとの無知の上に成り立っている。」という言葉もありました。私たちはこのまま無知のままでいいのでしょうか。
    誰かがどうにかしてくれるだろうでは何も変わらず、私たち一人ひとりがただ闇雲にではなく、正しい知識をつけて良く無いことにはNOを言う時ではないでしょうか。

    読む前は、ローカルの時代だなんてヒッピーみたいで眉唾ものだと少し疑っていましたが、読み終わると決してそうではなく、こういう風に生き方にシフトできないものか真剣に考えるようになりました。

    ひとりひとりが集まって、ひとつひとつでいいと思うのです。

    今後の世界のあり方のひとつを考えるきっかけになる良い本だと思います。

  • 目の前で栽培された野菜より、国外から運ばれた野菜が安いのは、異常だという事。
    単一の栽培は、収穫物にも土にも、生産者にも多大な負担がかかること。
    分散型再生可能エネルギーは存在し、設置可能ということ。
    ローカル化は、分断を意味しないこと。
    伝統文化は、惨めで文化水準が低いということではない、というと。
    貨幣経済、金融資本主義は、近代文明のゴールではなかった、ということ。
    消費行動をレジャーにすることや、自身の存在意義の誇示に利用するのは、自身の時間を切り売りして得た貴重な資産を掠め取られているのだということ。

    自身が愛されるに足る人間であること。
    自身と環境は不二である事。
    私が生きていられるのは、お陰様よりお互い様である方が、健やかであること。
    "人間は平和と幸せをもとめている"という願いは、世界で共感、共有できる価値であろうこと。

    私達はまだ絶望するには、早いということ。
    ここで対談している人達も可能性に目を向け、折れることなく行動している。
    私も今いる場所で、行動する。

  • ゆっくりノートブック第5弾
    いよいよローカルの時代
    〜ヘレナさんの幸せの経済学〜

    「もしあなたが注目され、人気者になり、愛されたいと思うなら、カッコいいスニーカーとジーンズ、最新のおもちゃをもたなければなりません…」
    消費文化、経済のグローバル化は、本当に私たちの生活を、豊かに、幸せにしてきたのでしょうか?

    グローバル化が生み出した、社会システムの歪み、それによる競争社会のプレッシャーなどなどについて、
    沢山の思想や本を紹介しながら、これからのローカリズムを教えてくれる本。
    彼女ので出会ったラダックの人びとは、自分達の生活に誇りを持ち、遅れているとか貧しいとか、疑ったこともない人たちだった。
    だけどそのような昔ながらの生活をしている人たちも、グローバリズムの洪水を受けて、貨幣価値を重要視するようになったり、化石燃料に依存したりするようになってきているこの時代。
    ヘレナはラダックで伝統文化を尊重しながら、分散型エネルギー再生可能エネルギーとしてソーラーエネルギーを推進しながら、ラダックの変化を30年にわたって見続けてきた人。
    彼女のコメントは、示唆に富む。

    私がどきっとしたことがある。
    「フェアトレードもマイクロクレジットも、危険性をはらんでいる」と言ったヘレナ。
    フェアトレードやマイクロクレジットも成功する面もあるが、結局のところ、貨幣主義に依存するようになってしまうかもしれない。おカネがないと、となるわけだ。
    フェアトレードにしても、結局のところ、莫大な輸送費と消費される資源が多きすぎる。
    ならば、地産地消の方が、エコロジーだし、生産者と繋がれて両者がHAPPYになれるのでは、ということ。
    ちょっと、目からウロコの、視点だった。


    日本でも半農半Xだったり、地産地消だったり、食育や最近のスローフード人気だったり、
    そうゆう「豊かさへの新しい流れ」は確かに存在感を増し始めたのを感じられて、嬉しい。


    この本の作者、スローライフを提唱する辻信一さんは、私の大好きな思想家であり活動家。
    このゆっくりノートブックシリーズ、面白い!おすすめです。

  • 読了

  • 社会

  • "「ラダック懐かしい未来」の著者であるヘレナ・ノーバーグ=ホッジさんへのインタビューをまとめたもの。グローバリゼーションへのアンチテーゼ、ローカライゼーションを提起している。
    地元のものを地元で消費する社会で環境負荷を軽減し、豊かに暮らしていける状態を目指す。
    文明の機器を得ることが豊かになることなのか?
    消費し続ける社会は豊かなことなのか?
    一度立ち止まって、本当の豊かさとは何かを考えるきっかけを与えてくれる本。"

  • 経済的物質主義の国々から見ると、旧来的な国は遅れている、貧しく、現代の技術・経済原理・教育制度を導入して発展すべきだという考えになる。しかし、それに疑問を投げかけている。旧来的な国は本当に遅れているのか?その国ならではの伝統、風習を保ちながら人々は笑顔で生きている。また、数学等の抽象的な学問を皆が学ぶようになった一方で、自然の知恵、生活の知恵を学ばなくなったという。日本でも、人が自然の中でしっかりと生きていくための知恵を得る機会はなくなっていると思う。いずれも学べ、その国の風習を大切にできるような社会の在り方を考えてみるきっかけになる。

  • オススメされて読んでみた一冊。国分寺のカフェスローや、数年前に注目されていたラダックのライフスタイル、そして今の世の中の抱える無理に対して生まれてきたアクションの紹介だったり、未来に希望の持てる話が多く読んでいて「どういう暮らしをよしとするか」について考えさせられました。自分たちに見えていないだけで選択肢として存在している道はたくさんある。それも含めて、これからの暮らしに何を求めていこうかを考えた一冊。農や食の話はたくさん出てきたので、まず手をつけるべきは一次産業ということかなと。

  • 2度目(1度目は2012/6/3)。前より理解しやすくなったような気がするが、やっぱりすごく考えさせられる本。

    ラダックが開発の波の中で、劣等感に苦しむ様子は、国内でも見られる現象に思える/ラダックでは子ども一人におとな10人以上が愛情を注いでいた/欧米の暮らしに入り込んでいる発ガン性物質/開発や発達が実は外からの強制という可能性/企業に都合のよい自由が「規制緩和」/エネルギー消費が第三国で行われることで経済成長と環境消費が分離された/メディアによって、都市の消費者としての暮らしが美しく描かれている→そこから外れると劣等感/ローカルフードの提供者の満足度は非常に高い/リープフロッグ:第三国が先進国とは違う持続可能な方法で環境先進国として成長すること/ストローベイルハウス:藁のブロックと土で仕上げられた、循環型の建築/ローカルフードという経済システム/石油の埋蔵量の半分が境とされる「ピークオイル」/できる人が投資して場をつくっていく

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