デンマークの子育て・人育ち―「人が資源」の福祉社会

  • 大月書店
3.59
  • (4)
  • (6)
  • (11)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 59
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272411672

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 著者自身の経験を語りながらデンマークの文化・考え方・社会についてとても具体的に書かれている本。著者がデンマークにいき、デンマーク人と結婚し、ハーフの子育てをしながら感じた日本とデンマークの違いや共通点は説得力があり、子育てをするすべての親に読んでほしい本。

    著者が一番伝えたいこと
    愛されて育った子は、人を愛せる大人になる
    子供が社会に愛されれば、その子は社会の大事な人材になる

    こどもは神様の贈り物、年寄りは芸術の賜物

    デンマーク社会の「人」が中心という制作理念に基づき、人を資源とし、育てることによって、結果的に持続可能な国が成り立っている。→バイキング時代からの土地に根ざさない思想からきているか?日本は人より土地や自然を中心にした生活だと思う。

    こどもたちに幸せな人生を送ってほしいと願うならば、まずは家族のあり方を見つめ直すことがキーポイント。家族が一緒に過ごす時間を持ってこそ、初めて健全な家族生活が構築され、子どもたちに調和ある子供期を遅らせることが可能。

    少しの勇気を持って行動することで、自分の世界が広がっていくことにつながる。

    女性が食を持つことが当たり前が故に子どもたちが施設で保育されることもまた当たり前。

    デンマークの企業文化は、まず家族生活が大事、家族が幸せなら、それが良い仕事に繋がり、企業に貢献するという考え方。

    デンマークの人々の、見ます、聞きます、話します、の姿勢は、幼児時代のみならず学校教育を通して、また社会生活、家庭生活の中でも重んじられている姿勢。関わりかたの文化

    日本の教育とデンマークの教育を概観してみると、他人と競争する仕組みの日本と自分との競争で自らを発展させる仕組みのデンマークの違いがある。

    デンマークの高等学校は卒業するまでに自らの様々な課題が与えられ、そのためにかなりハードワークで勉強することになる。その間、試験があり、それが今後の将来も大きく左右することになる。しかし日本と違い知識をつめこむのではなく、自分の考えを他者に説明する力や協働する力、課題解決能力などを見られる点で、人と競うよりもむしろ自分にフォーカスがあたっている。自分との戦い。自己発達が興味の中枢

    学校にはスクールアドバイザーがおり、こどものときから将来について相談し、自分が何をしたいかを見つめている。→日本と違い、がっこうの先生がすべてを見るわけではなく、学校内にそれぞれの分野の職業の人がいて分業化が進んでいる。
    スクールアドバイザーシステムは、デンマークの若者が自分の道を決定していく過程で重要な道案内となっている。

    個を基本にして育てられ、教育では事故を知ると同時に周りと連携することを学び、自分の人生を自分で選ぶ、社会で生活していることによる。民主主義のいう社会理念が根付いている。

    民主主義という難しい定義を超えて、権利と自由に基本をおいた、自分の人生を自分で決めることができる社会。

    デンマークでは、自分の考えを人に伝え、自己の生活に責任を持ち、自己管理することが可能な人材を求めている。

    日本=あうんの呼吸
    デンマーク=言葉の社会

  • 90

    ・デンマークの教育のあり方、「全人教育」が、国民のあり方をつくっている。
    ・教育と労働市場のつながりは日本とは全く違う。
    ・子どもとの接し方が具体的に書いてあるのでとても参考になる

  • 筆者の澤渡夏代ブラントさんは、20代前半で、デンマークで国際結婚をし、そのままデンマークに移住している方である。著書は、2005、6年ごろのデンマークの子育て事情を彼女の経験と、他の母親であるデンマーク人のインタビューを踏まえた彼女の考察である。

    思ったよりも昔の本だったので、あまり為にならないかな〜と最初は思っていた。けれども、日本人である澤渡さんの客観的な目から記載されてた為か、デンマークの人々やデンマークの制度の根幹が凝縮されていたように思う。


    「デンマークは人を資源とみなしている」
    「デンマークの人々は世界一幸せである」

    日本でいう小学校高学年くらいから、自分のキャリアプランを考えるようなプログラムがある。
    高校選択時には、既に自分の目指す方向性を定め、それに見合う学校に行く。
    所謂大学入試のようなものはなく、高校で得たテストの平均点が次の段階(大学など)入学のために必要な点数に満たしているか、によって入学可否が決まる。
    即ち、人と比べるのではなく、絶対評価、あくまでも自分との戦い、自己の成長である。


    このような制度の良い点は、学んだ成果が自分の将来につながると実感できるため、学ぶインセンティブが高まるところにある。また、行き着いた職業は自分の意志で
    決め、自己の成果の結晶であることから、人々は満足して職務に励むことができる。



    素晴らしいなぁ、と思う反面、同じことを日本で、自分の生活に取り込めるだろうか?


    反面、学力的には世界で劣るデンマーク(当時)。共通テストのようなものをやってこなかったからである。
    日本では、テストでの振り分けは無くなる気配は無い。
    「ゆとり教育」も結局見直された。

    デンマーク人と何が異なるのだろうか?


    自分なりの解釈でいうと、世界を相手に闘っているか否かが大きな理由のひとつになっているのではないか。
    領土も小さく、資源もない。私たちは第1産業で不足しているものを第2、3産業で補う必要がある。そして、第2、3産業での製品・サービスは日本人自身が国際的に認められなければならないのだ。
    (勿論、歴史や民族性とかが関係してきているだろうが。)


    私個人で母親として取り入れることができることは無いだろうか?

    *子供をいろんな場所に連れて行く、両親その他の経験談を聞かせ、将来の選択肢を具体的に増やす手助けをする。

    *何故ダメなのか、子供に分かるように理由を話す。
    小さい頃でも同様。

    *自分の意見を述べさせるようにする。ただし、日本人ははっきりものを言う文化では無いので、枕言葉を覚えさせる。その為には母親が対子供でも、真摯に向き合うことである。


    あまり具体化されていないが、
    子を持つ母として、読んでも良い1冊だと思う。

  • “愛されれば、その子は人を愛する大人になる。社会に愛されれば、その子は社会の大事な人材となる。”著者は1960年代の後半に片道切符で海外に渡り、フィンランドでの生活を経てデンマーク人と結婚。36年の体験を通して「子を愛する」こと、「経験から学ぶ」ことの大切さを生きいきと綴る。

    デンマークには人が資源という考え方があり、幼い時から個として尊重され、自己決定・管理ができるよう育てられる。この国の福祉・保育・教育の充実した制度と暮らし・子育てを紹介し、日本に欠けているものは何かを考える。

  • 若いころ、勢いでデンマークに渡り、その地で結婚し子育てをし生きてきた、著者の目を通して描かれるデンマークの教育観。多少の偏りはあるかもしれないが、非常にわかりやすく「子育て」の概要がまとまっている。

  • 著者自身のデンマークでの渡欧・結婚・子育てを通してデンマークの社会制度、子育てについて紹介している。

    内容は細かく、子育て、結婚、老人、女性と仕事などについて書かれているのでデンマークについてよくわかる。が、構成の問題なのかちょっと読みにくいのが正直な感想。

    同棲を経ての結婚や早期の性教育、幼少期から自ら考えることの促進、女性と仕事への関わりなど、日本にも早く定着して制度は多い。

    教育に興味を持つ子供が多い一方で、PISAでの順位は高くないようだ。まずは興味を持ち学習を楽しむことに重きを置いているようだが、学力の向上も課題となってるらしい。

    根本的にデンマークは「周りが守る」のでなく「自ら考え動くことを助ける」社会であると感じた。

    何を望むか、は人それぞれだからそういった考え方が合理的で結果として世界一の幸福度につながっていることはとても興味深い。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

デンマーク在住、2男1女の母。福祉・教育・保育をテーマにしたデンマーク視察のコーディネイト会社を運営。主な著書『福祉の国からのメッセージ』(共著:丸善ブックス)、『デンマークの子育て・人育ち』(大月書店)ほか。

「2020年 『デンマークの女性が輝いているわけ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

澤渡夏代ブラントの作品

デンマークの子育て・人育ち―「人が資源」の福祉社会を本棚に登録しているひと

ツイートする
×