日本史に学ぶ一流の気くばり

著者 :
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784295402794

感想・レビュー・書評

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  • 元々、戦国時代・武将も好きな上で仕事に活かせるような題材だったので、すぐ読み終わりました。
    比較的読みやすい印象を受けましたし、"今で言うなら〜"という視点もあり、分かりやすかったです!今後も時々読み直して、参考にします‼️

  • たくさんの歴史上の方が出てきたが、皆さん共通しているのは、人間関係を俯瞰的に観察できるか、客観的に見るかだった。

  • 時代が変わっても、人間関係というものは大事ですね。どんな組織も人間が運営しているのですからね。武力だけで決まっていたと思ってしまう戦国時代も、人間関係はとても大事だったようです。それらを私に馴染みのある武将にまつわる話で解説してくれています。改めて「気配り」の大事さを痛感した本でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・付加価値をあげるところに新しいビジネスチャンスは必ず出現する、これは人口が減少しても変わることがない、歴史はそのことを雄弁に物語っているが、多くの人はこの真相を歴史に学ぼうとしない(p6)

    ・家康は、自分の後継者を謀殺した人間(酒井忠次)を、完成した組織のナンバー2にした、これが家康の凄みである(p30)

    ・藤堂家は、関ヶ原の戦い後、三成の指摘(鉄砲隊に足軽だけでなく地位の高い者も組み入れる)を受けて、鉄砲隊に士分格の人間を入れて練度を上げた。相手を尊重しながら自分をしっかり持つ生き方は、現代でも参考になる(p42、44)

    ・いじめられた人間は、いじめがどれだけ悪いことかを身に染みて理解している、後に平清盛は出世して太政大臣になっても部下を気遣った(p51)

    ・竹中半兵衛は、殺したと偽って松寿丸(信長の命令に逆らって)を自領にかくまった、その松寿丸は成長して、名将・黒田長政となる(p56)

    ・火付盗賊方は、警察というより軍隊をイメージするほうが実態にふさわしい、その証左に「先手組」がこの役目についていた。先手組は、先鋒隊を担っていた集団である。(p66)

    ・生きものを大切にせよ、と命じた将軍綱吉の言葉を拡大解釈し、忖度して周囲が徐々に大事にしてしまったのが、生類憐みの令である(p79)

    ・忠臣蔵の四十七士に対して、「忠君の思いは見事である、しかし勝手に私闘を行った罪は万死に値する」この裁きなら、幕府の面目も保てるし世論も納得する。なおかつ将軍綱吉も説得できた(p83)

    ・日本の歴史上において、徳川家康・西郷隆盛・大山巌は、部下に仕事を任せるのが上手かった、失敗は自分の上司が被って、成功を部下に分け与えるリーダーにこそ部下はついていく(p85、86)

    ・旅順港閉塞作戦では、機雷で虎の子の軍艦の3分の1を失った、謝罪に訪れた艦長二人に対して、東郷平八郎の言葉「紅茶が冷める、さあ飲みたまえ」それのみ。二人は涙を流して、次の戦いでの命がけの雪辱を誓った(p90)

    ・判断が正しい、誤りだというよりも、相手の気持ちを汲んだうえでの判断ができたかどうかが大事、それを知るには自らも修羅場をくぐり生還せねばならない(p95)

    ・幕末時代は、会津藩主松平容保と、伊勢桑名藩主松平定敬(たかあき)がスクラムを組み(一会桑)で、薩摩・長州・伊予宇和島・越前福井を抑えていた(p98)

    ・戦国時代の蒲生氏郷は、最強の武将である、越後の上杉景勝、奥州の伊達政宗、関東の徳川家康という三強者を押さえるための要の土地、会津若松を秀吉から任された(p114)

    ・藤堂高虎は、畑違いの部門に異動させられても、算盤を学び、槍働きに加えて、鉄砲、兵站の知識・技能を身につけ、趣味としては築城術にも興味を持った、加藤清正との違いは本人が知っていたか(p121,122)

    ・人望のある人、1)カリスマ性があり人望が高い、武田信玄・上杉謙信・織田信長、2)言っていることが正論、公的についていかざるを得ない人、丹羽長秀、自分の利益よりも組織全体を考える(p125,133)

    ・小早川秀秋も前田利家も裏切ったが、なぜ現在の評価が異なったのか、それは裏切られた勝家が利家に恨み言を口にしなかったから(p135)

    ・竹中半兵衛は、利害で結びついた関係は永遠につづくわけがないと知っていた、人間関係は時を経れば必ず変化する(p179)

    ・浅野内匠頭の勅使饗応役とは、配膳や掛け軸の指示をしたりする役ではなく、単にその費用を負担する係であった。細かい段取りにはそれぞれの担当者がいた(p194)

    ・浅野家の大名火消し(夜の市中で徒党を組める)は有名であったので怪しまれずに吉良邸まで進めた、多くの行程は船で進んだ、決行当日は雪は降っていない、地面は固まった雪と冷気で滑りやすくなっていた(p200)

    ・リーダーが見せるべきは、責任は自分が取る、と腹をくくって取り組む姿勢である。人は才能や性格よりも、自分の仕事が「やりやすい人」についていく(p222)

    ・秀吉と勝家の違い、秀吉は「ワシを助けてくれたら、あの領地をやろう、地位も上がるぞ」と具体的に、夢を見させてくれた。これが二人の勝敗を決した(p233)

    2019年8月11日作成

  • 歴史も人間関係で決まったとよくわかる。
    いろいろと参考にしたい。

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著者プロフィール

加来耕三(かく・こうぞう)
歴史家・作家。1958年大阪市生まれ。奈良大学文学部史学科卒。同大学文学部研究員を経て、著述活動に入る。『歴史研究』編集委員、中小企業大学校の講師などを務め、テレビ・ラジオ番組の監修・出演など多方面に活躍している。
主な著書に、『天才光秀と覇王信長』(さくら舎)『日本史に学ぶ一流の気くばり』(クロスメディア・パブリッシング)『歴史の失敗学』(日経BP)『紙幣の日本史』(KADOKAWA)『明治維新の理念をカタチにした 前島密の構想力』(つちや書店)『利休と戦国武将 十五人の「利休七哲」』(淡交社)『1868 明治が始まった年への旅』(時事通信社)『西郷隆盛100の言葉』(潮出版社)『坂本龍馬の正体』(講談社+α文庫)『日本史は「嫉妬」でほぼ説明がつく』(方丈社)『刀の日本史』(講談社現代新書)ほか多数。監修に、『橋本左内 時代を先取りした男』(扶桑社)『日本武術・武道大事典』(勉誠出版)などがある。

「2020年 『歴史に学ぶ自己再生の理論[新装版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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