- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784284102339
作品紹介・あらすじ
人間として生きること、思索することの深さ、厳しさ、そして喜びを、流麗な文体と美しい言葉で語り継ぐ滋味あふれるエッセイ。
感想・レビュー・書評
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1978年初版。昭和10年代後半から昭和30年代、戦中戦後、著者の若い頃の洞察。ヒューマニズム、死すべきもの、幸福、美、弁解、ペシミズム、教養、良識と常識、自由と偏見、自分の考えを大切にしよう、現実的、考える葦。
自分自身の心の中をひたすら見つめて、考えて考えて考え抜く、哲学だなぁと思いました。パラパラ見ただけですが、戦争の影が感じられないのがすごい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
戦中、戦後すぐに、書かれた文章のとがり具合がゾッとします。軍国主義の時代に背を向けてプラトン研究に没頭することで、自分の抵抗とした気迫が伝わってきます。
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本書にあるエッセイを初めて読んだのは高校生の時だった。言葉は平易だが、著書と共に考え抜くのはむずかしい。しかし言葉のレベルではないところで、粘り強く考え抜くことこそが哲学である。復刊になった本書を再読し、強い影響を受けていることを知った。
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読みたい。
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人間性の内容は教養であり、人間性の完成は教養の完成であると考えられる時、人間性は一般概念として規定されたことになるが、しかしその教養の内容は、すでに歴史的に限定されてしまっているのである。
ヒューマニズムはおよそ人間のなすことは、自分にはよそごととは思われないという、一個の博大な精神をいう。
かくて人間は孤独であり、自分だけの存在であるということは人間が可死的であるというのと同じくらいに、絶対的な事実なのである。
何も求めずに、単なる生存に甘んずることはないかと疑われる。いっさいの文化を否定し、生活の向上を断念することだけが、はたして幸福への道であるかどうか、わたしたちは疑わざるをえない。
教養はわれわれの自己を形成し、われわれをより強くより美しくするものでなければならなかった。この意味においては、教養の無力とはあり得ないのである。
教養は戦後においてHumanitiesとして、理解されるようになってきた。教養というのは人間形成のこと、あるいは人間らしさをつくることなのである。