「習慣病」になったニッポンの大学―18歳主義・卒業主義・親負担主義からの解放 (どう考える?ニッポンの教育問題)
- 日本図書センター (2011年5月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
- / ISBN・EAN: 9784284304450
感想・レビュー・書評
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB05803568 -
借り物
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序章から第6章を読むことで大学制度と大学政策の基本的な流れとポイントを把握することができる。様々な理由で時間を割くことのできない多くの大学職員に読んでほしい本だ。すぐに読み終えられるだろう。
しかし、終章の「大学をみんなに解放しよう」に書かれている主張に、同意する勇気はなかなか持てない。財政基盤に裏付けされた公共性の議論の中で、大学政策を論じる場合、社会福祉政策との兼ね合いなってしまいそうだからだ。生涯大学進学率を100%にする福利厚生より、医療や児童福祉の命の問題にどうしても限りある資源を投下するべきだと思ってしまう。はたして日本はどこまで高福祉・高負担の国家になれるのか。
著者のいう、理想像に近づけるために、現状との折衷案で、現在の奨学金制度を抜本的に設計し直すくらいの改革政策を検討してはどうだろう。特に本書では提起されていなかったので。 -
閲覧室 377.21||ヤノ
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高校生向けに書かれているため、わかりやすく
また、興味を惹かせる内容だった。
矢野さんの「高等教育の経済分析と政策」も並行して読んでいたけど、主張内容はほとんど同じでよりわかりやすくしたものという印象を受けた。
大学教授は、自分の研究を高校生にも説明できるようにすることが必要があると思う。もちろん、理論的な根拠も必要で、専門家からの批判に対しては、きちんと答えられる必要もある。しかし、論文を出して終わりにするのではなく、その説明を一般にできるかがこれから重要になると思う。
そういう意味で、矢野さんのこの本は模範的な印象を受けた。 -
多くの大学関係者に読んで欲しい本です。
この本を読むと、現在の大学が抱える課題が40年前から変わらないこと、そしてなかなか解決できない理由を比較的簡単に理解することができます。
ベテラン関係者はこれまでの責任を自覚し、若手関係者は過去を未来につなげるために読んで欲しいです。 -
戦後の経済動向と「大学改革」の動きを丹念に辿りながら、日本の「大学改革」を論じた好著。大学は公共の場として国民皆に開放されるべきという著者の主張に賛同したい。大学にもっと予算を配分し、大学で学びたいと思っているすべての人々がタダで知識やスキルを身に付けることができるようにする、そうした資源配分政策こそが「大学改革」の根本にあるべきである。つまり、国民の税金をどのように中長期的に活かしていくのかについての議論が欠けているとの主張は、まさに正論である。