企画

  • インプレス (2021年7月27日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784295405498

感想・レビュー・書評

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  • この本を読んで、企画をつくるためには膨大なインプットしアウトプットしたり、人と関わっていったりすることが必要なんだと思ったとともに、どの職種に通じるところがあると思いました。

  • 放送業界への逆風が吹き荒れて久しい。
    テレビはオワコンと言われ、制作者たちのテレビ局退職が相次いでいる。
    その後、配信の世界で映像を作り続ける人もいれば、全く異なる仕事で活躍している人もいる。
    私自身はテレビ局関連会社で勤務して長くなるが、番組制作の部署に所属されたことがなかったため、「企画」を立てるという経験がほとんどなく、現在に至っている。
    実際は私のような経歴の人が、社内では多数派だ。
    番組制作経験者の方が少ないくらいで、だからこそ現場で仕事した経験は貴重な実績だろうと言える。
    結果的に、私のキャリアのほとんどはバックオフィス部門となった。
    番組制作経験はないが、当時の上司にあたる人が、元々番組プロデューサーだったこともあり、「企画の立て方・考え方」については、色々と教わったことを思い出す。
    残念ながらバックオフィス部門では、そのスキルを活かす機会がなかったかもしれないが、視点の変え方や、モノの考え方などは、意外と日常で役に立ったと思っている。
    ついつい、日常生活では気が付きにくいことが、ほんの少し視点を変えただけで気付けたりする。
    そもそも、全く違うものに見えたりすることもある。
    絶対だと思っていたものが、意外とそうでもなかったりする。
    いかに人間の思い込みとは、あやふやなものか、ということだ。
    その元番組プロデューサーだった上司は、常に「ネタ帳」を持ち歩いていた。
    すでに番組制作の部署から異動して、何年も経っていたのにである。
    その上司が番組制作をバリバリにしていた時代は、それこそ数十年以上前の話なので、今とは想像もつかない、テレビ番組全盛の頃だ。
    ハチャメチャな時代でもあったし、勢いがあった時代。
    様々な試行錯誤や実験が、寛容だった時代だ。
    こうして考えてみると、すでにテレビ業界も誕生から今70年を経過している。
    今では規制でガチガチになっているとも言えるが、裏を返せば成熟した産業の代表とも言える。
    それだけに、様々なノウハウが蓄積されているのは間違いない。
    当然「企画を立てる」という行為も、それだけの積み重ねがあるということだ。
    数々の番組企画が立ち上げられ、ヒットしたものもあれば、日の目を見ずにひっそりと終わったものもある。
    番組として成立したのであれば、それだけで成功とも言える。
    実際は、企画の段階で立ち消えするものがほとんどだからだ。
    そういう死屍累々の企画の数々が、化石のように積み上がっている。
    数々のノウハウが蓄積されているのは、当然である。
    だからこそ、これらを体系化して、形式知化することは、ものすごく意味があることだと思う。
    たかが「企画」を立てるという行為でも、先人たちの知恵と涙が詰まったものだと思うと、それだけで重みを感じるのは、私だけではないはず。
    本書の中で語られた中で、好きな部分をいくつか以下に抜粋したい。
    冒頭から「企画とはアイデアではなく『決めること』である」と説いているが、この定義は、私にとって新鮮だった。
    企画とは単なる思いつきや閃きのことではない、ということだ。
    無数にある選択肢の中から、「何を選び、何を捨て、どの方向に進むのか」という意思決定の連続が、実は「企画の本質」なのだという。
    この視点は面白い。
    本書のその後の展開を読むとこの意図が見えてくるのだが、企画を考えることとは、「分解する・組み合わせる」などの繰り返しなのだ。
    これは決して言い過ぎではなく、むしろ「これに尽きる」と言ってもいいくらいのものだ。
    総じて、これらを繰り返すことで企画が練られていくが、そこに細かなテクニックが加味されていく。
    例えば「置き換える」ということ。
    これはある意味、「分解・結合」の亜流版と言える。
    人は全く新しいものに対しては、警戒心を抱きやすいのだという。
    「どこかで見たことがある」「あれに似ている」と感じるものには、安心感を覚えやすいらしい。
    これは、人間の本能とも言えるかもしれない。
    身を守るために、全く新しいものを警戒する本能が備わっているのだ。
    だから、似たものに置き換えてみる。
    過去の成功事例や他業界のヒット商品・サービスを参考に、自社の状況に合わせて要素を置き換え、応用することが常套手段となる。
    この「置き換える」という視点は、企画する側にとっても、メリットがある。
    ゼロから何かを生み出すプレッシャーを軽減し、企画の幅を広げてくれるからだ。
    こういうテクニックは、覚えておくと便利だろうと思う。
    他には「違和感を作る」ということも、テクニックになるらしい。
    情報が洪水のように押し寄せる現代において、人々の注意を引きつけ、記憶に残すためには、単に美しいだけ、正しいだけでは不十分だ。
    日常の中に埋もれてしまわないような、ちょっとした「引っかかり」や「あれ?」と思わせるような違和感こそが、強力なフックとなる。
    常識を少しだけズラしてみたり、意外な組み合わせを提示したりすることで生まれるという。
    この「違和感」の設計は、企画を際立たせる上で重要なテクニックだと感じた。
    もう一つが、「内容よりも画を優先する」ということだ。
    いかにもテレビプロデューサーの発想であるが、これは実は大事な点だと思っている。
    最近はビジネスでも「ビジョン」の重要性が問われている。
    「御社の事業で、ビジョンがあるか」などの問いが盛んにされているが、この「ビジョン」こそが「画」そのものである。
    具体的に映像として、こういう世界観を作りたいというものがあれば、それは他者の共感を得やすい。
    むしろ、どんなに素晴らしい内容やメッセージでも、それが視覚的に魅力的でなければ、人の心には届きにくいということだ。
    言葉で長々と説明するよりも、一瞬で感情に訴えかける映像の力、いわゆる「映え」の重要性は、SNSが社会のインフラとなった現代においては、あらゆるコミュニケーションにおいて無視できない要素となっている。
    企画を考える際、それが「絵に力があるか」「見た瞬間に伝わるか」という視点は、ますます重要度を増しているということだ。
    それこそが「ビジョン」だという発想を持つことが大事なのだと思う。
    改めて「企画を考える」上で重要な点が、「稼ぐこと」であると、著者が説いている。
    これには、大きく同意する。
    「稼ぐことが重要。とにかく数を出して、続けること。これが企画の画の本質。だから稼げる企画でないと意味がない」という言葉は、ビジネスの現場の厳しさを端的に表している。
    当然エンタメ業界に限った話でなく、すべてのビジネスに通じる話だろうと思う。
    どんな仕事であっても、それを事業として継続していくためには、収益を上げ続けることが絶対条件だ。
    コンテンツのヒット率は決して高くない。
    そして我々のエンタメビジネスは、配信との連携、グッズ販売、イベント展開など、収益構造が益々複雑化している。
    その中で、一つ一つの企画に過度な期待をかけるのではなく、「とにかく数を打つ」という姿勢は、極めて現実的かつ有効な戦略であると納得できる。
    プロである以上、生み出した企画が事業として成立し、関わるスタッフの生活を支え、そして次の新しい企画へと繋がっていくための「稼ぎ」を生み出すことは、決して無視できない責任である。
    この現実を忘れている制作者は意外と多い。
    私はコーポレート部門の経験が長いが、常に心に刻んでおかねばならないと思っている。
    「『いい企画』なんてない」。
    本書のサブタイトルに記載されたこのフレーズは、数々のメッセージの中でも特に強烈なインパクトがある。
    企画の段階では、それが本当に世の中に受け入れられるのか、成功するのかどうかは、誰にも正確には予測できない。
    企画書の上では完璧に見えても、実際に動かしてみると全く違う反応が返ってくることは日常茶飯事だ。
    まさに著者の言う通り、企画とは、その時点ではただの「妄想」に過ぎない。
    そこに絶対的な「良し悪し」の判断基準を持ち込むことは、実は非論理的なのだ。
    完璧な「いい企画」を追い求めるあまり、貴重な時間を浪費しかねない。
    まずは「稼げそうか」というビジネス的な観点から実現可能性の高い企画を立案し、小さくてもいいから実行してみることの方が、絶対に重要なのだ。
    小さく始めて、その結果から学び、改善を繰り返す。
    シンプルであるが、基本的なことを愚直にやるということだ。
    不確実性の高い時代だからこそ、この方法なのだと、改めて感じてしまった。
    バックオフィス部門だからと言って、企画を立てない訳ではない。
    これらのテクニックを活かして、次の事業展開を虎視眈々と狙っていきたいと思っている。
    (2025/3/26水)

  • 企画は「何かを実行するために決めること」であり、まさに「人生」である。

    企画を考えるためのノウハウだけでなく、企画を実現し世に出す事の大変さや、企画を受け取る側へのアドバイスもカバーされていて新しく、後半が特に面白かった。

  • 1.以前、企画脳という本を読んだ時、自分は、日常の観察が足りないことや結び付ける力が足りないことを痛感しました。今の仕事は企画職ではないですが、企画することはどんなビジネスパーソンでも必要だと思うので、知識のアップデートとして読むことにしました。

    2.本書では、企画とは必要なことを決めることとしています。アイデアを生むことに囚われがちですが、飲み会を企画することやパーティーを企画することも立派な企画です。一部のアイデアマンによる独創的な発想やバズった企画が目立ったことで、このような考えを持っている人が多いのが現状です。このような中、本書では、「全ての企画は、企画して、仲間・お金を集めてアウトプットを繰り返すこと」と述べています。企画することが苦手と思っている方は、本書ではまず「決めること」が企画そのものなんだと認識し、リアルな空気を味わいながら企画をたくさんしていくことが大切だと述べています。

    3.企画とは「必要なことを決めること」という言葉に驚きました。私にとってそれはアクションであると考えていたからです。ただ、このように再定義することで、挑戦しやすくなる、つまり、心のハードルはグンと下がります。この1年で私は多くの挑戦をしてきました。これらも全部、企画に入っていると思うとまだまだ経験不足ですし、もっと動かなければならないと思いました。
    やはり、アイデアを生むことに縛られすぎるのは好ましくなく、思いついたら行動し、五感で感じ、それを言葉にするのを繰り返すことが一番努力が実る方法だと思いました。

  • 3.5
    読みやすかった。
    読んだ時はなるほどって思ってもすぐ忘れちゃうんだよね〜

  • 「企画力がある」というと、才能の世界だと思っていましたが、著者は企画の発現性を分析して惜しみなくノウハウを伝授してくれている本です。
    企画力とは、
    ①大量のインプット力
    ②結びつけ力
    ③多産緑
    ④巻き込み力
    ⑤やりきり力

    〇視覚的に理解できること
    〇フリ(オチ)のある企画
    〇15分の雑談効果
    〇思いつく→誰かに話す→実現する

  • 2025年6月29日読了。

  • 企画とは、決めること。
    フジテレビで「逃走中」をプロデュースした高瀬さんによる企画の考え方です。

    ▼響いた文章
    ・自分で「決めた」ことに関してはストレスを感じ難くなります。
    ・制約を理由に企画できないのはただの言い訳
    ・たくさんのヒット作品を知っているということは、それだけたくさんの「共通言語」を持つということです。
    ・企画書は自分がその場にいなくても、自分の企画を誰が代弁したとしても、自分のイメージを正しく伝えてくれる「共通言語」なのです。

  • 作者の経験から、主にメディアを通じて世の中に企画を出す、という視点で書かれているが、(私が必要とする)社内へ向けた企画にも通じる内容で、大変学びになった。ポイントだけでも頭に入れておけば、企画を考えたり進めたりする際に参考になると感じた。「失敗を恐れずどんどん企画を出してみて欲しい」との言葉の通りに背中を押してくれる本。企画の参考にするのはもちろん、迷ったり不安に感じたりした時に、勇気を持たせてくれる本として、いつも手元に置いておきたい。

  • 1日1行日記つける

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1441902

  • タメになったねぇ〜。

  • 2023/9/24 読了

  • いい企画よりもやり切る事が大事ということ。

  • 電子ブック(KinoDen)
    https://kinoden.kinokuniya.co.jp/shobi/bookdetail/p/KP00048857
    ※学外で利用する場合は、マイライブラリまたはRemoteXsからアクセスしてください

  • 企画することが好きな自分からすると特に芯と心を突いた内容はなかったが、自分が考えたことが画期的!とか発明!って思うことはやめることにしました。自分が考えたことは他の人も思い付いてるし、どっかの誰かが既に実行してるかもしれない。それくらいの感覚で次から次へと新しい発想と企画をしなければならないと気付かされた。インプットに終わりはないみたい…
    その中で違和感がヒットの兆しということは感銘した。私は完璧主義に近いので、違和感がない事が万人受けする成功と考えていたがそうではない。違和感こそが興味であり、違和感こそが相手の思考を刺激するんだと。こちら側の勝手な違和感の解決は受け取る側への無礼なのかもしれない。

  • 社会人になって読むと納得することばかり。中高生のうちに読んでおくと、今学んでおかないといけないことが見えてきます。

    [NDC] 336.1
    [情報入手先]
    [テーマ] でーれーBOOKS2023/エントリー作品

  • 元フジテレビで「逃走中」「ヌメロン」などを企画開発した髙瀬敦也氏による本。

    企画とはゼロイチで降ってくるものではなく、ある程度ロジカルシンキングに基づいてキーワードを連想し、最終的には「決める」ことの重要性を説いている。アイマスのゲームプロデューサーの本も読んだが、やはり決断力こそ重要であると言っていた(こちらは生活者ファーストであるが)。仕事術というよりは実践的な企画発想術寄りの内容なので、「言葉」「リズム」によりどうしたら伝わるかという視点に立って述べられていてのが、テレビ局出身者という感じがして面白い。

  • 個人的にはかなり好きな一冊。「逃走中」等を企画した著者の企画に関しての考えが丸裸になっている。
    かなり技術的なところから思考方法まで一冊に詰まっている。
    企画とは決めること。
    人生においてもたくさんの決める瞬間がある。
    著者の最後の言葉で「幸せな人生にするには、まず「幸せな人生にする」と決めることからです。」という言葉が響いた。企画の奥深さに触れた。

  • 2022.05.22(日)晴

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