若者はなぜ「就職」できなくなったのか?―生き抜くために知っておくべきこと (どう考える?ニッポンの教育問題)

  • 日本図書センター
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784284304443

作品紹介・あらすじ

「日本的雇用」、「新規学卒就職」モデルの崩壊!悪化する「就職内定率」、燃え尽きる「正社員」、使い捨てられる「非正規労働者」、付け焼刃の「学校教育」。ルールなき時代を漕ぎ渡るキャリアとは?無防備なままに若者を社会に放り出すな。

感想・レビュー・書評

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  • ゼミ生にキャリアセンターが就職活動に役に立ったか、と聞いてみたら、12人中0人だった(笑)一度も利用したことがない学生は自分も含めて5人。なぜ若者は就職できなくなったのか、という問題に対する筆者の答えは、やはり企業が採用を抑制しているから、というもの。法政大学の、しかもキャリアを専門に教えている教授がこんなことを堂々と言うのは正直驚き。

  • 巻末にブックガイドあり。

    新卒で正社員という道は相当狭き門になっている。
    今の大学のキャリア教育というのは、その狭き門に無理矢理ねじ込もうという何とも付け焼き刃的な方法。
    どちらにしても正社員になれる人数は限られているわけだし、実はナンの解決にもなっていない。

    大学をはじめとする教育機関は、学生を正社員にするにはということに固執するのではなく、もっと別の視点から若者の就業について考えていかなくてはならない。
    例えば、正社員になれない(なれなかった)若者への支援方法。
    また、将来、正規非正規を問わず働くに当たって知っておかないと泣き寝入りするはめになるようなこと(労働基準法など労働者を守ってくれるしくみなど)。

  • 教育の専門家による大学の教育論。教育の見地から大学教育について、よく研究されており正しい分析がなされていると思われるが、国家としての視点が欠けているため、教育者による教育論にとどまっており、ひとりよがりの感じがする。「社会の他のサブシステムとの関係をとらえて教育を論ずる」と言いながらも、この考察は不十分である。現在の日本が置かれている危機的状況からいえば、多くの非正規労働者まで救済する余裕はない。本当は、老人に対する社会保障を切り詰め若者の教育に予算を回すべきであろうが、政治家にそれを求めるのは無理であろう。企業は優秀であれば外国人でも雇用するわけで、日本人だからといった特権はない。日本の若者も、世界に通用する資質を涵養するしかないのであって、それを手助けするのが大学であろう。世界大学ランキングでおそまつな結果しか残せていない日本の大学教育の関係者は危機感を全くもたない能天気な既得権益者としか思えない。政府を批判する前に大学自らが工夫し、世界に誇れる教育を行ってもらいたいものだ。
    「最終的にに正社員になれなかった者のキャリア設計については、ほとんど目が生き届いていない」p164

  • 著者の問題意識には同感だし、論旨も全体的に異論はないのだけど、世間の多くの意見とはすれ違うんじゃないかなあと心配。
    まあそのへんはこういう本をたくさんだして、ちょっとずつ啓蒙していくしかないのかな。

  • 【所在】3F開架
    【請求記号】377.9||KO
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/178259

  • これは文句なしに腑に落ちた.
    後頭部をガツンと殴られて,目から鱗が落ちた感じ.
    今まで何かしっくり来ないまま大学でキャリア教育というものに巻き込まれてしまっていたが,ずっと引っかかっていた違和感の固まりが取れた様な快感.
    しかし,産業界も大学も簡単には方向を変えないだろうな.
    でもこのままの少し歪んだキャリア教育は何とかしなければならない.

    著者の児美川先生,法政のキャリアデザイン学部所属というのは何となく妙な気がするが,もしかしたら名前から受ける印象で,この学部のことを誤解していたのかも知れない.

    2回目:やはり児美川先生、すっぱり言い切ってくれている

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB04946650

  • キャリア教育の勉強のための本。このシリーズは読みやすいからホントおすすめだね!!

     教育と就職力は昔から切り離せない。学歴の影が薄くなった今、教育には学問よりも仕事のスキルが求められるようになった。現代の若者が就職できなくなったのはやはり教育が就職力を鍛えられていないからだろうか。

     そうではない。この本では、就職前線の社会的背景を解説しています。

    ____
    p6  教師として経験談を話せる時代じゃあない
     新卒一括採用の時代が終わった今、年寄りの経験談は通用しない。現在の情報を仕入れて分析して説明できるリアルタイム・アドバイザーの資質が教師に求められる。
     年寄りが語れるのは、不易と流行の「不易」の部分だけだ。

    p44  教育にキャリア支援は専門外である
     今教育はキャリア教育という新しいことを始めている。当然うまくいくはずはない。現在、命を削ってそのより良い方法を模索している。その人柱になっている教員がいる!頑張って!

    p100  学校の市場原理
     学校間の競争が導入されている。それぞれの学校が自校の「強み」を必死に作ろうとしている。今、そこにキャリア教育のトレンドが加わり、ブームになった。私立校には徐々に多様な特色が生まれつつある。
     公教育はどうしていくべきであろうか。学校で多様なサービスに答えられるのだろうか。いや、難しい。ではどのような代替案が生まれるか、注目である。

    p176  「楽しく働きたい」の本音
     最近の若者は、「楽しく働きたい」を求めている。裏を返せば、仕事が楽しくないと認識しているのであろう。仕事は楽しいことばかりで成り立つわけがない。けれど、バブルのころのように労働者に余裕がない時代では、こんな言葉が出るのもしょうがないのかもしれない。
     せめて、仕事が楽しくなくても、プライベートは楽しめる保証を、仕事がプライベートを侵害しない保証をもらいたいものだ。

    p182  自己分析の無意味さ
     社会経験がほとんどない若者に、これから社会人として成長する若者に、自己分析をさせても意味はない。自分にマッチする仕事を調べるなんて愚かかもしれない。これから如何様にも変わっていく、人間性を歪ませかねない。
     それよりも、社会というものがどういうものか、仕事の多様性とか、そういったことをわからせた方が有益である。マッチングというのは机上の空論であるから、型にはめるようなことより、可能性を広げることに注力すべきである。
     →まぁ、就職という未知の不安への気休めにはなるよね。

    p232  社会人の心得
     「自立とは、一人で何でもできる力ではなく、他人に上手に迷惑をかける力だ。」- 竹内常一
     社会人になるものに教育が学ばせなくてはいけないのは、これに尽きるのではないだろうか。

    ____

     終身雇用が終わったこれからの世は、個人がいろんなところで能力を身につけていって、それを各自がその場その場で生かしていく世の中。つまり、キャリアを自己管理する世の中である。だから子供たちにキャリアの管理能力を身につける必要がある。それを教育が任されているのである。

     大変だね。

     勉強することの範囲が決まっていたのに、枠がなくなったんだから、子供たちは大変!大変!
     それに付き添う教師も大変!大変!

     責任。責任。

  • <閲覧スタッフより>
    かつて定説となっていた就職モデルが通用しなくなってきている。それは雇用形態の多様化、企業の求める人材の変化などに起因し、就活の方向性や意識・価値観も同様に様変わりしている。法政大学で実際に学生たちの生の就活相談を受ける著者が分析する新時代の就活モデルとその対策。
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    所在番号:377.9||コミ
    資料番号:10205393
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著者プロフィール

1963年生。法政大学キャリアデザイン学部教授。法政大学文学部教育学科専任講師、助教授、キャリアデザイン学部助教授を経て現職。専門は教育学。法政大学大学評価室長、日本教育学会理事、日本キャリアデザイン学会副会長。
著書に、『キャリア教育のウソ』(ちくまプリマー新書)、『「親活」の非ススメ──"親というキャリア"の危うさ』(徳間書店)、『若者はなぜ「就職」できなくなったのか──生き抜くために知っておくべきこと』(日本図書センター)など、編著に『これが論点!就職問題』(日本図書センター)、共著に『キャリアデザイン学への招待──研究と教育実践』(ナカニシヤ出版)など多数。

「2015年 『まず教育論から変えよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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