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本 ・本 (344ページ) / ISBN・EAN: 9784272530298
感想・レビュー・書評
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米原万里の推薦本である。サハロフの水爆の話も出てきたので、少しほっとした。ただ、話としてはあまり面白くはない。
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ソ連が推し進めた原爆開発競争を
国際的かつソ連国内事情に絡めて描く。
下巻は世界大戦以降からスターリン死後の1950年末まで。
上巻以上にドラマチックで面白い。
戦後のスターリンがその立場から取らざるを得なかった政策や、
スターリンであるが故に推し進められた開発史の解説は
非常に説得力がある。
また朝鮮戦争に関する記載も多く、当時の資料も多数紹介される。
ソ連、中国、北朝鮮それぞれの立場から導き出される思考と行動は
読んでいて興奮させられた。
その後のトーツコエ演習の描写や、これを受けた科学者らの動き、
そして原爆が引き起こすであろう大戦の結末を東西双方が意識し、
これを共有してゆくステップは感動すら呼び起こす。
ただ、記載こそないがこの裏ではコロリョフのミサイルが
秘密裏に開発されていたと思うと奥深い。
またこれを踏まえた上でキューバ危機を考えると
また新しい角度からこれを捉えられるのではないかと思う。
個人的には、原爆開発を中心になって進めてきたクルチャートフが
最後まで「科学者」であったことが、とても嬉しく感じられた。
戦後のソ連の動きを知る上でぜひオススメしたい一冊。