刑務所しか居場所がない人たち : 学校では教えてくれない、障害と犯罪の話

著者 :
  • 大月書店
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レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272330935

感想・レビュー・書評

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    以下、総評
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    世間知らずの自分だから、刑務所の実態を知らずに生きてきてしまった。

    我々の想像に反して、イベントごとを重視している刑務所もあるのだとか。

    クリスマスやバレンタインデーを受刑者で楽しむらしい。

    それに対して、一部から批判がある。税金で犯罪者を楽しませるなんて…!と。

    だけど筆者は説く。彼らの中には、人生で一度たりともクリスマスを祝ったことが無い人がいる。

    ああ、そうか。もうすっかり、そんな人は自分の周りにはいない。ゲーテッドコミュニティではないけど、恵まれた人の中にいるのだと再認識してしまった。

    知らず知らずのうちに自分の世界認識が狭まっていようだと知る。

    それから、刑務所には刑務官がいる。

    若い刑務官は息巻いてやってくる。犯罪者を更生させようと意気込んでいる。

    だけど、想定外の現実を目にする。知的障害を抱える受刑者や、病気の受刑者、それから高齢で歩けない受刑者を前にする。

    とある刑務官は恐ろしく優しくなったという。泣いて眠れない受刑者に子守唄を歌ってやる。面会を拒絶する受刑者を説得して、その後泣いて感謝される。

    クリスマスを祝ったことがない人たちが、やさしい刑務官に見守れて、生まれて初めてイベントを楽しむ。

    セーフティネットからこぼれ落ちた場所でさえ人情とやさしさがあるのだと、筆者の語る現実に泣けて仕方なかった。

    だけど、彼らは「シャバ」に出ても居場所がないから軽犯罪を犯して戻ってくるという。

    外の世界には、精神的な繋がりがない。経済的なよりどころがない。生活の基盤がどこにもない。そういう現実が待っている。

    セーフティネットを突き抜けた場所として、刑務所が機能している。そういう側面はあるのだと知った。

    「刑務所しか居場所がない人たち」の意味を理解する。

    受刑者として過ごした筆者だからこそ、同じ目線で語ることができるのかもしれない。ポップな装丁と、やさしい語り口だけども、だからこそ現実の問題としてスッと抵抗なく胸に入ってくる。

    読書家として、この本を読めて良かった。

    読みながら、何度か本を閉じて一時中断した。本を閉じて目を閉じないと、涙がこぼれてきそうだった。

    筆者の説く「ソーシャル・インクルージョン」のために、できることをしよう。「生き直し」を必要としている人のために、自分ができることをしたい。

    ---

    各論や細かいメモ書きについては長くなってしまうので省略。書評ブログに書いたので良ければそちらもどうぞ。
    https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC_%E5%88%91%E5%8B%99%E6%89%80%E3%81%97%E3%81%8B%E5%B1%85%E5%A0%B4%E6%89%80%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E4%BA%BA%E3%81%9F%E3%81%A1_%E5%B1%B1%E6%9C%AC%E8%AD%B2%E5%8F%B8

  • 自分の中でまた新たな世界が広がった気がする。
    障害者についてはまだ知らないことだらけである。自分の身の回りには刑務所に入るような人はおらず、刑務所といえば極悪人の集まりというのが正直なところであった。しかしやはり実際に獄中を経験した人の言うことは説得力があり、実態はだいぶ違ったもののようだ。障害者の犯罪は罪名がつくことで大げさになってしまっているが、なにをしたかまで知れば世間の考え方は大きく変わると思う。
    中でも印象的だった点が3つある。1つは障害者にとって刑務所が一番幸せだと思わせてしまっている社会である。作中にもあったが障害を持った犯罪者は多くがそれまでの人生において被害者であったケースが多い。それに比べて獄中は虐待などの被害を受けることもなく食事も出されるため釈放されても望んで刑務所に戻ろうとしてしまう人が多いそうだ。2つ目は獄中の労働は高くても時給40円ということである。これは釈放後の生活費を稼ぐというよりもただ単に時間を潰すためのものであるということを象徴しているように感じた。そして3つ目は障害者は「悲しい」という感情に敏感であるということだ。前にも述べたようにこれまで被害を受けることが多かった障害者にとって悲しみは人一倍感じ、恐れているものであると思う。それを根底に置くというのが障害者を理解し、接する上で大切なことだと思った。

    • ミサッキーナさん
      今までに思いつくようで、実際にあることを書いた本「障害と犯罪の話」があるのがわかった。レビューも内容を読まなくても詳しいので、健常者と障害者...
      今までに思いつくようで、実際にあることを書いた本「障害と犯罪の話」があるのがわかった。レビューも内容を読まなくても詳しいので、健常者と障害者について改めて同じと違いを考えたい。
      2019/07/06
  •  実際に受刑者として刑務所に服役した元衆議院議員によるドキュメント。こども向けの本で、難しい言葉は使わずに、分かりやすい語り口調で書かれている。
     刑務所における障がい者の割合の高さには驚いた。そして、彼らは、悪意をもって犯罪を起こすというより、十分なサポートが得られず、生活の中で困難を抱え、結果やむを得ず加害者となっているようなケースが多いようだ。
     日本では、福祉サポートをする余裕はあまりない。助けを受けるために必要な障がい者認定すら、自治体によって基準がばらばら、全体の数値はWHOの半分程度だ。発症率の違いではなく、認定基準による。つまり、本当は助けが必要なのに、そこに結び付かず、社会の中で大変な思いをしている障がい者の方がおおい。
     福祉施設にも断られ、刑務所以外に行くところがない、出所すればホームレス生活。刑務所が福祉施設化している現実は、ゆがんだ構造のように感じられた。

  •  著者の山本譲司さんは,衆議院議員だったときに,秘書給与流用事件を起こして逮捕,
     判決確定後,控訴をせずに服役することになったが,その刑期のなかで,刑務所では凶悪犯よりも知的障害者が多いことを知る。
     障害があるために,社会で生きるすべを知らず,数百円程度の万引きや食い逃げ事件を起こして刑務所に入る。刑期を終えて刑務所を出ても,暮らす場所も収入もなく再び犯罪を起こして刑務所に帰ってくる。

     そのような累犯障害者(というのは山本さんの造語である)を,出所後に支援し,一定の道筋をつけて社会で暮らしていけるようにするというのが山本さんが目指すあり方なのだと感じた。
     受け入れる側の体制がまだ整っていないようにも感じているが,この本に出てくる「ふるさとの会」の活動で,改善されてきている途上なのだろう。

     もともと中高生向けに書かれた文章なので,非常にわかりやすいし,これからどうしていくか若い人にこそ読んでいただきたい本だと思う。

  • 刑務所しか居場所がない人たち:学校では教えてくれない、障害と犯罪の話。山本譲司先生の著書。刑務所が障害を持つ人たちの行き場になってしまっているという日本社会の歪んだ現状をわかりやすく説明している良書。障害を持つ人でも障害を持たない人でも誰もが幸せに暮らせる社会であってほしい。

  • とても考えさせられる本だった。

  • 刑務所には実は多くの知的障碍者がおり、その実態は多くの人が知らない。

    世の中の見えていない部分にこんなことがあるんだというのはとても衝撃的でした。

    言葉にして説明するのは難しいですが色々と考えさせられる内容です。

  • 11月新着
    東京大学医学図書館の所蔵情報
    https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_search/?amode=2&kywd=4311486924

  • 全然知らなかった。

  • 978-4-272-33093-5
    C0036\150E

    刑務所しか居場所が無い人たち
    学校では教えてくれない、生涯と犯罪の話

    著者:山本譲司(やまもと じょうじ)
    2018年5月15日 第1刷発行
    発行所:株式会社大月書店
    ------------------------------
    もくじ
    序章 僕は刑務所を誤解していた

     1 シャバに出るのが怖い
    1 刑務所に居るのはどんな人?
    2 受刑者の10人に2人は知的障碍者
    3「ぶっそうなご時世」っていうけれど
    4 「るいはん障害者」ってだれのこと?
    5 障害があるから罪を犯すわけじゃない
    6 塀の中だって高齢化
    7 刑務所が福祉施設になっちゃった
    8 刑務官の子守唄
    9 家族は居るの?
    10 刑務所を出ても、行くあてがない
     2 司法は僕らを守ってくれないの?
    1 その「調書」、ウソだって気づいて裁判官!
    2 「責任能力」ってなんだろう
    3 弁護士だって仕事を選ぶ
    4 医療刑務所は高根の花
    5 法務省も満期出所後は追えない
     3 とても優しくて、少し鈍感な福祉の世界
    1「障碍者手帳」は福祉のパスポート
    2 障害があるのに「障碍者」と認めてもらえない
    3 軽度の障碍者だけじゃ福祉施設は運営できない
    4 障碍者の「自立」は誰のため
    5「福祉の刑務所化」がこわい
     4 「不審者は無視」じゃ安心な社会は築けない
    1 その「善意」がだれかを排除する
    2 必要なものだけど、私の近くには作らないで。
    3 刑務所は贅沢?
    4 被害者の気持ちはどうなるの?
    5 障碍者ってどんな人
    6 障害のある人に、どう接する?
     5 彼らを排除しなければ、自分も排除されない
    1 走り出した刑務所改革
    2 出所後の再スタートを支える「出口支援」
    3 障害者手帳が無くても困らない
    4 刑務所以外の行き先を探す
    5 「協力雇用主」は増えたけど
    6 「支援」と「役割」で人は変わる
    参考文献

    -----------------------------
    この作者さん 元議員さんです。
    で、Cコードを見ると00ですからこの書籍の内容は一般向けであって児童向けではないし専門書でもありません。普通(普通の定義は難しい判断ではありましょうけれど)児童とは就学前までとする場合と民法では20歳未満の者とされています。Cコードの児童は何歳までなのかはわかりませんが、私が読んでいてたぶん小学校の図書室にある感じの本だなって思いました。

    大人向けの言葉ではなく、問いかけ等が多用され(大人の)僕は知らなかったけれどこんなことになっていたよ。君は知っているのかい?それってどう思う?って感じで、多感で正義感ある子どもに向けて書かれているような気がした。洗脳というか思い込まされなきゃいいなと感じもした。内容は事実であるだろうけれどショッキングでもあるから。

    その割に「障害」、「障害者」という表記がなされ、「障碍」「障碍者」という表記は見当たらない。
    また、障がいのある受刑者や出所者たちの目線でもなく、健常者の僕がという(それは紛れも無い事実ではあるし、障がい者になれるはずもないけれど)何となく上からの気配が感じられた。また、被害者となった人たちのことはほぼ書かれていない。
    相手(加害者)が障がい者で、収入も身寄りもないとなれば損害を被ってもそれっきりなのか?
    それであれば、かわいそうだけれど正直身の回りに居て欲しくないな。とも思う。
    作者さんはだからこそ障がいのある人も自分を生かせる環境にって事なんだろうけど、それも大切だけれど健常者も自分を生かせる環境を見つけたいわけです。

    事実として、高齢者で身寄りもなく、交友関係も無い人は刑務所の外にもあふれていて、中には結構アブナイ人も少なくないです。それを言うなら痴呆の人も一部の精神的な病の人も責任能力の点において怪しいです。刑務所の中か外かの問題以前の事では?障碍者であれば犯罪も無罪放免、収めたこともない税金でそれなりに暮らせるってのもいかがなものか・・。


    いつの時代も、どんな場面でもしわ寄せは一番弱いところにある気がしました。
    現場の刑務官が一番つらいだろうな。

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著者プロフィール

1962年生まれ、元衆議院議員。2000年に秘書給与詐取事件で逮捕、実刑判決を受け栃木県黒羽刑務所に服役。刑務所内での体験をもとに『獄窓記』(ポプラ社)、『累犯障害者』(新潮社)を著し、障害を持つ入所者の問題を社会に提起。NPO法人ライフサポートネットワーク理事長として現在も出所者の就労支援、講演などによる啓発に取り組む。2012年に『覚醒』(上下、光文社)で作家デビュー。近刊に『エンディングノート』(光文社)。

「2018年 『刑務所しか居場所がない人たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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