余命10年 (文芸社文庫NEO)

著者 :
制作 : loundraw 
  • 文芸社
3.99
  • (52)
  • (52)
  • (33)
  • (4)
  • (4)
本棚登録 : 560
レビュー : 65
  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784286184920

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 死ぬ前って、もっとワガママできると思ってた。
    二十歳の茉莉は、数万人に一人という不治の病にたおれ、余命は10年であることを知る。笑顔でいなければ、周りが追いつめられる。何かをはじめても志半ばで諦めなくてはならない。未来に対する諦めから、死への恐怖は薄れ、淡々とした日々を過ごしていく。そして、何となくはじめた趣味に情熱を注ぎ、恋はしないと心に決める茉莉だったが…。衝撃のタイトル。衝撃の結末。涙よりせつないラブストーリー。

  • ずっと読みたいと思っていた。忘れかけていた時に中古で見つけた。
    遺伝か…。やるせない気持ちになった。「余命10年」…なんて残酷な宣告なんだろう。両親は何ともなくって姉も発症しない。祖母から突然バトンが渡される隔世遺伝。これほど理不尽で納得いかないことが他にあるだろうか。共感する部分が多すぎた。遺伝する疾患というのは本当に何とも言えないつらさがある。

    病状が悪化しないとか、一筋の光があるんじゃないかと祈るような気持ちで読んだ。
    抑えて心情はあまり綴られていないぶん、覚悟を決めて書いているんだなぁ…と伝わってきてつらかった。身を削って執筆しているのが、茉莉と重なって見えてしまう。茉莉という名のお祭り(本当はマツリカの茉莉なのに…)、こういう細かいところまで苦しくて涙が出てきてしまった。

    2018年積読本消化34冊目。

  • タイトルと表紙の絵に魅かれて書店にて購入。

    普段は全く恋愛小説など読まないので、他の小説と比較することは難しいが、
    主人公の茉莉の心理描写が非常に優れていると思った。
    少なくとも、この手の本にありがちな「難病だけど、明るく前向きに頑張ります!」という単純なものではない。

    残された時間の中で茉莉が何を選択し、何を切り捨てていくのか、目が離せなくなる。
    和人への想い、友人との距離感、病や死に対する恐怖が刻々と変化していく様子が、ストレートな言葉で語られていく。

    個人的には、死期が迫った茉莉が、(かつて自分も同じ立場であった)凛子に対して嫉妬の感情を抱く場面は、
    著者のリアルな心情が見えたような気がして心苦しくなった。

  • 書店でたまたまタイトルが目につき、手に取った。裏表紙に書かれているあらすじを読んで、いわゆる「セカチュー」的な、難病で死別する男女の切ないラブストーリーかと思い辟易したが、作者紹介欄を見て思いきって購入。というのも、文庫の発行を待つことなく逝去したそうで、作者本人が病気の当事者だったならば、病気が単なるお涙頂戴のための舞台装置になっていないのではと思ったからである。
    読後の感想としてはやはり期待したとおりで、確かにラブストーリーは主軸であるのだけれども、死に行く者の圧倒的な孤独が描写のメインだった。10年の余命で周囲と同じように仕事や恋愛に希望を持つわけにもいかない、そんな立場をわきまえつつ、自分の夢に、そして愛しい人のためにひた向きな主人公の健気さに胸が打たれた。
    展開を語るうえで一番評価したいのは、余命3年を残して別れた名家の跡取りである恋人と結局再開することなく主人公が死んだことである(安っぽいストーリーなら死に際に恋人が駆けつけるところだ)。恋人の今後のことを思ってきっぱり身を引いた主人公の心情を、ちゃんと恋人が理解していたことにも好感がもてるが、何より主人公自身本当は会いたくてたまらないのに、会わずに死ななければならないことのやるせなさ・報われなさが胸に迫った。
    全体として、余命10年のうち描写するところと飛ばすところの緩急の付けかたもよく、テンポよく読めた。病気を扱う物語ではあるが、主人公の直接的な死亡シーンはなく、終止主人公の死に向かう心情描写に徹していたのも良かった。
    ただ、主人公の趣味・夢のほうの設定や展開がうまく行き過ぎている感が拭えないが、それすらも、文学で賞を取り、本を出版ことができた作者の幸せをもとに描写されているのかと思うと、たまらない気持ちになった。

  • あなたは今、「あなたの余命は10年です。」と言われたら長いと思いますか?それとも短いと思いますか?
    正直に言って読む前までは私は、余命にしては長いと感じていました。だって自分の10年後って想像できますか?
    結婚?旦那さん?子供?私には全然 想像できません。
    じゃあ逆に10年前…
    小学生?中学生?まだまだそんな頃です。
    やっぱり10年って大きいです。
    出来るようになったこと、失ったもの…
    色々なことが変わりました。
    だから10年って長いと思ってた。

    でも、この本を読んで
    「10年って10年しかないんかぁ」って思えました。

    そんな時に本当に大切にしたい人と出会ってしまったら…
    友達は?親友は?家族は?


    あなたならこの10年どう生きますか?






    作者さんこれを書き終えて亡くなってはるんや…

    作者さんありがとう
    何度も読み返して泣いています。

    若い人にこそ読んで欲しい1冊です!!!!

  • 気がついたら涙が出ていました。
    作者も茉莉と同じ気持ちだったのかな。
    この物語は様々な人が様々なことを考えるきっかけになり得ると思います。
    月並みな言葉ですが、自分らしく悔いのないよう生きていきたいと思いました。
    大切にしていきたい作品です。

  • 創作物語にしては茉莉の心の負の感情がやけに人間らしいな…と思い読み終えて、他の方の感想を見てみて衝撃を受けた。すぐに確認してまた涙が込み上げてきた。これは、ただの創作物語じゃなかったんだ…。

    なにもかも丸く収まるのをどこかで願って読んでいた。
    だけどそうはいかなかった。悲しいし、悔しいし、やるせない。でも、それが現実なんだろうと、だからこそこの作品なのだと、矛盾しつつも納得できる気持ちもあった。

    死へ向かう後半の心情描写が細かく、淡々と時間が迫って来るのが怖かった。
    ここにコメントを書いている私たちも余命宣告は受けていなくてもいつしか死ぬのは決まっているのに、私たちはあの秒読みに気づかない。気づいたとき、どんなに…どんなに怖いだろう。

    読みながら好きな人を思った。
    私は余命が決まっていれば、あと十年もないと分かっていたら、どうするだろう。別れるだろうか。初めから付き合わないだろうか。それとも、最期を看取ってもらうだろうか。
    私が茉莉のように行動したら、彼はなんと言うだろうか。
    ただ…。茉莉は女として生きることを捨てたと言っているけれど、私は……惚れた人に自分の最期を見せなかった、見せたくなかった茉莉は、最期まで女として、和人に恋をした女性として生きていたのではないのだろうかと思う…。

  • 頭の中で鮮やかに映画化できるような小説だなと感動にひたりつつ、最後に著者プロフィールに目を通したら、そこに最大の衝撃が。
    ---
    本作の編集が終わった直後、病状が悪化。刊行を待つことなく、2017年2月逝去。
    ---
    "死ぬ準備はできた。だからあとは精一杯生きてみるよ。" 各章の終わりに綴られているヒロインの日記は、著者の叫びのように思えて、胸の震えが止まらない。

    #余命10年 #小坂流加 #死ぬ準備はできた

  • 読み終わって、作者紹介の部分を読んだら
    2017年2月に亡くなられていると書いてあった。
    文芸書が出たのが2007年6月。
    これが本人のことなのかはわからないけど
    作者はどんな思いで最後にこの本を書いたのか
    心にグッとくるものがあった。

  • インスタのストーリーで”あと10年しか生きられないとしたら、あなたはなにをしますか。”
    というフレーズを見て引き込まれたのが出会い。その後本屋で見つけて即購入。

    余命10年って結構長いんじゃない?やりたいことできんじゃない?って読む前は思っていた。
    でも読んでみると変わってくる。
    周りと自分との差、嫉妬に、自分の醜さに自己嫌悪する日々。結局自分との闘いなんだな、と。
    何もかもその一瞬を楽しむ、飛ぶ鳥跡を濁さずの生き方から人を愛し、自分の人生に意味をもたせる生き方へ。
    茉莉の決断と、最期の呟きに胸が締め付けられる。茉莉の強さと、切なさに言葉が出なかった。

    わたしは余命が10年しかなかったらどうするかな。
    結婚して子どももうみたい。若いうちに残していくのは可哀想かな。
    海外旅行を存分に楽しむかな。
    それとも、今ある当たり前の日々を尊く感じて、日常を過ごすのかな。
    人は誰しも最後、となると今まで見られなかったくらいの力を発揮する。
    それと同じで、10年だからやる。
    のではなく、残りあとどれくらいかわからないから
    今できることを最大限にやる生き方にしていきたい。
    自分のこれからの人生、ストーリーを考えるきっかけになった。
    読み終わったあとは、長いため息をひとつ。
    当たり前に健康で、当たり前に家族がいて、
    そんな当たり前はなくさないとわからない。
    大切にしなきゃな。と思いました。

    そして著者さんも病気で亡くなられてるとか。
    だからこそありきたりな軽い、良い話ではなく、
    病気に引きずり込まれるような、魔の力とか
    そういう表現に、物語の深みが出ていると感じた。
    またこの本の捉え方も変化してくるだろうな。

    この本を読めてよかった。

全65件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

小坂流加(こさか るか)
7月4日生まれ。静岡県出身。第3回講談社ティーンズハート大賞で期待賞を受賞。2007年、文芸社から単行本で『余命10年』を出版。2017年5月、内容を大幅に加筆・修正し、「文芸社文庫NEO」レーベルで再刊行。
しかし「文芸社文庫NEO」版の編集が終わった直後、病状が悪化。刊行を待つことなく、2017年2月逝去。

小坂流加の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
恩田 陸
有効な右矢印 無効な右矢印

余命10年 (文芸社文庫NEO)を本棚に登録しているひと

ツイートする