- 本 ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784275017031
感想・レビュー・書評
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右派・左派という区別がレッテル貼り以上の意味を持つのか考えるために購入。
著者は,右派と左派とを区別する指針は,「平等」であるとする。
つまり,「右と左の区別の基準は,平等の理想についての見解の相違であ」る(118頁)。
平等主義者とは,「人間に共通するものを尊重し,またそのことがよりよき共存のために重要だと考える人々」である。
非平等主義者とは,「人間は不平等である」という,平等主義者と「同じ前提から出発しながらも,よりよき共存を実現するために,人間のあいだの相違を尊重し,また重要だと考えている人々」である。
そして,右派と左派とを「明確に特徴付ける」のは,この「平等」と「非平等」との間における最終選択だとする(97頁)。
ここに,自由に対する姿勢の違いから定義される「穏健派」と「過激派」の区別を取り入れて,以下の四つの分類を導く(118頁)。
(a) 極左(過激・左派)
平等主義と独裁主義とを共存させる。ジャコバン派が典型。
(b) 中道左派
平等主義と自由主義が共存。今日の「リベラルな社会主義」や社会民主主義が含まれる。
(c) 中道右派
自由主義と非平等主義とが共存。保守政党が含まれる。「民主主義的方法への中性」という点で,過激な右派と異なる。
(d) 極右(過激・右派)
反自由主義かつ反平等主義。全体主義。
なお,本書は右派・左派について以下のような区分を援用している。
1 ディーノ・コフランチェスコによる分類(70頁,72頁)
感傷的な政治態度を採るロマン主義(精神主義)と批判的傍観者の態度を採る古典主義(現実主義)という区分(ロマン主義にはアナーキー的自由主義,ファシズム,右派急進派,伝統主義が含まれ,古典主義には保守主義,自由主義,科学主義が含まれる。)
2 レヴェッリによる基準(84頁)
進歩と保守,平等と不平等,自己指導と外部指導,下層階級と上層階級,暴利主義と非合理主義
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