楽譜を読むチカラ

  • 音楽之友社 (2011年11月12日発売)
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本 ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784276101517

作品紹介・あらすじ

本書は、特定の楽器のための“演奏テクニック論”ではなく、特定の作品の“楽曲分析”でもない。楽譜をどのように読み、そこからどう音を組み立てて演奏していくのか、そのために必要な知識・練習計画・感情や表現を、どのように認識し、学習し、発展させるのか、を精神論にとどまらず、具体的に説いた本である。著者は、チェリストで教育者でもあるゲルハルト・マンテル。音楽の演奏と自然の原理を絡めている点も本書の魅力の一つと言える。例:「私たちの知覚は、変化しないものは信じられないくらいの速さで消えてゆく(蛍光灯の唸り音が徐々に聞こえなくなっていくように)…このことは音どうしの関係についてもあてはまる…/すべての生命現象は直線的ではなく曲線的に変化するので、生命現象のひとつである音楽も均質で均一であることは稀である…。」チェロに限らず楽器を演奏するすべての人に、深い感動と発見を呼び起こす一冊である。

感想・レビュー・書評

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  • 自信を持って演奏したい、説得力のある演奏をしたい、これは演奏家なら誰しもが思うことであり、多くの人が具体策をあげにくい課題でもあろう。

    この本では、実際に楽譜をどう読み解いていくのか、リズムや強弱など、演奏家が全て把握し、意図的に意思決定をしなければいけないポイントを丁寧に、具体例を挙げながら取り上げている。特にドイツ語の言葉と音の関連に関する点は、日本人の私にとっては目から鱗であった。

    また、その上でのズレや変化、繋がりにも言及しているのは、まさに単語を文章としてどのように構築するかという事であり、大変興味深い。

    最後には、演奏家のメンタルや、日々の練習の仕方について書かれてあり、これらは一生大事にしていきたい言葉で溢れている。

    日々の練習を効率よく、そして着実に成長させたい人に読んでほしい一冊。

  • 「音楽を学び、教える人の必読書!」とのことで手に取りました。

    楽典には書いていないことを色々具体的に書いている。
    演奏数が少ない人、音大1年生とかなら役に立つかな。

    例えば
     同じフレーズや似たフレーズが2回あったとして
     1回目と2回目をどう弾き分けるか
    ということを延々と或いは丁寧に述べている。

    チェロの譜面が多いのでチェロを弾く人にはより良いかもしれませんね。

  • アマチュアで音楽をしている方にもオススメ。

    練習していて技術ばかりに気を取られることや、表現が上手くできず行き詰まること、ありませんか。
    この本には、演奏に奥行きを持たせるためのヒントが書いてあります。

  • 昔は、覚えておきたい知識が書かれた場所をアンダーラインしていたのですが、毎回、ペンや鉛筆などを所持しているわけではないので、いつからかドッグイヤーに変化しました。
    そして、この本、人生で一番ドッグイヤーをつけたかもしれません。

    Words of wisdom という言葉が思いつくほどに、ただの音楽家、演奏家、音楽学研究者が書いたのではない「賢者のことば」が詰まっています。実用的な助言がほとんどですが、それ以外にも、アイオープナーになるものや、音楽の抽象的な真実に触れるものがたくさんあって、読んでいるあいだ中ずっと、穏やかな振動のような感動があるようでした。

    楽譜に書かれていることを「弾く」だけでは「演奏」にはならない、「なぜ」そう書かれているかを聴衆に理解してもらえるように弾かなくてはならないが、聴衆にはその演奏を好きに理解する権利がある。
    ミスを恐れず、誤解を恐れず、己の習慣さえも壊すことを恐れず、常に、自分にはいったい何ができるだろうかを自問すること。それは、大変なことではあるけれど、なんて有意義な人生の使い方だろうと思います。

    まごうことなき良著でした。

  • 音楽理論、楽想記号の解説、
    ありふれた「楽譜の読み方」の中で、この本は異彩を放っているといえる。

    五線譜に書かれた音符の羅列から、音の高さ、長さだけでなく、
    「音楽」を表現するために、
    体と気持ちを大胆に使い、実験することを恐れないことを説いている。

    無難な演奏から抜け出したい人に強くおすすめする。

  •  表紙には「音楽を学び、教える人の必読書! 自信を持って演奏したいのですが、どうしたらいいのかさっぱりわかりません! 自分の才能を最大限に発揮させるためには、どうしたらよいのでしょうか?」とあります。
     ま、ちょっとタイトルに難ありかも。
     一般的な読譜方法を想像すると、相当肩すかしをくらうと思う。

     ま、結局のところ大切なのは<感性>であると。
     
     とはいえ、この本のすごいところはそういう<感性>を言語化してるところだと思う。
     漠然と、まぁその方が素敵だから、音楽的だから、やってるクレッシェンドとか、リタルタンドとかに、明確な意図を与え、その意味を言語化しているのだからすごい。
     確かに、音楽に携わるものへの必読書であるかもしれない。
     
     …やっぱりタイトルと表紙で損してる気がするんだけどなぁ。

  • 2012.9.22読了。おもしろかった。勉強になった。
    チェロを専門とする方が書いた本。ピアノを弾く自分にも役に立つことがいっぱい。
    楽譜は不完全なもの。そこを補う?のが演奏者のつとめ。
    イメージをもって演奏する。
    いろいろ実験してみる。
    とかいろいろ。

  • 面白そうだったので少し立ち読みしてみたのですが、アーティキュレーションやリズム、フレーズ感など、曲を演奏するとき言われるようなことばについて理解を深めるきっかけになりそうな本でした。分かるような、分からないような、自分のなかではまとまりきれていないイメージをすこし具体化させて実際の演奏に役立てる足掛かりになるかもしれません…

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