インターネットのカタチ もろさが織り成す粘り強い世界

  • オーム社 (2011年6月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784274068249

感想・レビュー・書評

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  • 著者は「教科書ではなく、読み物を意識した」として本書を執筆したという。「なるほど」と唸る部分もあった。
    一方で、私にとっては難しい部分もあった。
    普段ユーザーとして接している分には、インターネットの仕組みについて、裏側部分まで理解する必要はないだろう。
    しかしながら、こうして基礎的部分を知ることは、自己満足かもしれないが、単純に面白い。
    「こんな仕組みで動いていたのか」
    「今後、データ量は益々増大化していく。どうやって回避していくのだろう」
    そんなことをアレコレと考えて想像してしまうのだ。
    改めてインターネットの未来を考えてみると、今後も進化の歩みが止まるどころか、加速度的に進んでいくことは間違いない。
    今見えている技術的なボトルネックは、課題がハッキリとしてるが故に、近い時点では解消されていくのだろう。
    しかし、今のペースを考えてみると、明らかに新しい課題もドンドン出てくるのだろうと思う。
    結局は「日々課題が生まれ、それを解消し」の連続なのだろうと思う。
    喫緊の課題として上げられるのは、「データ量の莫大な増加」だと思う。
    メタバース世界が普通になって、世界中の人がアクセスしたら、ネットワークのトラフィックはどんな状態になるのだろう。
    データ量が増える一方なのだから、世界中のネットワークを経由するよりも、出来るだけ地産地消した方がよいだろう。そうなると、より分散化が図られる可能性が高い。
    地域ごとのデータセンターの役割が相当に高くなるが、今の課題は大容量電力が必要なこと。
    これが解消されたら、データセンターがもっと小規模化されて各地域に作られるかもしれない。
    そうなると、エネルギー問題の解決が最優先とも考えられるが、省電力でも動くサーバーの開発も同時に研究されている。
    当然、ネットワーク間でも超省電力で動くような開発がなされている。
    エネルギーの課題と、超省電力サーバーとネットワークの開発がほぼ同時期に適えば一気に様々なことが加速するはず。
    そんな時に、どんな社会になっているのか。
    世界がひっくり返るくらいの状態になっている気がするのだ。
    もちろん自動運転は日常になっているかもしれない。
    人類全体の知能を超えたAIを使いたい放題という状況になっているかもしれない。
    そもそも脳にチップを埋め込んで、それが常時ネット接続されていたら、世界は大きく変わる。
    AIの知能が全人類にリアルタイムに共有され、見えている視界も共有される世界。
    つまり、リアル世界にいる必要はほとんどなくて、ほとんどの生活がメタバースのような脳内チップの映し出す世界の中で完結できる。
    リアルとバーチャルの境目が無くなる世界だ。(映画「マトリックス」のような世界か)
    今現代を生きている我々は、リアル世界の方が馴染みがあるが、生まれた時からリアル&バーチャル世界のネイティブ世代は、根本的に我々世代とは生き方そのものが変わってしまうだろう。
    そんな時代が、実はすぐ眼前に迫っている。
    果たして人類はその変化についていけるのだろうか。
    環境に適応した生物が生き残る、という適者生存の考え方は進化論の本質であるが、果たして自分は環境変化に対応できるのだろうか。
    本書の副題は「もろさが織り成す粘り強い世界」であるが、果たして人間もそういう存在になれるのか。
    1人1人は脆くて弱弱しい存在だが、人同士が繋がることで、強大な力を生み出す。
    こう考えると、インターネットこそ人間が作り出したものだというのも頷ける。
    やはりきちんと基礎を学ぶというのは、本当に大切なことだし、新しい発見があるものだ。
    最新技術も大切だが、自分に足りていない基礎部分は、今からでも勉強を続けていく必要があると感じるのだ。
    (2024/8/15木)

  • 現状のインターネットを取り巻く状況がわかる。
    バルスによる2ch鯖のダウンやAnonymousのDOS攻撃など、
    身近なWebサービスをショーケースに取り上げていて面白い。
    それでいて本格的な部分にも踏み込んでいるので、
    初心者からエンジニアまで十分に楽しめる内容だと思いました。
    Amazonでも評価が高くオススメ!

  • ほとんどの章は(査読の際に)つまみ食い的に読んでたけど、今回通しで読んだ。正直内容が本業そのものだから、読み物としてどれくらい読みやすいのか分からないけど、内容の正確さに関しては群を抜いてると思う。インターネットを仕事にしてる人にはもちろん、そうでない人(中でもテクノロジーに興味のある人)にもぜひ読んでもらいたい一冊。ちなみに参考文献へのリンクが半端ないので、電子書籍版を買った方が、有機的に読み進めるのに便利かも。(full disclosure: 筆者とは知り合いです)

  • 若い人(中高生)はマスタリングTCP/IPよりもこれ読んだほうが良い

  • 今、HTTPやTCP/IPの下はどうなってるのか?知らなくても済んじゃう知識は知ってるとある日恐ろしく役に立つ。

  • 【書誌情報】
    インターネットのカタチ もろさが織り成す粘り強い世界
    著者:あきみち
    著者:空閑 洋平
    定価:2,090円 (本体1,900円+税)
    判型:A5
    頁:312頁
    ISBN:978-4-274-06824-9
    発売日:2011/06/25
    発行元:オーム社

    本書は、人気ブログ「Geekなぺーじ」の管理人である著者らによる、非常に身近でありながらその全容をとらえることが難しいインターネットという存在を、わかりやすい切り口で解説したものです。
    インターネットってそもそも何? という疑問に、従来の教科書や読み物とは別のアプローチ方法で、身近な話題と公開された情報や論文などをもとにわかりやすく解説した書籍です。
    https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274068249/

    ・著者サイト
    https://www.geekpage.jp/blog/book/fragile/

    【目次】
    はじめに
    本書が目指したもの
    本書の構成
    謝辞

    第1章 壊れやすくて粘り強い
    1.1 インターネットが壊れた!
    1.2 あんな「壊れた」、こんな「壊れた」
    1.3 「生き物」のようなインターネット
    1.4 インターネットの強さの秘密
    1.5 インターネットの「形」を推測する
    コラム:恵まれた環境と言える日本のインターネット

    第2章 ネットワークのネットワーク
    2.1 チェコ発インターネットバラバラ事件
    2.2 インターネットはネットワークのネットワーク
    コラム:「インターネットは核攻撃に耐え得るネットワークとして作られたものだ」
    2.3 全体像は誰も知らない、だから全体を止められない
    2.4 実際に通信ってどうやって行われてるの?
    コラム:パケット交換方式の歴史
    コラム:AS こそが「ネットワーク」
    コラム:4 バイトAS
    2.5 「伝言ゲーム」でつながるネットワーク
    2.6 AS とBGP
    コラム:長い経路が「ベストパス」なこともある
    2.7 パキスタンYouTube 事件の解説
    2.8 チェコ発インターネットバラバラ事件の解説
    2.9 実は行けないネットワークがある!
    2.10 そのほかのBGP 障害事件いろいろ
    2.11 今後も「壊れる」、でも恐らく修復される

    第3章 仕様のデバッグ
    3.1 同じ問題を二度と起こさないように
    3.2 RFC とIETF
    3.3 IETF とその思想
    コラム:IETF の雰囲気
    3.4 「インターネットはオープンである」
    3.5 オープンであることの弊害
    コラム:IETF の現実
    3.6 IETF と特許
    3.7 今後も変化し続けるインターネットの「仕様」
    コラム:若い大学院生とRFC

    第4章 「名前」を巡る変化
    4.1 スウェーデンが消えた! ドイツが消えた!
    4.2 DNS の仕組み
    コラム:「www.example.com」名前解決の実際
    4.3 DNS は格好の攻撃対象
    4.4 DNS ルートサーバ
    4.5 DNS への「毒入れ」
    コラム:TCP よりも後に生まれたUDP
    4.6 トップレベルドメインの増減
    コラム:国際化トップレベルドメインのテスト用ドメイン名
    コラム:サンプルに使う「値」
    4.7 Alternate DNS Root
    4.8 今後も波乱が多そうな名前空間
    コラム:DNS ルートサーバと企業買収

    第5章 物理的に切れた!
    5.1 物理的に「プチッ」と切れるということ
    5.2 光海底ケーブルが切れた!
    コラム:台湾地震の副作用
    コラム:盛り上がる陰謀論
    5.3 何で「集中」するの?
    5.4 光海底ケーブル地図が示すもの
    コラム:世界中のトラフィックを盗聴可能?
    5.5 海底ケーブルは何故切れる?
    5.6 光海底ケーブルの仕組み
    コラム:伝書鳩とインターネット
    5.7 陸上の光ファイバも切れる
    コラム:その他の生物による被害
    5.8 銅線窃盗によるネットワークの大規模ショート
    5.9 あまり注目されないけど、実は面白い物理回線
    コラム:衛星や無線による物理回線

    第6章 インターネットと国境
    6.1 Web における「インターネットの国境」
    コラム:「Web = インターネット」?
    6.2 エジプトがインターネットから一時離脱!
    6.3 ネット検閲
    6.4 Great Firewall of China
    コラム:このような仕組みになっている理由?
    コラム:「中国が世界のインターネットの15 %をハイジャック!」
    6.5 日本にもあるネットへの制限
    6.6 ISC BIND にDNS ブロッキング機能が搭載
    6.7 「インターネットの国境」と未来のインターネット

    第7章 インターネットの大渋滞
    7.1 「興味の集中」による大渋滞
    7.2 大規模トラフィックに対処する方法
    7.3 世界最強のCDN 企業:Akamai
    コラム:炭疽菌事件とCDC のWeb ページ
    コラム:Akamai によるTCP の改造
    7.4 大量のトラフィックをみんなで送りつける攻撃(DDoS アタック)
    7.5 DDoS 防御
    コラム:電気通信事業者における大量通信等への対処と通信の秘密に関するガイドライン
    7.6 解決に向けた取り組みの増加

    第8章 論理的な通信の密集地帯
    8.1 ネットワークの論理的な集中に関する概念的な話
    コラム:スモールワールドとSNS
    コラム:スモールワールドネットワークへの批判
    8.2 ポリシーの話
    8.3 巨大な存在に何かあったら?
    8.4 「コンテンツ」を持つネットワークの巨人の出現
    8.5 ビデオトラフィックの増加
    コラム:日本のP2P トラフィックは2010 年に初の減少
    8.6 変化していくインターネットインフラ
    8.7 非技術的側面による変化の比重が大きくなりそう

    第9章 おわりに
    9.1 今後も変化を続けるインターネット
    9.2 立場によって変わる視点
    9.3 「素晴らしさ」は一つの視点でしかない

    付録A インターネットのカタチをとらえる
    A.1 インターネットの形は見えにくい
    A.2 データの在り処
    A.3 はじめの手がかり――― ping とtraceroute
    A.4 ping とtraceroute の高機能化
    コラム:トラフィックの負荷分散手法
    A.5 地球規模のトポロジデータ収集
    A.6 BGP の接続関係を調べる
    A.7 インターネットの形
    A.8 世界各地を繋ぐ海底ケーブルの地図
    A.9 まとめ――― それでもインターネットの形は見えにくい

    付録B 参考文献

    索引

  • 当たり前のように使ってるインターネットの中(インフラとしてのシステム)の話
    今手にしてるスマホでもどのような形で通信しているのか正確に分かる人は少ないけど理解する為の足掛かりになる本
    中盤以降は経路の辿り方など少し専門性が高くなるけど序盤を読むだけでも十分学びになる

  • インターネットはもはや名実ともに世界の通信インフラだが、「全体を管理している組織」はどこにもない。
    誰も管理していないから、情報(仕様・プロトコル)はオープン。
    インターネットがどこかで壊れても、オープンな情報をもとに世界中の技術者が調査し、対応する。
    電気、水道、ガス、電話、金融など、国が主導してきた他のインフラとは決定的に成り立ちが違う、ある意味とても「民主的」なもの。
    そのインターネットを支える技術、プレイヤー、金の動きを解説してくれたとても面白い本。
    一応ネットワーク技術をかじった(CCNPまで)からそこそこは読めたが、前提知識ないとちょっときついかもしれない。

    JANOG行ったり設備設計をしたりしていた先輩方は、こういう世界を見ていたのだな…と今更ながら感じた。
    周りにCCIEホルダーがうじゃうじゃいたが、あれは本当は稀有な状況だったんだな…。
    インターネットサービス(コンテンツじゃなくインフラ)の最初の方の立ち上げやった人絶対面白かっただろうな~。
    技術面だけじゃなくコマーシャル面やリーガル面も。

    インターネットは、オープンであるという文化が面白く、私もそこに惹かれる。

    インターネットは壊れるが、治る。
    筆者はそのしなやかさに焦点を当てて好意的なスタンスから書いているが、
    同じ題材をもとにまったく逆の主張(インターネットは危険である等)もできるだろうという。
    このバランスの取れた筆者のスタンスが私は好きだ。


    ■インターネットの「標準化」
    インターネットが今の文化なのは、IETFの存在が大きい。

    ITUやISOによる標準化は de jure standard (法律上のstandard)。
    ・トップダウン方式。遵守しなければならない標準。
     ※ISOは仕事でも扱うことあるが…。
    ・会員以外には情報を公開しない。たとえば動画フォーマットなどは、仕様が公開されておらず、
     これに準じた製品を作りたくばコンソーシアムに入会し資料を購入しなければならない。

    一方、IETFによる標準化は、de facto standard(事実上のstandard)。
    ・市場で主流に?なったもに対し、「みんなこれ使ってるからこれに合わせた方がイイよ」という性格のものであり遵守を求めない。
    ・会員でもない一般人でも議論に参加、標準を提案することができる。議事録も公開されている(追うのは大変だが)。
     仕様(プロトコル)が公開されているから、一般人でもインターネットに接続できる機器を開発できる。
    ・IETFで策定する文書=RFC Request For Comments = 意見募集 ⇔ 標準。
    ・Rough Consensus & Running Codeを重視。
     独裁でも、多数決でもなく、実用的なものを作ることを目指す。
     ※このIETFの思想自体は素晴らしいなと思う。
    ・OSI(ATMの標準化をした)が淘汰されTCP/IPが勝ったのもこういうインターネットの文化による。
    ・会

    とはいえ、IETFも現在は巨大化し、エンジニアの政治の舞台になってしまうこともある。
    オープンであるとはいっても、標準化に向けてのハードルは有利・不利があり、誰でも簡単に標準化
    できるということではない。
    (何度も参加しなければ実際の議論には入れない→資金力のある大企業社員が有利、
     IETFコミュニティ内で「顔が売れている」人の発言が重みをもつなど)



    IETFと特許



    ■通信の制限
    インターネットに国境はないというが、政治的な国境はある。
    エジプトが政府の意向でインターネットから離脱したことがある、中国の「万里の長城」(ネット検閲)、ブロッキング…など。
    こういう理由で、インターネットが壊れてしまわなければいいが…。


    ■事業としてのISP
    「インターネットの大動脈」とでも呼ぶべきTier1を握ることは、そのまま他ISPから
    トランジット(=相互接続費用、通行料って感じ)でお金が入ってくることを意味した。
    (だから昔のソフトバンクはSprintを買ったのかな?)
    同じくらいの規模の相互接続数を持つ者同士であれば、お互いピアリングして、お互いのトラフィックを融通しあってあげる平等な関係になれる。
    しかし、相互接続数が少ないISPは、相互接続が多いISPと接続したいが、逆の立場からは相対的にメリットが少ない。
    よって、小規模なISPから、大規模なISPへのお金の流れが発生する。
    この均衡が崩れるとピアリング=インターネットの構成が変わる。Level3 vs Cogentなど。

    ただ、最近はTier1キャリアではない、コンテンツを持ったHyper Giants(Google, Comcast,Amazonなど)が自前ネットワーク・相互接続を持ち、大動脈になりつつある。

    ISPに勤めている人間としてはここが一番面白かった。
    Tier1でさえ、Tier 1であるというだけで収益を確保するのは難しくなってくるんだろうな、と。
    他のISPからすれば、規模の小さなISPと相互接続するメリットは少ない。
    BGPの経路数も、トラフィック(動画)は増える一方、大規模設備投資ができる体力のあるISPが生き残るだろう。中小は買収されるかも。
    Tier2以下のISP事業の厳しさたるや……。

    「BGPのASパスはお金であるといっても過言ではない」
    「発明当初のインターネットは純粋な技術の塊だったが、稼働しているインターネットは経済活動と切っても切れない。
    技術的な合理性よりも経済的な駆け引きが全体の構成に大きな影響を与えることもある」とは筆者の言。



    ■インターネットの形をとらえる:
    「インターネットの形」を、公開情報から一般人が調査できるのもインターネットの面白さ。
    その方法をいくつか紹介してくれている。

    ・「帰り」の経路探索
     tracerouteのみだと、「行き」の経路しか探索できないのだが、
     「帰り」の経路探索の方法として紹介してくれているのが「reverse traceroute」。知らなかったので面白かった。 

    ・AS Lookup
     IPアドレスからAS番号を表示する機能 (tracert -aオプション)
     Windows 10 ではできませんでした~orz

    ・BGP Toolkit:組織のAS番号・アドレスブロックを調べる
     所有しているAS番号・アドレスブロックが多いほど、インターネットインフラの多くを占めているといえる。
     なお、企業名そのままで登録してあるとは限らない(買収元企業の名前のままかも等)
     GoogleのAS数は、本に掲載の11個から、現在では20数個に増えている様子。
     Amazonは15個。
     NTT Communications(日本法人だけ)だと18個。海外法人含めたらもっと。KDDIは15個。など。

    ・Routeviews BGPlay
     任意のASに注目したAS間接続を調べられる。

    ・CAIDA 「AS Core Map」:ASトポロジをとらえる
     ノード=AS。中心からの距離が短いほど、AS間接続の数が多い(=インターネットの「動脈」である)。
     この本に掲載されている2010年時点の情報と見比べてみたら面白いだろうと思い、調べてみた。

     ・IPv4=中心にいるプレイヤーはそう変わってはなさそう。
      Googleとかど真ん中にいそうなのにいないのはなぜなんだ?公開してないのかな?
      Level3, Cogentが中心に近いのは分かるとして、NTT America(!)、Telecom Italiaあたりが近いのは何なのだろう…。
      NTT Communicationsが見当たらないので、NTT AmericaがNTT Communicatoinsの代わりなのか?
     ・IPv6=IPv6のAS間接続が2010年から大幅に増えていることがわかる。
      かつては南米、中東、インドにはほとんどノードがなかったが、ぽつぽつ増えている。面白い!

    ・BGPmon 「IPv4/v6 weathermap」: 国別のインターネットの「大きさ」をとらえる
     「プレフィックス数が多い国はそれだけ多くのISPが存在しているといえる」とのこと。なるほど。
     →この本の創刊2011年当時から実際に見て比べてようとしたが、アカウント登録しないと使えないようだ。
      リアルタイムな故障状況を公開しているページ(BGP Stream)もあった。

  • 最初はとっつきにくい本かと思って読み始めたら、すごく興味深い内容で面白い。

    「インターネットは、もろいようだが粘り強い。」
     つまり、しょちゅう切断してる o(*'o'*)o
    それが許される仕組みになっていることや その対応策などが、
    これまでに起きたインターネットのトラブル事例をまぜながら解説されていて、わかりやすい本です。

    「ネットワークのネットワーク」、その仕組みが実際にはどうなっているのか。
    知らないことだらけで目からウロコ!
     
    インターネットの世界には国境はない! と思っていたが そうではないらしい!
    厳しく規制されている国があること、政治や経済が絡んでの将来の展望が語られています。

    この本は、ほとんどインターネットから収集した情報を元に、多岐にわたるスキルを駆使して書かれています。
     付録では、その情報収集の方法が、詳細に述べられていますので、そういうことをやりたい人にはすごく参考になるのでは!

    2011/10/02 予約 10/28 借りる。 11/25 読み終わる

    内容と著者は

    内容 :
    「インターネットが壊れる」という話を皮切りに、インターネットの概要を解説。
    さらに、マクロな視点で見たインターネットの基本的な構造や歴史、仕様のデバッグなど
    様々なテーマから、インターネットのカタチを探る。

    著者 : 
    あきみち → URLはこちら http://www.geekpage.jp/ 『Geekなページ』 : 
    ・ 慶應義塾大学政策メディア研究科にて博士を取得。
      ソニー株式会社を経て、ブロガーとして活動。

    空閑 洋平(クガ,ヨウヘイ)
    ・ 1985年生まれ。慶應義塾大学政策メディア研究科後期博士課程在籍。

    目次 : 
    はじめに
    * 本書が目指したもの
    o 「壊れた」から垣間見えるインターネットの形
    o 観察方法の紹介
    o 教科書臭さからの脱却

    1章: 壊れやすくて粘り強い
    * インターネットが壊れた!
    * あんな「壊れた」、こんな「壊れた」
    * 「生き物」のようなインターネット
    * インターネットの強さの秘密
    * インターネットの「形」を推測する

    2章: ネットワークのネットワーク
    * チェコ発インターネットバラバラ事件
    * インターネットはネットワークのネットワーク
    * 全体像は誰も知らない、だから全体を止められない
    * 実際に通信ってどうやって行われてるの?
    * 「伝言ゲーム」でつながるネットワーク
    * ASとBGP
    * パキスタンYouTube事件の解説


    3章: 仕様のデバッグ
    * 同じ問題を二度と起こさないように
    * RFCとIETF
    * IETFとその思想
    * 「インターネットはオープンである」
    * オープンであることの弊害
    * IETFと特許


    4章:「名前」を巡る変化
    * スウェーデンが消えた!ドイツが消えた!
    * DNSの仕組み
    * DNSは格好の攻撃対象
    * DNSルートサーバ
    * DNSへの「毒入れ」
    * カミンスキー型攻撃とDNSSEC
    * DNSSECでできることと、できないこと
    * トップレベルドメインの増減
    * Alternate DNS Root


    5章: 物理的に切れた!
    * 物理的に「プチッ」と切れるということ
    * 光海底ケーブルが切れた!
    * 何で「集中」するの?
    * 光海底ケーブル地図が示すもの
    * 海底ケーブルは何故切れる?
    * 光海底ケーブルの仕組み


    6章: インターネットと国境
    * Webにおける「インターネットの国境」
    * エジプトがインターネットから一時離脱!
    * ネット検閲
    * Great Firewall of China
    * 日本にもあるネットへの制限


    7章: インターネットの大渋滞
    * 「興味の集中」による大渋滞
    * 大規模トラフィックに対処する方法
    * 世界最強のCDN企業:Akamai
    * 大量のトラフィックをみんなで送りつける攻撃(DDoSアタック)
    * DDoS防御


    8章: 論理的な通信の密集地帯
    * ネットワークの論理的な集中に関する概念的な話
    * ポリシーの話
    * 巨大な存在に何かあったら?
    * ビデオトラフィックの増加


    おわりに
    付録: インターネットのカタチをとらえる

  • インターネットを構成する企業、国、サービスなどを世界規模で俯瞰的に記載されていて面白い

  • よくシステム構成図などで、「ここからはインターネットですよ」というのを表すとき、雲の形を描くことがある。本書はその「雲の中」で今、何が起こっているのかを、極力分かりやすく解説している。ただ、技術に明るくない僕にはちょっと難しかった。逆に本職の人たちにとっては分かり切った内容なのだろう。そういう意味では、ターゲットが難しい本かもしれない。
    とはいえ、ラストワンマイルを生業とする僕のような人間や、雲を描いて終わりにしていいのかと一度でも考えたことがある人には、読んおく価値があると思う。

  • インターネットを形作っている技術や仕組みについて、インターネットにまつわる事件/事故などと共に解説。
    著者も「読み物」といっているように、技術でガチガチな本ではないです。が、技術者にとっても非常にためになる本だと思います。
    付録には BGP や AS 番号の調査などに関する情報が満載。その辺に関する書籍はあまりないので、そういう意味でも重宝しそうです。

  • 公開情報のみを元にインターネットの『実態』をレポートした書。特にインターネット全体を俯瞰する視点、実運用に関する記載などは他の書籍には見られない内容であり、とても興味深かった。
    インターネットはあくまで仮想的なものだが、本書は徹底的にリアルなインターネットを描いているため、読み終えた後は、インターネットを非常に現実味のあるものに感じられると思う。
    内容は初心者にはちょっと難しいが、文章がとても平易で丁寧なため、中級者(基本情報処理技術者くらい?)であれば理解できると思う。

  • インターネットって、思想の部分が先行して伝えられたりするんだけど、実際のところ、それは物理的な接続を通じた通信であって、その際のつなげ方がなんとすべてinternetとかw3cで決まっているRFCとかによってだいたいつながっているということが再確認されて、しかもそれがいかに途方もないか?とかいうことが体感できる大変良い本です。海底ケーブルは浅いところでは漁業で引っ張られて切れたり、地震で切れたりする。とかね。あとアカマイとつなぐときの各ネットワークのそろばん勘定とか。

  • インターネットは便利なものとなり、多くの人が便利なツールとして利用していると思います。また、実際にインターネットがどのような仕組みで動いているのか知らなくても、インターネットを使うことができます。しかし、インターネットに少しでも興味があり、インターネットが抱えている問題であったり、どのような仕組みで成り立っているのかなど知りたい人にはおすすめな本だと思います。また、この本を読むことで少しでも多くの人がインターネットに興味を持ち、これからのインターネットを支えるような人物が増えていくと良いと思います。
    (北九大 情報工学 Y.I.さん)

  • さまざまな項目に関する記載がありますが、どの内容もここまでしか書かれていないのか、という気持ちにならないように丁寧に吟味されているように思います。

    「高度に発達したテクノロジーは魔法と見分けがつかない」という非常に有名な言葉があります―しかし、残念ながらインターネットは魔法ではありません。ということが“はじめに”で記述されているとおり、インターネットの技術が読み物としても楽しく解説されています。

    【気楽に読めそうな文章の一部】
    Webを見たい党いうユーザのニーズ←ええ、もちろん、エロ画像目的の人も多かったですけどね。(P135)
    多くの人々がテレビで映画を見ながらノリで「バルス!」と書き込んだ結果です←著者もこのときテレビを見ながらTwitter上で「バルス!」と書き込みましたが、Twitterは落ちていませんでした。(P162)

  • アプリケーション層の技術者、それも仕事でITを知ったレベルの人間には、ふだん縁遠い話題で、いろいろ参考になった。説明は丁寧であるし、言葉づかいも平易であると思う。

  • ■書名

    書名:インターネットのカタチ―もろさが織り成す粘り強い世界―
    著者:あきみち、空閑 洋平

    ■概要

    この本では、過去に実際に起きた「インターネットが壊れて復旧し
    た」事件を端緒に、「粘り強いが壊れやすく、壊れやすいが粘り強
    い」という視点でインターネットの形を探っていきます。
    インターネットを構成する基礎技術TCP/IPを解説した書籍は非常に
    多くありましたが、そのTCP/IPを使ってインターネットがどのよう
    に運用構築されているのかに関しては、あまり知られていません。
    これまで、このような内容は通信事業者やISPなどインターネット
    の運用に関わるエンジニアだけが知るような世界でした。本書は
    「TCP/IPを知っていてもインターネットはわからない、一方でイン
    ターネットを知るにはTCP/IPの細かい話を全て知る必要もない」と
    いう思想です。
    教科書的にならずに、あくまで「読み物」として楽しんで頂けるこ
    とを目標に書いたという点も大きな特徴です。
    (From amazo)

    ■感想

    なかなか面白かったです。
    ルーティング、DNS、プロシキ、ドメイン、ASなどの説明は他のネット
    ワーク関連の本でも読めますが、本書は、それに加え、以下の点が
    優れていると思います。

     ・過去の有名な事故をいくつも紹介している。
     ・物理的なケーブルについて、障害対応方法などを紹介している。
     
    特に2つ目の話は、他の本ではあまり見られない記載だと思いますし、
    なかなかみんな知らないと思います。
    海底ケーブル切断時の対応方法なんて、この業界にいてもほとんど
    の人が知らないと思います。
    この章だけでも読む価値があります。

    その他の記載も、浅くなりすぎず、深くなりすぎずという点を微妙に
    考慮しながら、わかりやすく記載されていると思います。

    ただし、この本を読むには、ある程度、単語の意味やネットワークに
    ついての前提があった方がいいと思います。

    ネットワークの本としては、楽しく読める本です。
    オススメです。

  • software design 2013/5月号にて紹介。

  • 図書館HP→電子ブックを読む 
    Maruzen eBook Library から利用

    【リンク先】
    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000002699

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