この国の不寛容の果てに:相模原事件と私たちの時代

  • 大月書店
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本棚登録 : 200
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272330973

作品紹介・あらすじ

「生産性」「自己責任」「迷惑」「一人で死ね」……刺々しい言葉に溢れたこの国で、男は19人の障害者を殺害した。「莫大な借金をかかえた日本に、障害者を養う余裕はない」との理由で。沈みゆく社会で、それでも「殺すな」と叫ぶ7人の対話集。

感想・レビュー・書評

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  • 「この国の不寛容の果てに」書評 「本心」の語りが許される社会に|好書好日
    https://book.asahi.com/article/12844606

    先行連載「この国の不寛容の果てに」(雨宮処凛)|大月書店|note
    https://note.com/otsukishoten/m/m8a14d9233d0a

    第494回:命の選別は「仕方ない」のか? ?『この国の不寛容の果てに 相模原事件と私たちの時代』。の巻(雨宮処凛) | マガジン9
    https://maga9.jp/190904/

    この国の不寛容の果てに - 株式会社 大月書店 憲法と同い年
    http://www.otsukishoten.co.jp/book/b471597.html

  • 【寛容さを大事に】
    金に余裕が無くなると心にも余裕が無くなる「不寛容」と「自己責任」だらけの世の中を考える本。

    神戸氏:相手の立場で考える「想像力」が「優生思想」に対抗する為の出発点。

    熊谷氏:障害者と介助者が対等な関係を保つ為、人権や構造的差別の問題として捉え、障害者の安全や人権が保たれるようにしている。
    「本音」を語れても「本心」を語れない世の中である。
    「貢献原則」が「必要原則」を上回り過ぎると優生思想に近づく。

    森川氏:「聞ききる」ことで尊重されているという感覚を生む。
    「迷惑をかけない」というモラルで「耐え忍ぶ」は安易で短絡的な日本の特徴。
    短絡的なショートカットをしないでとにかく対話することで、結果的には効果的に社会を運営できる。
    格好つけるのをやめて「面倒だ」と口にすることで追い詰められていることを自覚する。

    なるほどと思えることが満載です。対談者のそれぞれの著作を読みたくなります。

  • 副題のとおり、「相模原障害者施設殺傷事件」をめぐる対談集である。
    雨宮処凛さんがホスト役を務め、ジャーナリスト・精神科医・大学教授・批評家など、6人の論客との連続対談を行っている。

    6人は、それぞれ障害者と深い関わりを持つ人々である。自らが脳性麻痺の当事者であったり、お子さんが重度障害者であったり、元障害者介助者であったり……。

    その深い関わりをふまえた6人の言葉には、重い説得力がある。
    雨宮さんは、各対談者からよい話をたくさん引き出している。インタビュアーとしても優秀な方だと感じた。

    相模原事件で19人の重度身障者を殺害した植松聖被告を、あろうことか英雄視するような言説も、ネット上に散見される。
    そこまでいかなくても、「重度障害者は不幸しか作らない」という植松の言葉に心中ひそかに共感を覚える人は、けっして少なくあるまい。
    本書は、いまの日本社会に蔓延するそのような空気に抗う対談集である。

    相模原事件を話の起点にしてはいるものの、各対談はそこから思いもよらぬ広がりを見せる。
    たとえば、事件の底流にある優生思想の歴史をめぐって、小泉政権以来顕著になった「自己責任」論をめぐって、そして、「不寛容」な日本社会になった遠因たる貧困問題をめぐって……。
    語らいは縦横無尽に展開し、文明論的な深みすら帯びる。

    このところ、相模原事件についての本を何冊か立て続けに読んだが、その中では本書がいちばんよいと思った。質の高い好対談集だ。

  • 何かの人にインタビューする形式の本。
    本の中盤まで、身につまされるような思いで読んでいたが後半になると解決の兆しが見えてくるような気分。

    小泉改革時に既得権益をぶっ壊し、自分もプレーヤーに入れて欲しいと思ったことのある人には読んで欲しい。

    そして、壊したあとの新しいルールを多数決では様々な人の意見を聞き議論していく重要性を感じた。
    もう一度、読み返したい一冊

  • 相模原事件をテーマに雨宮処凛さんが6名の方と語った対談集。とても良い本でした。
    熊谷晋一郎さんの、生産性ではなく必要性の方が上位だという話、森川すいめいさんのオープンダイアローグについて、そして、向谷地さんの浦川べてるの家の話がほんとに群を抜いてすごいと思った。
    みんな自分の体験から語っている。自分の体験を自分の言葉で、一人一人がそう語れるようになったら、いいのかもしれないと思った。

  • 取材に近い対談集といったところ。
    ざっくり丸ごと不寛容というにはいささか乱暴だけれども、まずはありのままを受け入れること、対話をすることの大切さがテーマのような気がします。
    それから、一部の情報で自分にバイアスをかけないこと。
    当事者研究は非常に画期的だった。

  • 重い内容だと思うけど、自分の求めていた言説がしっかり記されていてほっとする。このほっとする感じを出来るだけ多くの人と共有できたらいいなと思う。優しい世界を望む人へ。

  • 雑駁の一言

  • 相模原事件をテーマにした対話集。
    植松被告の死刑は確定したが、この事件から私たちは何を問われているのか、考え続けなければならない。
    この対話集は事件そのものというよりも、今のこの社会や人間のあり方について問う一冊となっている。

    最後の向谷地生良さんと「無差別殺人をしたい」という青年との対話が印象的。
    植松被告にもしもこんな対話の相手がいたら、と考えてしまう。社会に適応するために取り繕った顔の下にどんな姿があったのだろう。
    「寂しい」本当は彼もそんなことを言える相手が欲しかったのではないだろうか。

  • 被告への死刑判決を前に、読んだ。
    それぞれの立場から、問題が立体的に浮かび上がる。
    ラストの「浦河べてるの家」の向谷地さんの言葉に
    簡単ではないけど未来につながる細い道を感じた。

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著者プロフィール

1975年、北海道生まれ。
作家・活動家。フリーターなどを経て2000年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。
2006年からは貧困問題に取り組み、『生きさせろ! 難民化する若者たち』(太田出版/ちくま文庫)はJCJ 賞(日本ジャーナリスト会議賞)を受賞。
著書に『「女子」という呪い』(集英社クリエイティブ)、『非正規・単身・アラフォー女性』(光文社新書)、
対談集『この国の不寛容の果てに 相模原事件と私たちの時代』(大月書店)、『生きづらい世を生きぬく作法』(あけび書房)など多数。

「2020年 『ロスジェネのすべて―格差、貧困、「戦争論」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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