日本社会の歴史 (上(原始・古代~近世))

著者 :
制作 : 歴史教育者協議会 
  • 大月書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272520961

作品紹介・あらすじ

アジアとの関係、民衆の歴史、女性史・ジェンダー史に光をあて、マイノリティや辺境からの視点を重視した、コンパクトに学べる日本通史。上巻では、最新の研究も踏まえつつ、旧石器時代の人びとの生活から幕末の動乱期までを描く。

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  • 日本社会の歴史 上 原始・古代~近世
    歴史教育者協議会[編]
    宮原武夫・山田邦明・深谷克己[著]OIC
    2012年9月28日 第一刷発行
    ISBN978-4-272-52096-1 C0321


    はじめに
    Ⅰ 原始・古代
    一 新石器時代人はクリを栽培した
    人類の誕生と旧石器時代/新石器時代/鳥浜貝塚/三内丸山遺跡/世界史と日本史の時代区分

    二 日本列島は中国の歴史書に記録された
    縄文時代の水稲農耕/中国の歴史書に書かれた倭国/倭の女王・卑弥呼/吉野ヶ里遺跡

    三 アジアの王たちは中国に朝貢した
    箸墓の伝説/女性首長の古墳/倭国と朝鮮三国/倭の五王の手紙/中華思想と冊封体制

    四 儒教と仏教が倭の文化を変えた
    新羅の発展と筑紫の反乱/倭国への渡来人/遣隋使の派遣/冠位十二階と憲法十七条の制定/仏教伝来と飛鳥文化

    五 倭は日本という国名を定めた
    唐の建国と大化改新/百済・高句麗の滅亡と白村江の敗戦/壬申の乱から律令国家へ/天皇号と日本国の成立/「天皇」という諡号

    六 天皇は北東アジアに君臨しようと試みた
    大宝律令の制定/女帝の時代/律令制度と農民/日本の冊封体制と新羅・渤海

    七 仏教は民衆の間にも広まった
    国家仏教の成立/民間仏教のひろがり/民家信仰と神仏/貴族と民衆の疫病対策/母と子の絆

    八 桓武天皇は新しい王朝を開いた
    桓武天皇と渡来人/三八年間の蝦夷戦争/最長と空海/律令制の再編/律令制の再編/律令から格式へ

    九 藤原氏が政治の実権を握った
    藤原氏の発展と幼帝の即位/藤原道長と摂関政治/国司を訴えた郡司・百姓/摂関時代の婿入婚

    Ⅱ 中世
    一 新たに作られた社会のかたちは四〇〇年もつづいた
    中世の風景を描く/荘園の広がり/郷や村の成り立ち/中世に生きる人びと

    二 朝廷と協調しながら武家政権は成長していく
    院政のはじまり/武士の登場/頼朝挙兵の背景/朝廷と幕府の関係

    三 武家の幕府はいったん滅びるが、まもなく再建される
    鎌倉幕府の政治/鎌倉御家人の世界/北条一門滅亡の要因/長引く南北朝内乱

    四 室町殿が公家と武家を統括する
    室町幕府の確立/朝幕関係の変化/朝貢貿易の開始/室町幕府の政治

    五 地域の人びとも活発に動いた
    中世の百姓/行動範囲の広い中世の人びと/流通したのは中国銭ばかり/愡村の自治

    六 中世の人々の生活をのぞいてみると
    人々の願いと信仰/中世の寺院と僧侶/人びとのつきあいと娯楽/中世の女性の地位と役割

    七 長い列島にはさまざまな地域があった
    日本列島のかたち/京都と鎌倉/中世の北方世界/中世の沖縄

    八 戦いの時代をへて社会のかたちは大きく変わった
    戦国時代のはじまり/戦国大名の達成/兵士たちの戦いの現実は/統一政権の成立

    Ⅲ 近世
    一 下剋上の乱世から惣無事の世へ変わった
    「戦争」の封じ込めへ/郷村の「暴力」封じ込めへ/徳川氏が覇権を確立する/「安民」を約束して信を求める

    二 幕藩体制の支配秩序がつくられていく
    預かって治める大名/公武融和へ/宗門統制とキリシタン禁制/島原天草一揆

    三 海禁環境が完成していく
    東アジアの三つの危険な要素/朱印船と日本町/海禁と長崎のオランダ貿易・唐人貿易/異国と異域

    四 民間社会が育っていった
    小農を中心にした農業と林産・水産・鉱産/商人・職人と奉公人・徒弟/町・村・浦の交流と物流/請負で成長する民間社会

    五 文治支配のもとで民力が伸長する
    文治支配への流れ/実力行使と口利き・訴訟/伝来文化と寛永・元禄文化/近世の政治文化と儒学・諸学問

    六 ジェンダーと身分の差別が時代を支えた
    いくつもの身分のものさし/近世の両性関係と「家」/労働文化と農書/和風の暮らし

    七 難儀打開の改革政治がつづいた
    元禄の政治と正徳の治/享保の改革と質地騒動/田沼の政治と寛政の改革/藩政改革と名君

    八 民間社会が矛盾を深める
    打ちこわし・村方騒動・国訴/百姓一揆/識字力の高まりと学習の動機/経済の流れと社会の格差

    九 学問と芸能が民間に広がった
    生活者と文化/文人と専門芸能/教育と学習/学問の諸流

    一〇 内憂外患のもとで復興の苦心がつづく
    大塩平八郎の乱/異国船打払令と蕃社の獄/天保の幕藩制改革/アメリカ特使ペリーの来航と和親・通商条約


    p63 女帝の時代

     古代における女帝の世紀をどのように説明するかについて、いくつかの説がある。古代には男帝の次に皇后が即位して次の太子の成長を待つ習慣があったのだという説や、女帝には神と人とをつなぐ巫女の役割があったとする説、女帝は男系継承のための中継ぎであったとする説などである。しかし、古代の女帝の本質を巫女と考えたり、男系相続のための中継ぎとする見解は、明治期以降の皇位の男系継承を前提にして、女帝はそれを補完する副次的な存在としか認めない男性中心の歴史観であるという批判もある。
     八世紀初頭の元明・元正女帝の時代は、和同開珎の発行、平城京への遷都、『古事記』『日本書紀』『風土記』の編集、養老律令の編集、三世一身法の施行など、重要な政策がつぎつぎに実行に移されており、単なる中継ぎの天皇とは考えられない。また、元明天皇は、元正天皇に譲位したあとも太上天皇として行動したが、七ニ一年に六一歳で没したときには、政府は、東海道の鈴鹿関、東山道の不破関、北陸道の愛発関に使者を派遣して関所を封鎖し、反乱に備えた。これは、その後、固関と呼ばれ、都を防衛し、謀反人の東方への脱出を阻止するための重要な国家行事になる。それが、元正太上天皇の死去にさいして日本で初めて行われたということも、女帝が単なる中継ぎの天皇ではなかったことを示している。

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