雪明りの路 (愛蔵版詩集シリーズ)

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  • 日本図書センター
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784284700030

感想・レビュー・書評

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  • 1926年(大正15年)。
    小樽出身の作家・文芸評論家、伊藤整の処女詩集。正直なところ、詩としては題材も表現も素朴すぎるように思うが、22歳のときの若書きだからかもしれない。ただ、小樽に住んだ経験のある身としては、この時代、この地方に生まれ育って全国的に通用する教養人になったというだけでも、じゅうぶんに凄いことだと思う。大正時代に小樽市塩谷に生まれて、文学の類に触れることができた人間自体、かなりの少数派だったはずだ。

    脱線するが、今の時代、「雪あかりの路」と聞いて小樽近郊の人が思い浮かべるのは、この詩集ではなく冬のイベントの方だ。毎年2月、小樽運河や、今は廃線となった鉄道線路(旧手宮線)に沿って、無数のロウソクが並べられ、夕刻に火が灯される。運河にはロウソクの入ったガラスの浮き玉も浮かべられ、運河沿いの街灯とともに雪道を照らし出す。「さっぽろ雪まつり」に比べると知名度は低いが、たいへん幻想的なイベントである。命名は、もちろんこの詩集に由来する。
    http://otaru.yukiakarinomichi.org/

      あの吹雪が
      木々に唸って 狂って
      一しきり去つた後を
      気付かれない様に覗いてごらん。
      雪明りだよ。
      案外に明るくて
      もう道なんか無くなつてゐるが
      しづかな青い雪明りだよ。(雪夜)

    • nejidonさん
      佐藤史緒さん、こんにちは♪
      こんな素敵なレビューを載せていらしたなんて。
      小樽の町が大好きで、何度旅したことやら、です。
      カシオペアで...
      佐藤史緒さん、こんにちは♪
      こんな素敵なレビューを載せていらしたなんて。
      小樽の町が大好きで、何度旅したことやら、です。
      カシオペアで札幌まで出て、又北斗星で行ったこともあり。飛行機はもちろん。
      ろまん号というバスで市内循環してみたり、北一硝子の花園本店の二階で珈琲を飲むのがお決まりでした。
      そうですね、言われる通りあの地に生まれ育って全国的に名の知れるひとになったというのは、本当に凄いことです。
      そうか、伊藤整氏も小樽雪あかりの路を歩いたかもしれませんよね。
      ああ、もっと早く知っていたら・・笑
      にぎやかな札幌雪祭りよりもずっと好きですよ。
      レビューに驚いたり喜んだりの、書きこみでした(^^♪
      2018/01/25
    • 佐藤史緒さん
      nejidonさん、こんにちは!
      コメントありがとうございます。

      nejidonさんが小樽に来たことがあるとは。しかもリピーター! ...
      nejidonさん、こんにちは!
      コメントありがとうございます。

      nejidonさんが小樽に来たことがあるとは。しかもリピーター! 元・地元民として御礼申し上げます(笑)

      仰る通り、賑やかというか喧騒に近い札幌雪まつりよりも、しっとり幻想的な小樽雪あかりの路の方が、大人にはずっとオススメです。運河沿いの道などは、水面にまで無数のロウソクの灯がゆらめき、本当に異世界のようです。

      北一硝子もご存知でしたか。私は以前、北一硝子本館の近くに住んでおりました。残念ながら二階の喫茶店はもう閉店してしまいましたが…。

      その代わりという訳ではありませんが、もし…再び小樽に来られる機会がありましたら、ぜひ「キンダーリープ」という店に行ってみて下さい。小樽駅から車で8〜10分位の所にある「おもちゃと絵本と珈琲のお店」です。知る人ぞ知るお店で、本州から来られるファンの方もたくさんいます。HPもありますので暇つぶしに覗いてみて下さい。絵本や児童書に造詣が深くていらっしゃるnejidonさんなら、きっと一日いても飽きないお店だと思います
      ( ´ ▽ ` )

      長々と失礼しました。これに懲りず、また遊びにきて下さいね♪
      2018/01/25
  • 小樽の冬のイベント、雪あかりの路に行く際に読んだ1冊


    詩集を読まない私、本を開く前はとても
    ロマンチックでメルヘンな文章が並んでいると
    思っていたのだけど
    全くと言っていいほど違う印象の詩集でした

    その中で「月は銀」「夏になれば」は少しだけ心に残った

    特に「夏になれば」の、あなたの笑顔にだけは不幸がうつらない様に。が好きだった

  • 雪降る小樽の町で初めて体験する恋愛の切なさや、自己の心の揺らぎが平明な言葉で繊細に織り込まれ、若者の共感を呼ぶ詩集。初刊のデザインの香りを伝えるシリーズ。

  • 早熟のあやうい感性が見えます。 詩は、けっきょく彼の表現手段ではなかったのかもしれません。

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