GNHもうひとつの〈豊かさ〉へ、10人の提案

著者 :
制作 : 辻 信一 
  • 大月書店
4.04
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本棚登録 : 77
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272330553

作品紹介・あらすじ

GNP(国民総生産)からGNH(国民総幸福)へ。持続可能な"豊かさ"を構想するための全10話。

感想・レビュー・書評

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  •  名著『スロー・イズ・ビューティフル』で知られる文化人類学者・環境運動家の辻信一氏(明治学院大学教授)が編んだ、新しい豊かさをめぐる提言集。さまざまな背景をもつ10人の論客が、「GNH」をキーワードに、“これからの時代の豊かさ・幸福とは何か?”を論じている。

      「GNH」とは、「Gross National Happiness」(国民総幸福)の略。「GNP(国民総生産)」の対立概念として、前ブータン国王が提唱したものである。“我がブータンは、GNPが低くても幸福な国を目指す”との思いが、そこにはこめられている。

     そして、ブータン発のこの概念が、GNPに代わる新たな豊かさ・幸福の指標として注目を浴びている。
     たとえば、いわゆる「ロハス(Lifestyles Of Health And Sustainability) 」は、GNPや経済成長率などというモノサシで幸福度と豊かさを計ることへの異議申し立てであった。「ロハス」というと、我々は「ヨガや自然食を好む先進国の都市生活者」を思い浮かべがちだが、GNPよりGNHを重視するヒマラヤの小国・ブータンこそ、じつは本質次元で「ロハス的」なのである。

     国の経済的な豊かさが国民の幸福を約束しないことは、現代日本に住む我々にはいやというほどよくわかっている。
     では、幸福に結びつく真の豊かさとは何か? GNPや経済成長率に代わる新しい“幸福のモノサシ・豊かさの尺度”を、各論者は模索していく。

     市民向けの講演や大学での講義をベースにした本なので、いずれも話し言葉で書かれており、平明で読みやすい。それでいて、どの提言もすこぶる示唆に富んでいる。さまざまな角度から豊かさを問い直す良書。

  • 漠然と口にしているGNPやGDP・・・。どういうものの集積なのか、できるだけ具体的にという意識がなかったなぁと反省。「経済」「お金」という物差し以外の指標も持ってほしくていろいろ取り上げてみたけど、まだまだ浅いなぁと己の日々もまた反省。
    GNHの思想に深く共感することができるのだけれど、現実の自分の生活を振り返ってみると・・・この現実と理想のギャップに悩む。いわゆる「都会」と言われている場所で暮らしている限り厳しいのではないかといういつもの疑問が浮かび上がる。加速されすぎている現実の中で、どう減速させていくか、地に足をつけていくかをゆっくり考えていきたい。

  • 市民や学生向けの講演をまとめた本。内容はよくある新自由主義批判という感じで物足りない。GNHについても突っ込んだ議論はない。

  • 読んでて楽しかった
    ワクワクする感じ
    特にスローフードは共感するとこが多かった
    もうヨーロッパはないかなーって思ってたけど
    田舎の方に行ってみてもいいかも♪笑”

  • 資本主義への警鐘。
    「幸せ」を見つめ直せる本。

  • 球環境の危機、グローバル経済がもたらす格差と貧困、崩れ行くコミュニティ〓〓〓経済成長イコール“豊かさ”という神話を克服し、私たちを真に幸福にする社会を構想するときがきた。“食”“時間”“農”などさまざまな視点で「もうひとつの世界」実現に取り組む多彩な10人が、それぞれの言葉で語る「GNH立国」への処方箋。


    【目次】
    はじめに
    1 スローライフとGNH――ホンモノの「豊かさ」に向かって …辻信一
    2 関係性喪失の時代――幸せの条件、不幸せの背景 …大木昌
    3 経済成長から生活の充実へ――GDPの経済学を見直す …坂田裕輔
    4 時間をめぐる豊かさと貧しさ――「時間がない!」社会の謎 …西本郁子
    5 グローバルからローカルへ――ラダックに学ぶ幸福への道 …ヘレナ・ノーバーグ=ホッジ
    6 スローフードという豊かさ――イタリアの食文化に学ぶ …島村菜津
    7 農村の暮らしとGNH――東北のおじいちゃんおばあちゃんに学ぶ …結城登美雄
    8 いのちを産み育てる幸せ――子どもに教えられる豊かさ …アンニャ・ライト
    9 若者よ、旅に出よう――豊かなつながりの世界へ …サティシュ・クマール
    10 「つくる」喜びをとりもどす――豊かさという神話を超えて …ダグラス・ラミス
    おわりに

  • GNP、GNPうるさいけど、
    GNPをものすごく高くしたかったら、一番いい方法は戦争をすること
    スクラップ&ビルド(壊して建てる)

    こんなおかしな数字を国の豊かさとしている狂信的な経済成長論

    GNHのHはハピネス
    「国民総生産」ではなく「国民総幸福」

    大量生産は大量消費と同じこと
    大量消費するということは
    エネルギーの大量使用とごみの大量廃棄です

    枯渇していくエネルギーを考えなしに使い続けること
    決して消えはしないごみを出し続けること

    今の私達の生活は本当に豊かなのか?

    人の幸福はものの量やお金で測るべきじゃない

    GNHという発想はとてもステキな発想
    そろそろ、そんな発想で生きてみない?

  • やっぱ辻さんは神。編纂も人選も神です。
    アンニャライトさんは目指したい女性!って感じだし、東北のおじいさんおばあさんの話も改めて考えたことがなかったので超新鮮だったし、サティシュさんは言わずと知れた感じ、西本郁子さんは初見でしたが今後も読んでみたいと思いました。
    島津さんはバールコーヒーでぐっと来ずそれきりだったのですが、改めてまた読んでみたいと思いました。

    欲を言うと、辻さんの本は読みやすい系が多いので、理論として貪欲に確立してほしいな〜。
    国際機関にも訴えかけられる理論で、世界の開発をGNHへ方向転換させてください。

    とはいえ、各著書やテーマなど、興味項目を与えてくれたので星5つ。

  • 環境問題や環境ビジネスについての知識を増やそうと思い手に取った本。
    内容は環境問題を含む、物質的、経済的に豊かなはずの私達に欠けている「豊かさ」について10人の活動家や研究者が提言をしているもの。

    感想
    就活中で企業でバリバリ働こうとしている自分にとってはギャップのある考え方だった。
    特に経済グローバル化について批判している章なんか結構ショックだった><

    ただこの本で出てくるアイディアってどうしても共産主義的で、「よりよい生活を求める」っていう人間の欲と相反する気がしてしまうな。「働く」=終わり内経済成長や自己利益のためだけに会社の歯車になるっていう構図もなんだか陳腐な考えな気がしたし。
    今、消費至上主義からエコブームとかロハスブームといった質の向上へと人々の意識は確実に変わってきてると思うし。そういう流れを作っていってるのもやっぱりビジネスを通してだと思うんだよね。

    ただミーハーといわれようと老後のスローライフには憧れるねえ

  • GNH=国民総幸福量

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