資本論 (1) (国民文庫 25)

  • 大月書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784272802517

感想・レビュー・書評

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  • 本書の第4章、貨幣の資本への転化が、資本主義社会の要となる剰余価値を説明しており、ゆえに重大な箇所である。いかにして剰余価値を増殖させていくのかが資本家が成すべきことである。

  • マルクスは江戸時代の人なのに書いていることが現代的だ。
    流通の歴史の話からはじまり、労働者の時間がいかに搾取されているか、という話になっていく。
    今もそうだが、いわゆる労働者は何も考えずにただ働いているという状況だったのかもしれない。そのような社会状況で。自分たちが何をしているのか自覚的に生きて欲しかったのではないだろうか。

    こういう古典によって現実を見る目を開かれるのは大切なことだ。

  • コロナ禍で経済格差や環境破壊などの社会問題が意識され、カール・マルクス『資本論』や関連書籍への関心が高まっていると報道されました。若い人達を中心に反響が多いとされます(「「資本論」への関心高まる コロナ禍で“経済格差”など意識か」NHK 2021年5月30日)。この報道に接して不思議な気持ちになりました。
    コロナ禍で経済格差や環境破壊などの社会問題が意識されることは理解できます。それが『資本論』になることが不思議です。既に社会問題の解決ならばSDGs; Sustainable Development Goalsのようにビジネスやテクノロジーで解決するアプローチが盛り上がっています。
    DX; Digital Transformationも「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」(ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授)であり、社会問題の解決に繋がります。コロナ禍でもITを利用した非対面非接触のNew Normalへの適応が志向されます。
    これらのアプローチが盛り上がっている中で本当に若い人達が『資本論』に期待しているのか疑問が生じます。本当ならば逃避になるのではないかと感じます。『資本論』は古典として読む価値はあるでしょう。しかし、今日的な社会問題解決のために読むならばピント外れになりかねません。『資本論』はAIやIoT、ビッグデータといった第4次産業革命を前提としていないからです。
    『ホモ・デウス』には以下の記述があります。「もしマルクスが今日生き返ったら、かろうじて残っている信奉者たちに、『資本論』を読む暇があったらインターネットとヒトゲノムを勉強するように命じるだろう」(ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田裕之訳『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』河出書房新社、2018年、下巻96頁)。
    管見はマルクスの思想的価値を資本主義の先の世界よりも、資本主義の前の封建的な支配体制の批判に見出します。まだ見ぬ資本主義の先の世界よりも、現実に存在した封建社会の批判の方が研究の完成度は高いです。たとえば宗教を民衆のアヘンと喝破したような(『ヘーゲル法哲学批判』)。
    その研究は現代日本にも有用です。現代日本には前近代の村社会的なところがまだまだ残存しています。近代的な組織でも家父長的な支配があります。資本主義の弊害以前に、昭和の村社会が資本主義的なイノベーションを抑圧しています。
    マルクス主義の適用を考えるならば資本主義批判より、資本主義以前の昭和の村社会批判に注力した方が良いでしょう。歴史を振り返っても、社会主義革命が起きたロシアも中国も資本主義への不満よりも、地主による小作人の封建的支配への不満が原動力になりました。

  • #flier
    難しい…

  • 資本家と労働者の関係などから資本主義への警鐘と社会主義への転換を予測した一冊。
    資本主義を経験し人類が成長した先にある時代を考えるきっかけになる。
    自分が生きている間に資本主義から次のステップへ移る段階になるのかはわからないですが、そうなった時にどう生きるのが賢明なのか考えさせられました。
    この一冊だけでその答えや目処は立ちませんでしたが、自分なりの答えを用意しておこうとインプットを増やそうと思うモチベーションになりました。

  • 資本家だけが美味しいお酒を飲む時代は終わり。
    我々労働者は覚悟を決めて、1人1人が個人の価値を生み出していかなければいけない。

  • 第4版序文でマルクスに対するブレンターノの子供じみた嫌がらせの経緯が述べられている。どうでもいいことだが面白い。

    第一分冊では価値形態論と資本に関する分析が展開される。価値形態論は物物交換から貨幣が生まれる過程を分析する。
     資本の分析では剰余価値を生み出すメカニズムが解明される。ここで鍵となるのは、労働力の維持費と支出との関係。

  • 貨幣を見てもなにがそれに転化したのかはわからないのだから、あらゆるものが、商品であろうとなかろうと、貨幣に転化する。すべてのものが売れるものとなり、買えるものとなる。
    貨幣では商品のいっさいの質的な相違が消え去っているように、貨幣そのものもまた徹底的な平等派としていっさいの相違を消し去るのである。しかし、貨幣はそれ自身商品であり、だれの私有物にでもなれる外的な物である。こうして、社会的な力が個人の個人的な力になるのである。

  • なぜ、剰余価値が発生するのか。価値形態そのものから解き明かす

  • ちゃんと読みなおさねば。岩波版だけでなく。余裕がないから国民文庫版は積読だ。

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著者プロフィール

カール・マルクス(Karl Marx):1818-83年。ドイツの経済学者・哲学者・革命家。科学的社会主義の創始者。ヘーゲル左派として出発し、エンゲルスとともにドイツ古典哲学を批判的に摂取して弁証法的唯物論、史的唯物論の理論に到達。これを基礎に、イギリス古典経済学およびフランス社会主義の科学的、革命的伝統を継承して科学的社会主義を完成した。また、共産主義者同盟に参加、のち第一インターナショナルを創立した。著書に『資本論』『哲学の貧困』『共産党宣言』など。


「2024年 『資本論 第一巻 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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