「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか? 認知科学が教えるコミュニケーションの本質と解決策

  • 日経BP (2024年5月10日発売)
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  • 本 ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296000951

作品紹介・あらすじ

『言語の本質』(中公新書)で
「新書大賞2024」大賞を受賞した
今井むつみ氏の書き下ろし最新刊!

間違っているのは、
「言い方」ではなく「心の読み方」

ビジネスで 学校で 家庭で ……
「うまく伝わらない」という悩みの多くは、
「言い方を工夫しましょう」「言い換えてみましょう」
「わかってもらえるまで何度も繰り返し説明しましょう」では解決しません。

人は、自分の都合がいいように、いかようにも誤解する生き物です。
では、都合よく誤解されないためにどうするか?
自分の考えを“正しく伝える”方法は?

「伝えること」「わかり合うこと」を真面目に考え、
実践したい人のための1冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 思っていたのとズレた内容だった。自分はありもしない「魔法の杖」を求めていたのだ、と思い知らされました。相手をコントロールする魔法はない。そもそも完全に分かり合えることはない、という前提からいつもスタートする覚悟を問われている、と読み解きました。

  • はいはい、気を付けますよ

    いやー失敗した
    またもや失敗した

    ついこないだもおんなじこと思ったんだっけ

    はい、よいコミュニケーションを生むための考え方というか、そんな感じのやーつなんだけど、最終目標は考え方を変えてコミュニケーション能力を磨きビジネスシーンで役立てようってことみたいなんよね

    わい、ほんともう出世とかしたくないし、今さら部下とか持ちたくないんで、ただただ毎日ヘラヘラしていたいので、ビジネス書とか読んでもぜんぜん感銘とか受けないんだわ
    よし!頑張ろう的な気持ちにならんのよ

    じゃあ読むなよってね

    だから失敗した言うてるやん

    日経なんちゃらとかは、ほんと手にするのやめよう

    なんかごめんなさい

    でもちゃんと最後まで読んだから許す!

  • ビジネス書を謳っているだけあり、専門性は薄く、非常に読みやすい内容でした。テーマはスキーマ。人はみな、異なる枠組み(スキーマ)を持っているため、同じ事柄も同じようには受け取れない。言われてみたら当たり前に感じますが、このスキーマ精神を持ち続けて、人と関わるのは簡単ではないですね。わかりやすい説明をするためには、上手な説明の仕方を身につけるよりのではなく、聞き手のスキーマを考えることが大切である、というのは、逆説的で印象的でした。

  • 自分の発言を100%理解してもらえるはずがない!
    だって、人それぞれ育った環境や趣味嗜好のが違うんだもの。
    認知バイアスだってあるし…
    他人とうまく意思疎通なんてできっこない。
    なかなか厳しい現実です。

    でも、人間は戦うのです笑
    相手を慮って、寄り添って、手を尽くしてわかる努力をする。
    爽快な解決策ではないけれど、努力あるのーみ!

  • 職場での悩みや疑問がかなり解決した本
    でも解決して終わり!じゃなくて相手の意図や感情を汲み取れるようにならないと根本的な解決にはならないんだろうな、それが難しいんだろうけど
    私はメタ認知システム2の熟考の力が弱い気がする…
    深く考えないところがある自覚がはっきりした
    今度はそういう思考力的な部分をどう伸ばすが、みたいな本を読んでみようかな
    枝葉のように広がる読書、たのしい…

    この本は序盤からコロナや空港爆発の時事ネタを例にして話していて、それがすごく分かりやすいと思った
    そしてそれこそが抽象と具体の具体例だったんだと最後まで読んで気付いた
    そういえば、中学高校の英文法のテキストも必ず抽象と具体で構成されてたな

  • 新刊情報でずっと気になっていた作品。
    具体と抽出の話が書かれているだけあって、本書自体も論文の引用や具体例が豊富で、理解はしやすかった。タイトル通り、伝わらないのは「なぜ」かという部分の解説が中心であり、解決策に関してはやや薄い(まあそうだよねという程度の内容)

  • ・相手に正しく理解してもらうことは相手の思い込みの塊と対峙していくこと。そしえ相手を正しく理解することは自分が持っている思い込みに気がつくことでもある。

    ・人は誰もが異なるフィルター、つまりスキーマを無自覚に持っており、それをベースにしてしかコミュニケーションは取れない、と言う事実を理解することが重要

    ・選択や意思決定の多くの場合、人は最初に感情で、端的にいえば「好きか嫌いか」で物事を判断し、その後「論理的な理由」を後付けしているに過ぎない

    これらの事実を知っているだけでも、コミュニケーションのすれ違いによるストレスが減り、より円滑にやりとりすることができると感じた。
    今まで他人といざこざがあった時に自分の性格などに自責の念が生まれていたが、それもあるかもしれないが、そもそもの認知の仕組み上、起こりやすかったのかもしれないと視野が広がる一冊だった。
    自分がわかったと思った時、本当に自分は相手が意図しているように理解できているのか?人の話はすべて自分のスキーマというフィルターを通して理解される

  • 人は物事を認知する時、その人それぞれ異なった仕方で行っている。それは人の脳がそれほどハイスペックではなく(記憶容量に関しては1GB程度らしい)、受信したものをそのまま取り込むのではなくいわば「圧縮」のようなことをして行うのだが、人はそれぞれの知識や教養や考察力や応用力や識見などなどが異なっていて人によって偏りがあり、それを土台としてあるいは道具として認知や理解をせざるを得ないからだ。すなわちすべての人間は人それぞれ認知の仕方におけるバイアスを避けることができない。その土台や道具をスキーマ(枠組み)といい、人間同士の伝達とは、データがそっくり移行していくような類いのものではなく、発信者のスキーマと受信者のスキーマを介して圧縮・解凍という具合に変換されながら行うもので、そもそもが完全に正確には伝わらないということが前提であり、正確に伝えたいと思うのなら、自分と相手のスキーマの在り様とその違いを知ることが何より大切ということだ。さらには人間の脳は圧縮したものをいつでも正確に再展開することができない。なぜなら記憶そのものが正確でなく情報が欠落する(忘れる)ことはもとより、違った内容に上書きすらしてしまうようにできているからだ。本書は副題にあるようにコミュニケーションの本質を明らかにすることから始まるいわば基礎研究みたいなもので、タイトルからすぐにでも成果につながるハウツー本を期待して読むと肩透かしを食うかも。

  • 分かりやすく伝えたつもりでも相手は全く理解していないことがよくある。
    自分の説明が下手なのかと落胆したり相手の理解力のなさにイライラしたり、コミュニケーションを取る度に心労が絶えないが、こういった認識自体そもそも間違っているのではと気づかされた。
    当たり前は人それぞれで、自分にとっての当たり前が相手にとっては当たり前じゃないこともある。
    そのため言語力以前に双方の価値観の相違が根本にある。
    人はどうしても自分の都合のいいように解釈してしまう。
    説明する時は誤解や曲解が介された上で相手に伝わっている、と肝に銘じておきたい。
    なるべく円滑な伝え方をするには相手の立場になって自分の言葉を多角的に捉えてみることが大切。

  • 人にはそれぞれの「スキーマ(枠組み)」があり、それに応じた理解になるため、お互いに齟齬が生じることがある。
    また、人間は「記憶マシーン」にはなれず、言葉や感情、時間の経過がどんどん記憶を書き換えていく。さらには自分の中の「神聖な価値観」によって思考が止まってしまう。
    そうならないためには、相手の立場に立って、互いの心の内を擦り合わせていくことや、具体と抽象の往還をすること、メタ認知の大切さを事例とともに紹介している。

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著者プロフィール

今井 むつみ(いまい・むつみ):慶應義塾大学環境情報学部教授。1994年ノースウエスタン大学心理学博士。専門は認知科学、言語心理学、発達心理学。学力不振で苦しむ子どもたちの学力困難の原因を見えるようにするツール(たつじんテスト)や学習補助教材の開発にも取り組んでいる。著書に、『言語の本質――ことばはどう生まれ、進化したか』(中公新書)、『ことばの発達の謎を解く』(ちくまプリマー新書)、『親子で育てる ことば力と思考力』(筑摩書房)、『言葉をおぼえるしくみ――母語から外国語まで』(共著、ちくま学芸文庫)、『ことばの学習のパラドックス』(ちくま学芸文庫)、『ことばと思考』『学びとは何か――〈探究人〉になるために』『英語独習法』『学力喪失』(以上、岩波新書)、『算数文章題が解けない子どもたち――ことば・思考の力と学力不振』(岩波書店)、『ことば、身体、学び――「できるようになる」とはどういうことか』(扶桑社新書)ほか多数。

「2024年 『AIにはない「思考力」の身につけ方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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