- Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
- / ISBN・EAN: 9784276203747
作品紹介・あらすじ
没後10年を迎える伝説の巨匠の音楽論
感想・レビュー・書評
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「幻の指揮者」
自分がこの指揮者の演奏に出会った当時、呼ばれていた言葉である。
ブルックナーの交響曲6番が、NHKのテレビ番組で放送されることになった。
興味津々でテレビの前に座った。
開始1分で、自分は、その音楽に魅了された。
響き、そして、音楽の説得力。
これまで耳にしていた音楽とは、根本的に何かが違っていた。
「録音」を否定している指揮者のため、当時持てる限りの情報を使って、10年以上にわたり、海賊盤(非正規盤)を手当たり次第に購入し鑑賞した。
残念ながら、実演には接することができなかった。
それが正しい姿ではなかったかもしれないけれども、チェリビダッケの音楽に出会えたことは、自分の人生にとって幸運であった。
氏の言葉を集めたのが、この本である。
チェリビダッケは、毒舌で知られている。
同時代の指揮者カラヤンを「コカコーラ」と評するなど
口の悪さは(ある意味)絶品である。
しかし、言葉の中に、真理を持っているものもある。
それを嗅ぎ分け、大切にしていく。
これからも、音楽を続けていく限り。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
往年の名指揮者、チェリビダッケ。カラヤンなんかに比べるとやや傍流で「渋好み」なポジションだったようである。
その音楽に向かう厳しさゆえなのか、毒舌でも知られる巨匠だが、その毒舌を集めた本である。
と書くとちょっと悪趣味な気もする(笑)。
発言の特定の部分だけを抜き出すと、どうしても曲解が入り込む余地があるだろうし。
でも、おもろいもんはおもろい(笑)。
アバドに対して「才能なく、厄災」とか、カラヤンに対して「指揮ぶりはマヨネーズを混ぜているごとし」とかこき下ろす。氏特有の、レコード(録音)への罵詈雑言もある。一方、ブルックナーやフルトヴェングラーへの愛が語られる。
音楽の考え方については哲学的で難しい言葉もあるが(禅にも傾倒していた)、稀代の個性の一端を垣間見られる本なのである。 -
こうして彼の言葉を聞けるのは素晴らしいことだが、どうせならインタビューやプローべの様子を全文掲載して欲しかった。
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ブルックナーの音楽が一つの恩寵であるかのように語っていることが
とても興味深い。