長崎の鐘 (平和文庫)

著者 :
  • 日本ブックエース
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784284800778

感想・レビュー・書評

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  • 爆心地に近い病院にて被爆し、自ら危うい状態になりながらも働いたお医者さまの記録。
    他の図書と違い、宗教のオブラートで美しく表現されている節があるものの、それでも惨状は覆い隠せない。
    原子力、放射能に関しての基礎知識があったおかげで、他のお医者さまの文献に比べ焦燥感がなく、全面にこれでもかと出される宗教から、現実が薄れて見える気がするのも、他の図書と違います。
    共感しかねる点はあるものの、戦争は駄目との思いは強く同感です。

  • 長崎に原爆が落とされ、原子野となった浦上での永井博士の記録。
    妻も家も失い、自身も被曝しながらも、人々への懸命な治療を行う。放射線を専門とし、敬虔なカトリック信者ならではの言葉が並ぶ。浦上は神の子羊として捧げられたのだという言葉には、ただただ頭を垂れるしかない。

  • 原爆の放射能を浴びる量や距離によって様々な症状事例が記載されていて参考になる。

  •  永井博士が長崎被爆当時を記録した本。

     先日読んだ、『この子を残して』ほどキリシタン色は強くなく、こちらはただ淡々と(ときに自己の感想を織り交ぜながら)、長崎原爆の日からの長崎医科大学のスタッフたちがいかに懸命に人命救助、原子病研究にあたったかについて描かれている。

     それにしても、先日読んだ『ヒロシマ日記』と比べると、原子力(放射線)の知識についての有無でここまで治療に差があるものなのだろうか。と感じさせる点が多々あった。『ヒロシマ日記』の蜂谷氏は患者に次々と襲ってくる未曾有の症状にたいして、行き当たりばったりで対処療法を行うしか術がなかった。
     それに対して、永井博士は元々放射線を専攻しており、被爆直後の米軍のビラで原子爆弾であることを知るや否や、大学のスタッフたちと「アメリカではどのような研究が進められているのか」「今後どのような症状を起こす患者が増えるのか」について、ある程度予測し、治療しつつ研究に当たっている。

     持つべきものは、文献や資料、宝物などではない。人間、本当に身動きが取れなくなったときに、財産となるのは知識と技術だと感じさせられた。
    やはり、どの職業においても、専門職である人間は日々の自己研鑽を積むべきである。

     それから、家族についての記述が見つからなかったのが意外だった。

  • 長崎原爆の被害者永井医師の記録。
    原爆が落ちた直後からの被害状況が克明に記録されている。
    特に、爆風、ガンマ光線の被害、それによる症状など時間経過やキョリなどを織り交ぜてしっかり記録されていて驚く。
    医師同士で原爆について語られている場面を読むと、原爆の存在はある程度知られていたと思われる。
    そういう人たちがいたという事実を知ると開戦したことがとてもむなしく思われる。

    また作者がキリスト教徒のため、原爆投下は神の摂理であるという表現がある。この言葉にも驚かされた。
    神は乗り越えられない試練は与えないとされているが、あまりにもむごい試練だと思う。乗り越えるということは、これを伝えていくということになるのだろうか…とにかく、一度は読まなければいけない作品。


    永井 隆
    医学者。明治41年(1908)2月3日~昭和26年(1951)5月1日。島根県松江市生まれ。幼年時代を父が医院を開業していた島根県飯石郡飯石村でおくる。松江中学校、松江高等学校卒業後、長崎医科大学(長崎大学医学部の前身)入学。昭和7年(1932)同大学卒業。助手。8年見習医官、満州事変に従軍。昭和9年長崎医科大学物理的療法科副手。同年6月受洗、霊名パウロ。結婚。12年陸軍軍医中尉、同年8月~15年2月日中戦争に動員される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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著者プロフィール

永井隆

ジャーナリスト。1958年群馬県生まれ。明治大学経営学部卒業。東京タイムズ記者を経て、92年フリーとして独立。現在、雑誌や新聞、ウェブで取材執筆活動をおこなう傍ら、テレビ、ラジオのコメンテーターも務める。著書に『サントリー対キリン』『ビール15年戦争』『ビール最終戦争』『人事と出世の方程式』(日本経済新聞出版社)、『国産エコ技術の突破力!』(技術評論社)、『敗れざるサラリーマンたち』(講談社)、『一身上の都合』(SBクリエイティブ)、『現場力』(PHP研究所)などがある。

「2019年 『名門高校はここが違う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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