- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784296101061
作品紹介・あらすじ
「GAFAの全盛期は過ぎた」
次の時代に生き残る細分化(フラグメント化)戦略とは
本書は、「グローバル資本主義」の終焉と、
それに伴って存在感が増す「コミュニティー」の
時代の到来をテーマとしている。
GAFAに代表されるグローバルプラットフォーマーが
独占的地位を得る時代から、自律分散型の企業モデルが
息を吹き返す時代への"予言書"と言ってもよい。
それはすなわち、個別最適解を出せる日本企業、
とりわけ分散型テクノロジーに強い日本型技術企業が
世界の見本となる時代になると言える。
私たちは、コミュニティーを基盤とした自律分散型の社会の実現を
「フラグメント化する世界」と呼ばせていただく。
フラグメント化は「細分化」とか「断片化」といった日本語になる。
ネットワークの世界では、なじみのある用語である。
送信したい情報の量が多い場合に情報量を分割して送信する処理を
「パケットのフラグメンテーション」と呼ぶ。
実はポストグローバル資本主義社会も、
「フラグメント化」が大きなキーワードになると予測できる。
こうしたフラグメント化が、企業のグローバルビジネスを大きく変えることにつながる。
感想・レビュー・書評
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プラットフォーム型のビジネスモデルが公共インフラ化していくという仮説の上で、グローバル資本主義による成長モデルの頭打ち、その揺り戻しから、世界のニーズはフラグメント化していく。個々に特性の異なるコミュニティーに適合するため、カスタムソリューション型のニーズが高まっていくだろう。標準化、グローバルスタンダードや、オープンイノベーションの戦略は不要ではないまでも、強みではなくなってくる。
そのパラダイムの中で、個々の企業経営は「単一ではないポートフォリオ」を持ちながら、「守りと攻めをバランスよく、変幻自在に使い分ける」このことが本質的な課題になるであろうというのが著者の主張であった。
クラウドファンディングにより、自治体が独自に資金調達を行う事例が紹介されていたが、既にふるさと納税によって同様のフラグメント化、地域が主体的に行う資金調達が開始しているのではと思った。税金で強制的に資金を調達しなくとも、コミュニティーの特性に合わせて、メンバーのニーズ/期待値とのマッチングを行うことで、財源の確保ができるようになりそうだ。
著者はフラグメント化する世界で生き残る可能性を持つとして「一強多弱型」や「連邦クラスター型」のポートフォリオを持つ企業に注目しているが、YAMAHAのような楽器からボートまで開発している企業の文化や構造に大きな興味を持った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
かつてはインターネットの発展、コンピューターの進化により、世界はフラット化すると考えられていた。
これは、世界が全てつながることで、中央の超高性能巨大コンピューターが全てを計算し、答えを導き出し、瞬時に末端に指示を出すことで、より効率的になり世界は均一になっていくと考えられていたからだ。
確かにコンピューターが何台もあり、そこで演算処理を行うと維持管理にも莫大なコストがかかってしまう。
そういう部分は巨大な中央の1台に担わせ、各末端の単位での処理はより軽くした方がメンテナンスコストはかなり軽減できる。
こうした考えは理に適っていると言えるだろう。
フラット化する世界とは、つまり中央集権化する世界だ。
中央ですべてを決めて、一律の同じ指示を末端に対して出していく。
だから答えはすべて同じ回答で、世界はフラット化(=均一化)していくのだ。
本当にそうなるのだろうか?という疑問を差しはさむ余地もないくらい、これはこれで説得力があった説だったのだ。
私自身も子供の頃に見たSFマンガだったと思うが、「マザー」という名の中央コンピューターが世界のあらゆることを決めるという内容だった。
子供の頃の私はこの世界観を受け入れた。
「なるほど。確かに世界はこうなっていくのかもしれない」
そんなことを感じながら、その物語の中で翻弄される人類を見て、「自分はどうなっていくのだろうか」などと思いを馳せていた。
テクノロジーの進化の延長線上にある世界は、フラット化する世界だったのだ。
これら進化は止まらず、世界の末端までインターネット&コンピューターが行き渡りつつある中で、フラット化する世界は実現に向かっていると思われていた。
しかしここに来て一転。どうもフラット化と別の動きが起きている。
それが本書で説く「フラグメント化する世界」だ。
言い方は異なるが、安宅和人氏の「シン・ニホン」や、その他、東日本大震災をきっかけとした地産地消論や、コロナウイルスをきっかけとしたソーシャルディスタンス論も、そしてビットコインに代表されるブロックチェーン技術も、ある意味での「フラグメント化」だと思う。
表現は異なるのだが、それぞれが示す本質部分には共通項がある。
果たして、こうなる状況を事前に予測できていた人はいたのだろうか。
すっかりフラット化すると思っていたら、どうも局所的にそういう動きになっていなかった。
大きな流れでは確かにフラット化は起きていた。
コロナウイルスの猛威によって、オンライン会議やオンライン授業が加速したことは、ある意味でのフラット化だ。
場所の不自由さを超えて、一律に情報が行き来できている。
一方で、テクノロジーの高度な進化が、中央での演算を必要とせず、個別現場レベルで最適化のために演算するという動きを可能にした。
しかもメンテナンスコストもこれまたテクノロジーの進化で劇的に安価になっている。
環境への配慮や、持続可能な社会を目指す方向性にも、これら「フラグメント化」が合致したと言える。
個人の感想であるが、これから「フラット化「フラグメント化」が同時に高度に進化していくことは間違いがない。
どちらかに偏ることもないだろう。両方がそれぞれに効率よく高度化していく社会。
それは考えると、すごく居心地がよさそうな感じだ。
人間という生き物はすごいと思う。
こうして変化に対応していきながら、自分たちの居心地のよいものを作り上げていく。
地球環境の変化などを見ると、人類は破滅に向かっているなどと言う人もいるが、全体的には社会はいい方向に向かっているような気がしてならない。
確かに複雑だ。混沌としている世の中だ。
そんな中で人類は力強く生きていく術を見つけていく。
未来は明ると思うのは私だけだろうか。希望を持って生きていきたいと思うのだ。
(2021/6/19) -
人口減るし、土地利用も変化するし、産官学の連携が重要。
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これからはグローバルに共通したビジネスモデルではなく、ミクロに対応していく(フラグメント化)必要があるというようなことを書いてある本。
だと思うのだけど、どうにもピンとこず、実はよく分からない部分が多かった。分かるようで分からない感じ。経営学の教科書でも読んでいるような感じだった。
とにかく、日本企業はフラグメント化する社会において有利な立場にあるそう。はたして本書のように、日本の総合電機メーカーは復活するのだろうか。
太陽光発電の発電コストは化石燃料ベースでの発電コストより割安になっているらしい。環境だけでなく、コストも太陽光発電のほうがいいなら、そっちに変えていったほうがいいんだろうなと思った。いつかは枯渇する化石燃料と違って、太陽光発電は枯渇しないだろうし(少なくとも、自分が生きている間は)。
主要四輪車メーカーの四輪事業依存度の表はなかなか興味深かった。ほとんどの企業が100%か100%に近い割合なのにたいし、ホンダは65%しかないらしい。だから今後、四輪自動車産業が衰退することがあっても、ホンダはある程度生き残れる可能性が高いのだとか。
まあ、ようは選択と集中はリスクになりうるということかな。よく聞くことではあるけど、それでうまくいっている企業としては方針転換は確かに難しいのかもしれない。 -
グローバル資本主義の終焉と、ICTの進化により、分散化が進む。
日本は相性が良い。
共通化による効率性が企業の競争力の源泉となる時代が終わり、個別性への対応力という、元来日本が得意としてきたことの重要性が高まるとの論調。
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ポストグローバル資本主義。2019年の現時点では「ポスト」の位置付けだけど、この新時代をあらわす名前をつけてあげたい。
GAFAを中心としたグローバルな社会インフラの構築は、現時点では自由市場を阻害するものだけど、このインフラによって、人間は「所有」に基づく競争から、「利用」に基づく協創にアップデートされていく。ルネサンスに匹敵するぐらいの人間中心の価値転換なんじゃなかろうか。 -
東2法経図・6F開架:KW/2018//K
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フラグメント化=コミュニティ化。ざっくりとしたレベル感では同意するところあります。