建設ビジネス

  • クロスメディア・パブリッシング (2025年1月24日発売)
3.47
  • (1)
  • (15)
  • (11)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 139
感想 : 12
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784295410553

作品紹介・あらすじ

建設業界はバブル期には「3K(きつい、汚い、危険)」と言われていた業界の1つ。しかし、ここ10年で大きな変貌を見せている。働き方改革が進み、女性就業者の割合も急増。また、ドローンやAIなど、様々なテクノロジーの導入によって建設現場では効率化が進んでいる。近年、日本では災害が増え、その復旧にも欠かせない建設ビジネス。本書では、業界の研究をもとにメディアで情報発信を続ける著者が、土木、大規模建設、住宅建設、解体、それぞれの動向と、業界で働く人たち、テクノロジーの進化など、業界の今と未来を現場のリアルな声とともにお届けする1冊です。

みんなの感想まとめ

建設業界の現状や未来に迫る内容が展開されており、特に人手不足やデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が強調されています。著者は業界の複雑な構造や問題点を掘り下げ、特に小規模企業の多さや効率性...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人手不足が顕著。それによる淘汰も懸念される業界だが、本来は国土のインフラであるためグローバル競争には晒されにくく、景気浮揚策を反映し易い「ザ・内需」を体現するのが建設ビジネスであったと思う。しかし、人が来ないし、土着の超小規模の会社が多過ぎる、階層型の構造が中抜きと揶揄されるような効率性の課題がある。

    本書は気鋭の著者が行動あるべし、と前向きでエネルギッシュな魂で綴った本。こうした経営者ならば将来を感じられる。最先端な課題感から業界の構造までよくわかる。それを象徴するのが次の引用だ。

    ー 注目分野はたくさんありますが、強いて挙げるとしたら『モジュラー建築スタートアップ企業』です。モジュラー建築とは、工場で主要部分生産し、単位ユニット化したものを現場で組み立てるタイプの建築システムを言います。技能者不足に加え、近年は猛暑日も多く屋外作業の多い建設業では熱中症が頻発し、安全性や工期の観点で懸念されています。その点において、建築物を造る作業の一部を作業環境が安定している工場で行うことができれば、効率性や安全性の点で優れた生産システムとなると考えられます。

    ー 1992年から建設投資が減っているのに、2000年まで「建設会社の数」は増え続けるのです。なぜか?「労働基準法逃れ」のためです。たくさん小さな会社を設立すれば、「取締役」が増えます。「取締役」は労働者ではないので労働基準法が適用されません。取締役にすればいくらでも長時間残業させられる、という考えのもと建設業は「取締役」だらけの産業になりました(現在でも建設業は他産業より取締役が多いです)。さらにこの時期に「社会保険逃れ」も横行します。「個人事業主で常時雇用する従業員数が4名以下」の場合、事業主側で社会保険加入は義務ではない(任意)ため「4名以下の個人事業主」や「一人親方」を増やし、社会保険未加入者を増やすのです。様々な規制逃れをすることで数化する低価格競争を乗り切ろうとしたのが当時の建設業界でした。建設職人は人材派遣が法令で制限されているため、一人親方から「中抜き」することで事実上の非正規雇用化したとも言えます。結果、業界構造はどんどん複雑になります。

    政策次第で業界が変わる。なんとか苦境を乗り切れると良いが。

  • 特に建設業界と関わりがある訳じゃないけど、なんとなく自分と違う職業の話も面白そう〜と読んでみた。加えて、最近建設業の人が駅で賃上げを訴えるビラを配ってて中身を読んだりしてたので、タイムリーでもあった。

    ゼネコン、土木、建築、ハウスメーカーとか、よく聞くけどあまり分かっていなかったワードを整理できたし、現時点で関係ない人でも読んで損はない内容だった。

    建設業がこんなに深く、広く、大きな業界だとは知らなかった。職人の高齢化や古い慣習については友人などからも聞いていたので、本書を読んで進んでいる会社もあるんだなぁと、こういう技術や新しい価値観はどうすれば中小企業に広まるかなぁと、私がどうこうできる訳ではないのに考えてしまった。

    とりあえず、災害復興に建築業の方々がたくさん携わって尽力してくださっているということを知らなかったので、感謝するとともに読んで良かったと思った。

  • 建設業界の仕組み・問題点・将来情勢についてまとめられた1冊。
    人手不足やDX化について焦点が当てられている。この辺りは建設業界のDX化に関わる著者のポジショントークにも感じる。

  • 下請けの構造、公共工事の現状など建設業界のリアルな姿が知れてよかったです。文章から知的で業界への前向きな姿勢を感じました。

  • クロスメディア・パブリッシングのビジネスシリーズは、作者によって面白さがぜんぜん違う。
    本書は、建設業界を俯瞰して見れる立場にあり、さらに実務経験も豊富な著者の筆がいけていて、非常に勉強になった。

    ▼多重請負構造
    https://gyazo.com/ce2f1e8b96973b895005200da6c6c0aa
    2000年まで建設会社の数が増え続けたのは「労働基準法逃れ」のため。
    たくさん小さな会社を設立すれば、「取締役」が増える。「取締役」は労働者ではないので労働基準法が適用されない。取締役にすればいくらでも長時間残業させられる、という考えのもと建設業は「取締役」だらけの産業になった。現在でも建設業は他産業より取締役が多い。
    さらにこの時期に「社会保険逃れ」も横行し。個人事業主で常時雇用する従業員数が4名以下の場合、事業主側で社会保険加入は義務ではないため「4名以下の個人事業主」や「一人親方」を増やし、社会保険未加入者を増やすのです。
    様々な規制逃れをすることで数化する低価格競争を乗り切ろうとしたのが当時の建設業界。建設職人は人材派遣が法令で制限されているため、一人親方から「中抜き」することで事実上の非正規雇用化したとも言える。
    結果、業界構造はどんどん複雑になった。

    ▼建設業での現場作業員の有料人材紹介や派遣は禁止。
    職業安定法で原則禁止されていることを、本書を読むまで知らなかった。
    土木、建築、解体などの直接的な現場作業(いわゆる職人業務)は、重層的な下請け構造や雇用形態の不安定さから、労働者保護が必要なため不可になっている。
    施工管理職や建設現場内の事務職、設計職など、現場作業に直接関与しない専門職は問題ないらしい。
    だから、請負が増え、どんどん下請けが増える構造も止まらない。
    下請けとして工事を完成させる契約を結び、自社で管理する労働力を提供するのは適法だから。

    ▼その他
    ・非住宅の新築で、もっとも総床面積が大きいのは倉庫。amazonなどの物流の影響。工場でも事務所でもない。
    ・国内で新築される住宅戸数に占める分譲マンションの比率は13%。実は今でもアポートが1位で、戸立注文住宅が2位。新築マンションは主要都市に集中してるだけ。
    ・空き家は、税制面からトータルで考えるとある程度かんりしてかいたいしないほうが得になってしまうので増え続けた。2023年に空き家対策特別措置法ができて、改善には繋がってきた。
    ・建設業界は、そこまで離職率は高くない。圧倒的に「サービス・娯楽業」「宿泊業・飲食業」が多い。SNSや無自覚な発言によってそう思われているだけ。

  • 最近の流れがわかる。参照データや参考文献などまとまっており良い。

  • カバーが魅力的だったので、読んだ。このシリーズ全部いい。
    内容は最新の建設業界の状況は幅広く記載されていたが、色々な論点が色々な順番だったので少し頭に入りづらかった。
    300年後に何を残せるか徳川家康の江戸工事を引き合いに出して建設業界へのメッセージは印象に残った。

  • 建設という広いテーマの中でも、工事会社や建設職人(大工や電気工事士、重機オペレーターなど)にフォーカスをあてている。
    建設というと私はゼネコンや重機に眼が向きがちだったので、実際に手を動かす組織・部隊がどういったものかイメージが膨らんだのは良かった。
    ただ、建設というテーマがとても広いので、すごく広く浅く書かれている印象を受けた。
    もう少し建設の中でもテーマを絞った著者の本があれば読んでみたいと思う(重機だけで1冊。ゼネコン関係で1冊など)。

    建設業界もいろいろ変化していることは実感できたが、自分の持っているネガティブイメージ(きつい、きたない、IT化が進んでいない、昭和の働き方)は払しょくできなかった(著者が悪いわけでは決してない)。
    建設業界に興味がある、就転職を考えている人は現実を知る意味でも読んで損はないと思う。

    これは他業界にもいえることだが、従業員が数人~数十人の生産性の低い、昭和気質の組織を補助金なので延命させるのはどうかと改めて感じた。
    100年に一度と言われる変化の時代、上記の組織が足を引っ張るのではないか。
    変化についていけない組織には潔く退場していただき、変化についていける組織に支援を集中した方が、日本経済ひいては働き手として報われるのではないか。

  • 今の自分のリスクとやるべきことが見えた本。

全9件中 1 - 9件を表示

この本が好きな人におすすめの本

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×