男が暴力をふるうのはなぜか そのメカニズムと予防

  • 大月書店 (2011年2月1日発売)
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本 ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784272420131

感想・レビュー・書評

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  • 誰にも自尊心はある。どんなに普段「俺はバカだから」と言っているやつも、他人から「お前はバカだ」と言われたら怒る。著者は、自尊心が人の生きる基本にあることを説き、自尊心を傷つけられることと暴力との結びつきを論証する。

  • 【メモ】
    ・2001年に刊行された本が2010年に翻訳された。

    ・英語版のタイトルは『暴力を予防する』なので、日本語版の『〈男〉が暴力を〜』というのは釣りタイトルぎみ(男女間における攻撃性の差異だけを扱う本ではない)。商業主義に走った無用な煽りかと思いきや、訳者による判断らしい。星を0.5減。

    ・著者は精神医学だけでなく、社会学・心理学・文化人類学の研究をきちんと参照している。これ対して佐藤和夫氏は訳者解説で「今日、若者を中心として、これまでの常識を覆すような不気味な殺害事件や暴力事件が頻発している」(219頁)とか、「経済的な成功がまるで人生の究極的な価値であるかのよぬな考えを十分に克服していないために、若者の世代を中心に多発する一見無目的で無差別の一連の殺害事件は、若者と〔…〕中高年との間の断絶を深めるばかり」(220頁)とか、非科学的で化石のような考えを墨守しつづけている。
     著者と訳者では科学的な姿勢に高低差がありすぎて、読書のノイズになっているため星1.0減。管賀江留郎『戦前の少年犯罪』(築地書館、2007年)を読んで、考えを改めてほしい。

    ・本文や訳者解説に、「アメリカ合州国」(141頁、227頁など)という表現が出てくる。これは大昔に流行った俗説に基づく誤記なので、校閲者がきちんと「合衆国です」と指摘すべき。星0.5減。


    【書誌情報】
    『男が暴力をふるうのはなぜか――そのメカニズムと予防』
    原題:Preventing Violence (Thames & Hudson, 2001)
    著者:James Gilligan (1935-) 
    訳者:佐藤和夫(1948-) 
    出版社:大月書店
    http://www.otsukishoten.co.jp/smp/book/b68021.html

    【簡易目次】
    目次 [005-007]
    日本語版への序文 [011-024]

    序論 暴力を予防するための二つのアプローチ 025
    第一章 恥と自我の死 057
    第二章 暴力の社会的原因 071
    第三章 男らしさの証としての暴力 097
    第四章 暴力の新しい理論 111
    第五章 暴力の少ない社会をつくるために 133
    第六章 第二次予防=早期介入 171
    第七章 第三次予防=治療的介入 183
    第八章 暴力で誰が得をするのか 207

    訳者解説(二〇二〇年一〇月 佐藤和夫) [219-228]
    参考文献 [i-v]
    索引 [vi-x]

  • よくDVやいじめなど暴力にまつわる事件は後を絶たない。場合によっては殺人事件になるほどにまで発展した事例も存在しており、社会問題となってしまっている。本書のタイトルは「男性」であるのだが、男性に限らず女性にも同様のことが言える。それは「女性の男性化」によるものもあるのかもしれないため、「男」は一概に男性とは限らないと言える。そういう意味では「人が暴力を振るう理由~」と言ってもおかしくないのかもしれない。

  • 男が、というタイトルから男女間のDVを連想しがちだが、もっと一般的な暴力について述べた本。暴力をふるう者は暴力で死にやすい。処罰は暴力を防がずむしろ暴力を引き起こす。暴力を防ぐためには、相手に敬意を持つことを示すことが最も近道。その人を、無視しないこと、注意を払うこと。

  • 110306by朝日  →リクエスト予約から
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    序論 暴力を予防するための二つのアプローチ
    第1章 恥と自我の死
    第2章 暴力の社会的原因
    第3章 男らしさの証としての暴力
    第4章 暴力の新しい理論
    第5章 暴力の少ない社会をつくるために
    第6章 第二次予防=早期介入
    第7章 第三次予防=治療的介入
    第8章 暴力で誰が得をするのか
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    暴力を引き起こす男性性の論理を分析し、その予防法を三段階で提案。さらに「暴力で誰が得をしているのか」という問題にまで踏み込み、支配層による政治的レトリックを暴き出す。ジェンダー平等と非暴力の地平を見据える比類なき暴力論。

    ギリガン,ジェームズ
    1935年生まれ。ハーバード医学校教授を経て、現在ニューヨーク大学教授。専門は精神医学。ハーバード医学校在籍時は、マサチューセッツ刑務所で25年間にわたって犯罪者の精神医療に携わり、「暴力研究センター(the Center for the Study of Violence)」の所長を務める。クリントン政権時にその実績を買われ、大統領から「反青少年暴力国民キャンペーン(the National Campaign Against Youth Violence)」の評議委員に任命された

    佐藤 和夫
    1948年生まれ。千葉大学教育学部教授
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    暴力の少ない社会をつくるために←これやね。また読も。何度も。平和教育に生かそう。
    15, 17『トウキョウソナタ』, 19, 22-3, 28, 133, 136, 138, 149-50, 153, 159-60, 159-60, 159-60, 211-3, 215, 217-8, 217-8, 217-8, 219, 225-6, 228

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著者プロフィール

都立高校教諭

「2018年 『高校生のための現代思想エッセンス ちくま評論選 二訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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