Smart City 5.0 地方創生を加速する都市 OS

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784295006145

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  • 会津若松市が取り組んでいる市民主導型のスマートシティプロジェクトは、まさにSociety5.0そのものであると言えよう。ビッグデータプラットフォームを整備し、さまざまなデータを収集・分析。最先端の技術や知識を持つ企業や団体とコラボレーションすることで、オープンイノベーションを起こしている。市民の暮らしを網羅する「エネルギー」「観光」「予防医療」「教育」「農業」「ものづくり」「金融」「交通」の8つの領域をターゲットに、アナリティクス人材の育成にも力を入れている。
    スマートシティの実現には、オープンな連携が不可欠だ。なぜなら、特定の企業や団体に限られた協業で得られる成果は限定的になってしまうためである。多岐にわたる市民生活を根本から変え、市民主導型のスマートシティを実現するためには、さまざまなステークホルダーが連携してくことが重要だ。

    (引用)SmartCity5.0 地方創生を加速する都市OS、アクセンチュア=海老原城一、中村彰二朗著、株式会社インプレス、2019年、115-116

    現在、我が国は、多くの課題を抱えている。少子高齢化、社会保障費の増大、そしてエネルギー問題など。このような高度経済成長期とは違う、新たなステージの到来を受け、ある地方都市では、データとデジタルテクノロジーを駆使して地方創生を図っていこうとする動きがある。あの2011年に発生した東日本大震災からの復興支援策としてスタートした会津若松市のスマートシティプロジェクトである。

    意外にも、会津若松市が進めるスマートシティプロジェクトで大切にしている考え方は、鎌倉から江戸時代にかけて活躍した滋賀県の近江出身の商人による「三方よし」である。三方よしとは、「売り手よし」、「買い手よし」、「世間よし」という近江商人の精神をあらわしている。会津若松市では、三方よしを「市民によし」、「社会によし」、「企業によし」と再定義しているが、最先端のテクノロジーを駆使した地方創生を取り組みにおいて、古き良き日本人の精神を置き去りにしていない。

    会津若松市に住んでいなくても、スマートシティが実感できるサイトとして、「会津+(プラス)」がある。これは、市民とのインタラクティブな情報共有を目指して、市民一人ひとりの属性情報に沿ってパーソナライズされた市民サービスのデジタル窓口である。言い換えるならば、「必要な情報を必要な人に届ける」というシンプルなものだ。その必要な情報を届けるという仕組みを構築するため、会津若松市では、さまざまなデータを収集・分析している。このデータ収集は、情報提供者が目的を理解して提供する方式、いわゆるオプトイン方式を採用している。また、データの信頼性を高めるため、会津+では、KPIを設けるなどしている。
    この会津+のサイトは、市民や事業者だけではなく、外国人観光客にも対応している。私も会津+のサイトを閲覧してみたが、2018年2月からロボットのマッシュくんが答えてくれる「LINE de ちゃチャット問い合わせサービス」も始まっていた。デジタルデバイドを少しでも解消し、どの年代の市民にも、デジタルシフトしていこうとする会津若松市の姿勢を垣間見ることができた。

    会津若松市の人口規模は、日本国民の1,000分の1である。しかし、会津若松市が取り組む実証実験や市民オプトインなどは、他の地方都市にも広がっていくことが期待される。それは、冒頭にも掲げた我が国の課題が、どの地方にも当てはまるからである。これらの課題を克服するため、最先端の科学技術を用いたSmart Cityの取り組みは、これからの地方都市に必要不可欠なものであろう。
    ただ、単に最先端の科学技術を用いれば、国のいうSociety5.0の社会が生活者や観光客に受け入れられるわけではない。会津若松市の進めるSmart Cityは、そこに住む人たち、そして訪れようとする人たちが「主役」としているところに、あらなた時代の地方創生手法としての希望を感じた。

  • 東日本大震災からの復興のため、アクセンチュアが福島県会津若松市において実践したスマートシティ化の方法・過程について図を用いて分かりやすく解説されている。
    また会津だけでなく、現在日本が抱えている地方創生という問題について、会津をモデルとして、今後どのように対処していくべきかについて考察されている。
    ただ、特に驚くべきような知識はなかったのが残念。

  • 会津若松市の事例をベースにスマートシティの展開について、地方都市における示唆に富んだ一冊。
    藤沢SSTのような新規開発型の不動産収益modelではなく、アムスやヘルシンキを例にレトロフィット型のスマートシティとして、環境意識に対する貢献やリビングラボ棟の仕組みを活用した短サイクルのサービス実装による価値創造を組み合わせて行く視点が示されているのが興味深い。

  • 会津若松での震災復興を期に始まったスマートシティ事業を中心に紹介されています。
    他の雑誌でもアクセンチュアによる本事業の紹介インタビューを目にすることもあり、順調なのかな?と、とても期待しています。なぜなら12万人という中小規模の都市であれば、全国の多くの自治体で再現できる可能性が高いからです。
    実際に実行できる実働部隊とその受け皿があるのかという疑問も同時に生まれますが、DXは今後の生活に必須ですし、検証と効果が出揃うまで見届けたいと思います。

  • アクセンチュアがエンジンとなって推進されている。出口はどうなっていくのか?いつまでも関わり続けるのか?地方自治体に引き渡された以降はどうなって成長して行くのか?10年20年先の姿をどのように描いているのか、本の中では分からない。

  • 3.11から時間をかけて積み上げてきたスマートシティ構築の事例集。
    多くのプレーヤーが参画することで、複数領域でのデジタル化が実現。他地域では別の展開が必要だが、会津若松の特徴も考慮して参考。

  • [出典]
    ジュンク堂書店@吉祥寺

  • 会津若松市で2011年から取り組まれてきたスマートシティのプロジェクトについて、そのコンセプトから個々の取り組みの概要までをわかりやすく紹介してくれている。

    スマートシティといっても、エネルギー需給システムの改善による省CO2都市であったり、都市の交通システムや土地利用の改善を通じた移動や生活環境の改善であったりと、様々な取り組みがあるが、会津若松市の場合には、オープンデータとIOTを活用した情報提供やサービスのスマート化がトリガーになっているように感じた。

    紹介されている様々な取り組みの進め方や考え方のうち、興味深いと感じたのは、以下の諸点だった。

    まず、市民に具体的に効果や意義を感じてもらうため、アプリケーション層の充実に力を入れている点。健康、教育、環境などテーマはそれぞれであっても、市民が関心を持ちそうな領域でIOTを活用した様々なアプリケーションを提供している。それにより、様々な世代が参加し、データ収集や活用の効果を上げるために必要となる一定のマスを確保できる。市民参加率30%超を目標とするというのは、ターゲットとして非常にわかりやすかった。

    一方、市民の参加にあたっては、オプト・アウトではなくオプト・インで進めていくという方針をとっているという点も参考になった。各地のスマートシティやデータ活用プロジェクトにおいて今後問題になってくるのが、プライバシー保護やデータの所有権の問題だが、やはり普及に時間がかかっても、オプト・インで進めていくべきという点も、様々な地域での実践を踏まえて見えてきた現実的な方策であろう。

    サービス提供の方法としては、ポータルサイト「会津若松+」の作り込みが重要であると感じた。いわゆるポータルサイトだが、様々な層に様々なアプリケーションを通じてこの取り組みに参加してもらうため、共通のポータルではなく、かなりパーソナライズできる自由度をもたせた設計にしているとのことである。同様に、DMOが推進している観光情報の提供でも、ターゲットの国籍、年齢などにより提供する情報だけでなく見せ方も細かく変えていくなど、入り口の作り方の重要性をしっかりと認識している様子が、よく分かった。

    推進体制の面では、特定の企業で囲い込むのではなく、個々のプロジェクトにどれだけ多様な企業を巻き込めるかが重要である。この点については、会津若松というある程度小規模な自治体でのプロジェクトであったことが、逆に功を奏したのではないかと感じた。大企業が囲い込むというインセンティブをもつにはやや規模が小さく、地元企業でも投資できる規模のプロジェクトが多かったのではないか。また、プラットフォーム企業主導でも不動産デベロッパー手動でもないということが、ユーザー中心のサービス構築を可能にしたのではないかと思う。一方で、スマートシティプロジェクトを水平展開したり、スケールアップをすることで収益化しようとする際に、どのような方策があるのかは、今後問題になってくる点である。

    行政の側については、スマートシティプロジェクトで得られた成果を、どのように継続的な取り組みにつなげていくかということが課題であり、この点については、既存のやり方をあえて破壊し、予算をデジタルシフトすることの必要性が述べられていた。往々にして、行政や市民の側には安全な移行を目指し、またユニバーサル・サービスを求める傾向があるため、新しいサービスが開発されても既存のサービスややり方はそのまま温存されることが多い。しかし、これではスマート化の意味がなく、かえって二重投資で費用がかさむだけである。その点を敢えて行政に指摘し、意識的に変えていくことが必要であるというのは、重要な指摘であると思った。

    以上、具体的な取り組み事例を通じて学べることの多い本だったと思う。

    敢えて言えば、予算や利用者数など、事業規模についてもう少し具体的な数字なども挙げられていると、より具体的にイメージができるので、それらが比較的少なく定性的な説明が多かった点はやや残念だった。

  • 現在のスマートシティについて、会津若松の事例でわかりやすくかかれている。

    それにしても、アクセチュアは、ビジネスがうまい。
    新たな取り組みには、必ず絡んでいる。

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