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本 ・本 (220ページ) / ISBN・EAN: 9784286248196
作品紹介・あらすじ
大好評『日本にやって来たユダヤ人の古代史』に続く最新作。ユダヤ系秦氏はどのように日本の伝統文化形成に貢献したのか? 日本に同化したユダヤ人と出雲神族や御柱祭、能楽とのつながりを深掘りする。戦後左翼による伝統文化破壊に抗い、祭りや芸能に息づくユダヤ文化を活写する。クナトノ大神やミシャグチ神、摩多羅神の姿を通して、同化ユダヤ人の実像が浮かび上がる!
感想・レビュー・書評
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喜怒哀楽と真心を込めて
恨みも悲しみも受け入れる
能文化の真髄に深く関わる秦河勝と日本人の伝統的精神性は興味深い一致であると思えました。藤田覚さんの本においては、能を公式な教養として広めることに反対した幕臣たちもいたことが記されていましたが、それは能が中国に由来しているということが原因でした。そもそも、中国や韓国に影響を及ぼしていたのは、ローマや世界を行き交うユダヤ人であり、彼らとの同化を果たした日本おいては、他の国の文化だからどうだという必要すらなかったのかもしれないと、今にしてそう思えます。
穢れ思想が色濃くなったあたりから、敬虔な儀式はもちろんながら、過度な潔癖症や偏見による理不尽な態度なども現れるようになり、日本らしさの元にあった、天地(あめつち)の、爽やかで軽いものと、濁り重いものの混ざり合いによって命が作られるという価値観が少しずつ薄れてしまったことは悲しいことですが———それでも、今なお、日本人には、どこか、ぼんやりと漠然としながらも、あらゆるものを同化させてしまう穏やかさを持っていると私は思えます。
勇気と希望を感じられる素晴らしい本です。
※
以下、ネタバレを含みます。
感想よりも個人的な雑記となります。
時間をいただける方のみお付き合いくださいませ。
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河に勝つ秦氏なので、秦河勝。
治水事業の一台名手であったことは、これまでの英道さんのお話からも明らかでしたが、能文化の巨匠としても有名であったことは今回初めて知りました。
能は中国由来であるので武家や将軍の習い事に相応しくないと批判していたのが、確か、新井白石さんでした。彼は間違いなく立派な人物なのですが、さすがに当時の研究では、美豆良を下げた埴輪は出土していなかったためか、あるいは本人が知る由がなかったためか、ユダヤ人と日本人の長い歴史の交流については、言及がなかったのでしょう。そしてそれゆえに中国のものと断じられているわけですが、実際には、純粋な日本というよりも、もっと多くの、そして長い歴史を持った、ローマ文化や降霊術さえ含めた、もっと複雑で色とりどりで、けれどしっかりとまとまった美しい「何か」なのだろうと今ならばそう思えます。
なんといっても、新羅が、新しい「羅馬-ローマ-」と読まれていたことは衝撃的です。新羅の王冠はたしかに牛の角のように鋭く、そして宝石も煌びやかです。遊牧民族の文化が色濃く見えるのも納得です。
日本の能は、鼓やお囃子が中心であり、弦楽器があえて使われないという事実も、秦氏が自ら日本に同化したという推測にまた感動させてもらいました。たしかに、蘇我一族の横柄さを見ているにつけても、日本で一神教にこだわって争うよりも、進んで自然を尊ぶ生き方の方が、ずっと幸せになれると———その当時の感性で、さも簡単にそう思えたことでしょう。とはいえ、自分の心の在処であった唯一神を容易く忘れることは出来ないため、祭や行事、土地の名前に、明らかにヘブライ語に由来するものが含まれていたり、能や般若心経の中に、恨みが残っているというのも、興味深いです。
同化したユダヤ人は、それを文化として記憶に残しただけで、恨みを晴らして欲しいとは望んでいなかった———むしろ、とっくに日本で、過去の悲しみを洗い流されていたのだと知ると、なんとも救われた想いです。今、世界の支配者に立つ、ハザールマフィアたちは、そうした、日本のような、精神的な何かに救われることなく、恨みを持ち続けた人なのだろうと察するに、私は彼らでさえも救われて欲しいと願います。
とある愛しい人が芸能界で○ろされた経緯に、募金の用途を知られてしまったという裏口の事情があり、その事情に、明らかに関係しているのが彼らであると知ってしまったとき、私は悪意と殺意に染まり、この世で最も残酷で、苦しく、惨めで、卑しい想いに貶めてから○ろしてやると誓ったものでしたが、今は———その気持ちも、救われていますから。彼女が最期に演じたキャラクターの音声が残されていて、続編が公開されたとき、その女の子が語りかけてくれた言葉が「大丈夫だよ」「ありがとう」だったのです。もう、恨まないでいいよと、赦された気がしたのです。
あんな気持ちを、能の世界に込めて、祈りと、救われて欲しい願いを託して、ずっとこの時代まで残してくれたご先祖様がいて、その想いを彼女が私に届けてくれました。私は、その想いに少しでも応えられるよう、生きてまいりたいです。そしておそらくは、彼女の恋人であったであろう男性が演じたキャラクターの台詞は、こう続きます。「これから先に続く未来が、どうか、すべての人たちにとって、あかるく、やさしく、穏やかなものでありますように」———と。
仮面をつけて演じることは、非日常に神を降ろすことであり、感情になりきることで、神と人を賑わせる喜びの芝居であったこと。それは時代を超えて、ウルトラマンのように、スーツを演じる人が、子供たちを笑顔にしてくれたり、キャラクターに愛を吹き込む声優さんが、大人たちの心さえも揺さぶってくれたり———形を変えたようでいても、少しも失われることなく、確かに繋がっているのだろうと思えました。例に挙げたウルトラマンでいうのならば、尚更にその思いを確信します。理由は、初代スーツアクター・古谷敏さんが特撮に憧れた、空を飛ぶことに憧れたきっかけが、鞍馬天狗だったからです。本書にある通り、天狗とはつまり、鼻筋の高い人であり、ユダヤ人なのです。能の世界なのです。
皮肉にも日本の穢れ思想のきっかけになってしまった菅原道真さんも、彼自身は、穢れをも愛するような尊い人格者でありました。その彼の祖にあたるのが、土師-はじし-であったことも、ユダヤ人が日本に同化した際に思い描いた、全てを抱き止める、絡合の美しさを思わせてくれます。
語るに尽くせぬ感動がたくさんあり、素晴らしい本でありましたと、ただただ英道さんに頭を垂れる想いです。
私の散文をここまで読んでくださり、ありがとうございます。
あなたのこれから先の未来が、あかるく、やさしく、穏やかなものでありますように———詳細をみるコメント0件をすべて表示
著者プロフィール
田中英道の作品





