ベートーヴェンの交響曲 理念の芸術作品への九つの道

  • 音楽之友社 (2017年9月25日発売)
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本 ・本 (176ページ) / ISBN・EAN: 9784276131262

作品紹介・あらすじ

国際的に著名な音楽学者マルティン・ゲックによる論考。単なる楽曲解説を超え、ベートーヴェンの交響曲の歴史的および思想的な背景を照らし出す、他にはない交響曲解説書。音楽学、歴史学、哲学、文学など、分野横断的で非常に多角的な観点から、分析と解釈を結び合わせ、ベートーヴェンの書いた音の「意味」や「真意」(メッセージ)について考察をめぐらせる。ベートーヴェンの交響曲全体に通底する概念や音楽的特徴を取り上げたあと、第1番から第9番までの交響曲ごとの解説が続く構成。「ゲックの著書を読んだ後には音楽が聴きたくなる――このジャンルに対するこれ以上の賛辞はない」(オーストリア・ラジオ)

感想・レビュー・書評

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  • もっと聴き込んでから読んだら学べることや抱く印象はまた違うんだろうなと思う。

  • まずベートーヴェンの生涯や、彼の音楽や交響曲の主な特色を見渡し、次いで一番から九番までの解説を、哲学的視点から、そして歴史的経緯等から語る。著者が音楽学のほか神学・哲学も専攻したというのがよく分かる。最初から順番に読んでいくようにできているので、特定の項だけを読むのは不可能ではないものの向かない。音楽理論についてあまり詳しくない人でも読めると思われるし、比較的薄いのですぐ読める。音楽を聴くときに味付けの一つとなるだろう。逆に言えば、演奏するための分析は十分に詳しく書いてあるわけではない。大まかに俯瞰する目的で書かれていると思われる。この著者の書く第2段を読みたいし、他の音楽家についても是非書いてほしい。装丁が、哲学本を思わせるような端正さで、手もとに置きたくなる本。

  • 読了。タイトルとは裏腹に、単に楽曲解説をしているだけの本では無かった。音楽的というより歴史的、哲学的に解説している部分が多い。たとえば「英雄」の1楽章冒頭の主題に唐突に出てくるC#のとか、8番のメヌエット楽章で、トランペットに2拍遅れて入るティンパニとか、そういうもんだと思って聞いていただけの部分について、ああそういうことだったのかと納得させる説明がふんだんにある。音楽的な説明はむしろ少なく、同時代の音楽家や批評家によるコメントなどから当時の評価を紹介するなど、音楽が好きなだけで演奏はしないという人にも十分に楽しめるような説明になっている。ただ、引き合いに出されるほかの作曲家の作品なども知っていた方が楽しめるので、クラシックをたくさん聴いている人の方がより理解が深まると思う。

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著者プロフィール

Martin Geck:1936年、ドイツのヴィッテン生まれ。ミュンスター、ベルリン、キールで音楽学、神学、哲学を専攻。1976年よりドルトムント大学(現ドルトムント工科大学)で音楽学および音楽教育学の正教授となり、2001年に退職した後も同大学で教鞭を執る。17世紀から19世紀までの音楽史を専門とし、数多くの著書を執筆。ドイツ音楽史に関する著書や、大作曲家(バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、ワーグナー、ブラームスなど)の伝記は高い評価を得ており、数十の原語に翻訳され、多数の文学賞を受賞している。


「2017年 『ベートーヴェンの交響曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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