- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784274067914
感想・レビュー・書評
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資料ID:98110819
請求記号:537||I
配置場所:普通図書(選書コーナー)
エコカーって、どんな車だったらエコカーって呼ぶの?
これから、ドンドンエコカーは進化するのか? -
自動車に関係する企業に勤めていることもあり、現在話題となっているエコカーと言われるものには興味があります。特に日本ではエコカーの中ではハイブリッド車の知名度は高く、つい先日もプリウスの販売実績が何ヶ月も連続して一位を確保したというニュースを見ました。
それでも個人的に思うことは、部品も多く制御も難しいハイブリッド車が果たしてメインの車になるのでしょうか、自動車業界から見れば、ハイブリッド車になっても廃業する会社は少なそうなのでハッピーなのでしょうが、それならば世界のメーカも同じ方向を向くはずなのに、日本以外では電気自動車に力を入れているような気もします。
日本でも日産と三菱は特に電気自動車に力を入れているので、今後の展開が楽しみです。しばらくの間は様子を注意深く見ることになりそうです。また、電気自動車を本格的に普及させる気が日本政府にあるのであれば、毎年のように掘り返している道路工事を利用して、ワイヤレス充電システムを導入して欲しいものです。
以下は気になったポイントです。
・ハイブリッド車に関する疑問点、1)なぜハイブリッド車はエコカーか、2)量産ハイブリッド車を作っているのは、なぜトヨタと本田のみ?3)理想のエコカーとして将来も使われるか、である(p21)
・エコカーと呼ばれる車として、1)ハイブリッド車、2)プラグインハイブリッド車、3)電気自動車、4)燃料電池車、5)新燃料自動車、である(p24)
・航空機では、内燃機関をパワープラントとしながらも、プロペラ用レシプロエンジンからジェット用タービンエンジンへと大転換している、鉄道は、蒸気機関→ディーゼルエンジン→直流モーター→交流モータとパワープラントが進化している、自動車のみは変わっていない(p28)
・ガソリン自動車は、エネルギープラント1キログラムあたり10キロの航続距離(15キロの燃料タンク、50リットル密度0.75として合計で50キロで、500キロ走行可能)に対して、電気自動車は電池1キロあたり100メートル(p33)
・プリウスやインサイトの最大の企業秘密は、そこに搭載されているソフトウエアである(p54)
・ガソリンエンジンのエネルギー変換効率(熱効率)は、10~20%に対して、電気モータは27~38%、燃料電池は20~28%(p65、123)
・トヨタと本田がハイブリッド車の開発と生産に関する主要な技術の多くを特許化しているので後発メーカーは不利になる(p68)
・トヨタと本田の最大の違いは、動力分割機構を本田は採用しなかったこと、主役はあくまでエンジン、コンパクトなモーターがエンジンをアシストする(p75)
・どんな電池でもエネルギー密度を上げるのは諸刃の剣で、充電容量が増えるほど温度上昇によって内部に溜まる熱エネルギーが増える、リチウムイオン電池の場合には溶剤も使用しているため発火の危険性あり(p85)
・第二の蓄電池としてキャパシタ(コンデンサ)は期待されるが、最大の問題は容量が蓄電池比較で1桁少ないこと(p87)
・今では電源と蛍光灯の間にインバータ回路を挟んで、1秒間に3~10万回という速さで点滅させているので人間はそれを感知できずに疲れも少なくなった(p94)
・リチウムイオン電池は、500サイクルで50~70%まで容量が低下するので、2年程度で交換必要の可能性あり(p112)
・トヨタはハイブリッド車では、ニッケル水素電池を採用したが、プラグインハイブリッド車では、容量不足からリチウムイオン電池に切り替える、ただしモータ走行距離は20キロ程度にしたので、電池搭載量は電気自動車比較で少なく価格も抑えることができる(p117)
・日本やヨーロッパはアメリカと異なって、国家主導で電力供給網の骨格を建設してきているので、あえてスマートグリッドを導入する意味はない、多くの発電所や送電所は遠隔操作による無人運転がされている、アメリカの技術が他国に通用するわけでない(p128)
・電気自動車時代にふさわしいインフラ整備として、無線伝送方式による家庭用ワイヤレス充電システムの導入、次に、道路上にワイヤレス充電システムを埋め込むこと(p130)
・上海には、2006年8月からキャパシタに蓄えた電力で走る電気駆動バスが走っている、2010年上海万博には100台以上に増やす予定(p136)