- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784272510078
作品紹介・あらすじ
歴史とは何か、歴史の研究にどんな意味があるのか、歴史的真理なるものは存在するのか、歴史はアートかそれとも化学か。冷戦史研究に大きな成果をあげてきた歴史家ギャディスが、ウィットをまじえながら、歴史研究をこころざす学生・研究者に語るかたちで、こうした問題に答える。古典的名著の声望高いマルク・ブロックの『歴史のための弁明』、E.H.カーの『歴史とは何か』の現代版。
感想・レビュー・書評
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歴史学を批判するポストモダニストに対する批判の書、というところか。
「ブリテン島の海岸線の長さが特定できないからといって、船乗りがそんなものは存在しないとか、自分の勘を信じて航海できるなどと結論づけるのは、このうえなく愚かなことだろう。同様に、時間と空間を測定するための絶対的な基盤が得られないという事実から、歴史家がそのなかで起きたことを何ら知ることができないと決めつけるのは、分別を欠いていると言えるだろう」(p48)
とはいえ「過去そのものを知ることはできない」ということ自体を否定しきっているわけではない。ギャディスはあくまでも〈歴史家として知ることができる〉点を擁護しているだけである。ギャディスは、歴史家によって、過去の人間に対して道徳的判断を行うことを肯定的にとらえているが、その態度は、〈歴史家として知ることができる〉という点と非常に整合的である。しかし、ポストモダニズム的な「過去を知ることができない」という発想を批判しきれていないような印象は残ってしまった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
分類=歴史学(ギャディス)。04年1月。