「事業を創る人」の大研究

著者 :
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
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感想 : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784295401568

作品紹介・あらすじ

新規事業の敵は「社内」にあり!どのように担当者を選び、仕事を任せ、サポートするべきか?-人と組織の観点から、実証データに基づき、新規事業の問題にアプローチすることが本書の特徴です。

感想・レビュー・書評

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  • んー、期待以下。事業開発の文脈で読むと外れる

  • 新規事業の成功の秘訣は優れたアイデアではなく、創れる人を見出す事という
    今までの新規事業に関して分析した結果を考察した本
    組織やネガティブな人に巻きこまれて
    精神的、体力的に新規事業を辞める人も多く
    創る人と、その創る人をどうサポートするかの方が重要であることを唱えた本

  • 企業が本業とは別の事業、つまり「新規事業」を展開することで、傾きかけた会社が持ち直したというサクセスストーリーはよく聞かれる。が、その裏には99%の新規事業の失敗が存在する。

    経営者にすれば当然、そんなことはわかっちゃいる。しかし、経営者は新規事業にあこがれ、やりたがる。なぜなら、我の新規事業こそ成功間違いなしと思うからだ。そして、そんな新規事業に実際に携わるのは、社内で抜擢された担当者、「事業を創る人」だ。

    本書はそんな「事業を創る人」の苦労やプレッシャーをアンケート等で数値化し、企業が新規事業を成功させる最低限の不可欠要素を分析する。それは同時に、新規事業担当者哀歌だ。

    新規事業は短期間で成功すれば、皆ハッピー。が、多くの新規事業はそうじゃない。成功までの期間、担当者は本業の利益を食いつぶしているという罪の意識と周囲からの冷たい視線に打ちのめされる。ついには指示したはずの経営者からもバッシングを受ける。その結果、誰からの協力も得られず、担当者の心は病んでしまうのだ。

    経営者は絶対に新規事業を成功させるという決意を持ち、本業との相乗効果を考え、担当者への絶対的なバックアップを欠かさないことが必須。それは本業に専念することよりも、困難なことだったりする。新規事業は余力がある企業だけがやっとけってことだ。

  • 自分の意志で異動した人が事業立ち上げで成功しているとは限らない、とか、経営トップがコミットしないで丸投げはアンチパターンとか、事業づくりの勘所が、データとともに紹介されている。事業も人も、一緒に育成するスタンスが重要、と何度も強調。

  • 新規事業系のセミナーで紹介があった本。
    紹介でもあった通り、人と組織に着目された本であり、どのような構造を作ることが大事であるかについて記載されている良著。

    メモ
    ・新規事業の敵は組織の構造
    ・新規事業は数の勝負。挑戦母数をいかに増やすか
    ・新規事業を任せるとは、権限を付与し、新規事業を創るプロセスを伴奏しながら支援し、結果に対する責任を共有するということ
    ・既存事業との関連を無視して新規事業を考えることはできない
     社内外の様々な利害関係主体を巻き込み、資源を動員する組織的なプロセス
     経済成果を生み出す活動
    ・新規事業には市場開発、新製品サービス開発、多角化に分類可能
    ・新規事業、アイデアの創出以上に社内の理解・巻き込みに苦労しているケースが多い。
    ・資源動員の仕組みが伴っていない新規事業・アイデアは報われることなく機能しない。プラン採用後に資金や人員を動かせることを保証するメカニズムが重要
    ・新規事業の4つのジレンマと11の問題
     既存事業部門ジレンマ
      既存事業部門とのミスコミュニケーション
      既存事業部門からの批判
     経営層上司ジレンマ
      経営陣の反対
      上司による場当たり的なマネジメント
      上司による必勝前提としたマネジメント
     部下ジレンマ
      戦力人材を確保できない状況下でのマネジメント
      後手に回る部下の育成
      モチベーションの低い部下のマネジメント
     自己ジレンマ
      新規事業プランを生み出せないジレンマ
      過去の成功体験に基づく施工体系の適用と失敗
      新規事業部門の解散、または解散の危機
    ・新規事業には分析アプローチとポジティブアプローチどちらも必要。
    ・キーマンは経営者、新規事業経験のある上司、社外の新規事業担当者。
     経営層が管掌している新規事業ほど業績が上がりやすい
    ・社外の創る人と関係を持つことの効果
      事業での成果に対する効果
       知の探索による外部資源獲得
       事業アイデアに対する客観的評価の獲得
       著名効果の(社内政治効果)の活用
      事業を創る人の成長学びに対する効果
       置かれた境遇の相対化
       自己の市場価値の認識(自己効力感の増大)
       自組織に対するエンゲージメントの促進
    ・新規事業に肯定的な組織風土は新規事業業績にポジティブな影響
    ・風土づくりのキーワード
      会社の本機をトップ自らが示す
      創る人が損をしない仕組みを創る
      全員が事業を創る人になる仕掛けを用意する
      新規事業を前者で育てる育成事業と捉える

  • 読みやすいレベル感。独自のサーベイをベースにしているため説得力がある

  • 企業の新規事業開発における課題として、人と組織に焦点を当てた本。
    特に大企業の新規事業開発は人と組織が大きな問題になっており、統計的データやインタビューを交えて、その解決法を示す。

    近い領域で働く者としては違和感なくその通りと感じる内容が多かった。
    新たな発見は、アイデアより、社内交渉力が成功要因を握っているということ。
    色んな意味で組織の力は偉大だと感じた。

    企業の歯車でなくなり、個人として仕事のプロになるためには、他者に頼らない、自分で何とかする姿勢が必要と感じた。
    幼い頃から「チャレンジ慣れ」できる環境があればよいのかもしれない。

  •  新規事業創出のお勉強。

     考えてみれば、事業を創るということは、経済合理性という観点からすれば非合理的な経営活動であり、普通に考えれば「やらないほうが得策』なのです。
     新規事業には多大な経営資源が必要です。ヒト・モノ・カネといっ た会社の貴重な経営資源を動員するには、相応のコストが必要となります。コストを上回る利益を出すには、当然、事業の成功確率や成功によって想定されるリターンがある程度、予測可能な事業に対して投資がされるというのが経営の大原則です。しかし、新規事業の場合は、事業の成否や得られるリターンが事前には予測不可能な状況で経営資源を動員する必要があります。
     つまり、こうした不確実性の高い新規事業に対して資源動員の意定をしなければならないという新規事業特有の矛盾が社内からの批判や部門間の軋轢を一層助長しているわけです。こうした新規事業特有の構造的な難しさを、全て「創る人の能力の問題」に帰結させてしまうの はあまりに筋違いでしょう。

     多数の新規事業を手掛けることで有名なサイバーエージェントは、2004年から2014年までの10年間、「ジギョつく」という手上げの式の社内事業プランコンテストを年2回実施していました。
     このコンテストでは、1回につき500から600、多いときには1,000件もの新規事業アイデアが集まっていたといいます。この取り組みは、メディアにも多数紹介されるなど、非常に活性化していました。しかし、 同社の藤田晋社長によれば、10年の間に「本当に会社の将来に必要だと思える新規事業」が「ジギョつく」の中から生まれることはなく、「人と資金を投入し、会社の将来を懸けてもよいと思えるアイデアは新規事業プランコンテストから出てこない」と結論づけ、2014年6月に「ジギョつく」の廃止を決めます。
     サイバーエージェントの実例からも明らかなように、どんなに社員のモチベーションが高く、コンテストで勝ち抜くほどに優れたアイデアであろうとも新規事業の成功には直結しません。なぜなら、こうしたアイデア一本勝負の新規事業創出施策には「アイデアが必ず腐るメカニズム」とでも言うべき構造が潜んでいるからです。
     「ビジネスアイデア・ワークショップ」や「新規事業プランコンテスト」は、文字どおりアイデアの質で厳選されます。新規性や面白みがないと判断されれば提案は否定され、否定された社員は「どうせ新規事業プランなんか出しても無駄」とそのアイデアとともに腐ってしまいます。

     ここでいう「構造」とは、創る人や新規事業を取り巻く環境のことを指します。例えば、既存事業にとって新規事業は限られた会社の経営資源を奪い合うライバルと位置づけられるため、新規事業への風当たりは当然きついものになります。また、新規事業は成功確率が見えない”博打的要素”が強いため、周囲からの批判を買いやすく、資源の動員に難色を示されることも少なくありません。こうした対立構造が新規事業推進の阻害になっていることは序章でお伝えしたとおりです。

     経営陣はすでに実績を出している既存事業の価値観やルールをそのまま新規事業にも適用してしまいがちです。そうした経営陣の姿勢が創る人のモチベーションを下げてしまう場合も少なくありません。
     例えば、新規事業が参入しようとする市場の規模は、既存事業のそれと比較して小さく、参入初期に期待できる利益率もかつて既存事業を開始した当初と比べれば低いかもしれません。あるいは、新規事業が対象とする顧客層が、既存事業での得意先である資金力豊富な大企業とは異なり、新興系企業を相手にすることになるかもしれません。そうした際、既存事業での成功体験や経営慣行にとらわれ、つい新規事業の可能性を過小評価してしまう恐れがあります。


    第1章 まとめ
    ▶「事業を創る」とは、「既存事業を通じて蓄積された資産・ 市場・能力を活用して、経済成果を生み出す活動」である。
    ▶新規事業がなかなかうまくいかないのは、個人の能力だけの問題ではなく、成熟した組織に見られる「構造上の問題」で ある。
    ▶さまざまな企業において「新規事業プランコンテスト」「イノベーション・ワークショップ」などのアイデアを重視した 取り組みが多数行われているが、周囲の人々をどう巻き込んで進めていくのか、という問題に対する取り組みはあまり重視されていない。
    ▶事業を創る道のりは「茨の道」。1人で乗り切れるものではない。創る人個人に任せきっていては、新規事業は成功しない。
    ▶組織全体がこの構造を理解した上で、創る人・支える人・育てる組織が三位一体で機能する必要がある。


     コーゼーションとは、まずは、決定要因の秩序を理解してから実行するという段階を踏む思考様式です。典型的な例としては、「PDCA」のような「何かを計画し、準備し、実施し、評価する」といった考え方があります。いわば因果に基づいた“お膳立てモデル”とでも言うべき思考様式です。まず「これを創りたい」という明確なゴールを設定し、その オールからさかのぼって必要な資源やたとるべき行動計画を立て、段階 ごとに実行して評価する、戦略的かつ合理的な思考法なのです。
     その対極にある考え方がエフェクチュエーションです。こちらは、まずは実行してから決定要因の秩序を理解するという段階を踏みます。行動ありきの、言ってしまえば「ゴールイメージがなくても、とりあえずありものを合わせてなんとかやってみる」という“あり合わせモデル" です。新規事業のように、人材も資金も限られている状況下でも「今ここにあるものでできることは何か」と考えてとりあえずやってみる、という挑戦的かつ柔軟な発想ができます。


    第2章まとめ
    ▶創る人は、大学時代からリーダーシップを発揮し、社会人との交流機会も豊富で、入社後しばらくは既存事業でキャリアを歩む傾向がある。
    ▶既存事業での経験は「社内人脈を得る」「組織内地図を理解する」上では、有効である(が、長すぎると「過剰適応の罠」に陥りがちなので要注意!)。
    ▶事前の「バカな」を事後の「なるほど」に変換する事業創造プロセスを可能にするには、周りを巻き込んで資源を調達する「ネゴシエーター」と、限られた資源の中で“あり合わせ 料理”をつくれる「エフェクチェエーター」の要素を兼ね備えておく必要がある。


     ここまで見てきたように新規事業を任せる際に、最も重要なことは「マインドセットの切り替えが必要だ」ということを丁寧に伝えることです。その次に重要なのは、創る人がこの先に直面するであろう「悶絶経験」(詳しくは第4章にて)を前もって告知し、ショックを軽減させる、という一種の予防行為です。

     そこで本書では、「RJP」と「RDP」という2つの“新規事業のワクチン”についてお伝えします。
     RJPとは、Realistic Job Previewの略で、日本語では「現実的職務予告」とも言われます。現実的職務予告には、個人がある組織に入る前に抱く非現実的に高い期待を抑え、組織に参入したあとに経験する「幻滅」をできる限り抑制する狙いがあります。具体的には、その仕事の内容のよい面ばかりでなく、ネガティブな面も含めてしっかりと事前に伝えておくことが、その後の職務適応を促したり、離職を防ぐ効果があることがこれまでの研究で明らかになっています。

     新規事業の場合であれば、さらに第4章で詳述する創る人の経験を事前に予告しておく必要があります。仕事の変化だけではなく自分を取り巻くあらゆる環境が予想以上に大きく変化すること、そして今の価値観や仕事に対する考え方や価値観、自分自身への期待といったパースペクティブがひっくり返ること。これまで経験したことがないような過酷な体験に身を置く中で経験するジレンマを予告することが創る人に新規事業を任せる場合には、RJPとセットでジレンマの予告が必要なのです。これを私たちは、RDP(現実的葛藤予告:Realistic Dilemma Preview)と名づけることにしました。

     「どういう職務になるか」「どういうジレンマを乗り越えなければならないのか」という2つの事前予告をしておくことで、「これからあなたに行ってもらうのは大変な部署である」ということを覚悟してもらい、「最初は不条理な環境で物事が進まない現実にもがき苦しむかもしれないが、最終的には経営者視点を獲得し、この経験でしか叶わない成長を遂げられる」と、自分がたどっていく道筋をしっかりイメージしてもらい とはいわば、沼地を予言して見取り図を渡し、入口から出口までの道のりを見せるのです。
     
     新規事業を任せるときに、このRJPとRDPがあるのとないのとで は、その後の結果が大きく変わります。もちろん、任せる段階でいくら 入念に新規事業ワクチンを打っておいたとしても、その先に待っている 「茨の道」が変わるわけではありません。問題をゼロにすることはできないため、見取り図の通りにジレンマを抱え、孤独を感じ、悩んで落ち込んだり、腹を立てたりすることも当然あり得るでしょう。
     しかし、それが個人としての資質や能力の問題ではなく、あくまでも「新規事業」ならではの構造上の問題であると受け止めることができれば、今置かれている状況が永遠に続くわけではなく、試行錯誤のうちに 取り出すことができると思える余裕が心に湧いてくるものです。


    第3章 まとめ
    ▶事業を創る人を選ぶ際の必須要件は、積極的に新規事業を通じて成長しようというモチベーションがあること。
    ▶どんなに既存事業で優れた成果を出している人材であっても、新規事業に対して後ろ向きの人材の登用は控えるべきである。
    ▶新規事業を任せるときには、既存事業と新規事業のゲームの違いを理解させ、この先起こり得るジレンマを予告し、なぜ君に任せるのかという期待を伝えること。さらに、事業の出口を前もってイメージさせ、事業のシナリオに応じた撤退基準とインセンティブプランを用意し、事前に握っておくこと。
    ▶さらに、「任せた」ではなく、「一緒に乗り切ろう」という共同登山のスタンスを明確に示すことが重要。


    第4章 まとめ
    ▶創る人の悶絶経験は、4つのタイプに分けられる:「既存事業部門」ジレンマ、「経営層・上司」ジレンマ、「部下」ジレンマ、「自己」ジレンマ。
    ▶創る人は孤独な戦いに耐えねばならず、支えを必要としている。
    ▶支える人のキーマンは、「経営者」「新規事業経験のある上司」「社外の新規事業担当者」。
    ▶経営者は、安易な多産多死型スタンスではなく、深くコミットすることが求められている。
    ▶新規事業部門の責任者が部長クラスの場合は専任体制、役員クラスの場合は掛け持ち体制が望ましい。
    ▶社外の創る人とは積極的に交流すべきだが、そこで得た知見を社内で活用するという第一目的を忘れずに。


    第5章 まとめ
    ▶既存事業と上手に関わるには“遮断”と“接続”のバランス を意識する。
    ▶新規事業に肯定的な組織風土をつくるのは経営者の仕事。
    ▶育てる組織をつくるには、まず「気枯れモデル」からの脱却が必要。
    ▶創る人に対して「成果」よりも「プロセス」を重視する評価制度が重要。
    ▶経営リーダーとしての学びを生かせるキャリアパスを準備する。
    ▶転職・独立を応援する。引き止めたいのなら、新規事業を任せる段階で出口の話をすることが大事。

  • 誤字脱字が多く、読むのに少々イライラする。書いてある内容は尤もだと思うが目新しいことはない。あまり「大研究」という印象は持たなかった。

  • イノベーションが起こせない問題は人ではなく、組織構造に起因するってのが新しいなと思った。
    実際、誰かを変えるよりも組織構造とか仕組みを変えるとうまく行くことたくさんあるよなって思った。
    誰かを攻撃したり責めたりするより、どうすればうまくいくかを考えるほうが有意義よね。

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著者プロフィール

●田中聡(たなか さとし)
フリーランス・エンジニア、研修講師(プログラミング、データ解析、統計学)。
1998年東京工業大学理学部情報科学科卒業。
2000年北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科卒業。
塾講師(高校数学・物理)を経た後、エンジニアに転職。14年間の会社員生活の間に、中小企業の下請プログラマーから大手企業のプロジェクトリーダーまでを経験する。主に大学や研究所の実験データの管理・解析・可視化のシステムを開発。
当初は100時間以上の残業をおこなっていたが、途中でそのような働き方・生活を危惧し残業をしない働き方を決意。月残業ゼロと、有給消化100%を実践する。
現在は会社員時代の人脈を武器に、フリーランス・エンジニアとして独立。栃木の自宅で受託開発をおこなう。また、プログラミングやデータ解析・統計学の研修講師の仕事も務めている。趣味はトライアスロン。

「2022年 『ITエンジニア残業ゼロの働き方 〜現場で本当に使えた仕事効率化の法則95』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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