星野佳路と考えるファミリービジネスの教科書

制作 : 小野田鶴  日経トップリーダー 
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296104444

作品紹介・あらすじ

星野リゾート率いる
現役経営者・星野佳路による、
世界最先端の経営学の研究報告――
◎ データが証明。 ホントは強い! 同族経営
◎ ビジネス理論で解析すれば、課題と対策が見えてくる

ジャスティン・クレイグ教授が解析
「4つのフレームワーク」による「星野リゾート研究」
     ×
注目経営者から引き出した
「同族経営、ここだけの話」

「理論」×「ケーススタディ」で構成する
新しいファミリービジネスの教科書!

感想・レビュー・書評

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  • 家業を継ぐ決断をするときに、背中を押してもらいました。

    「ファミリービジネスは『立ち上げリスクを軽減した起業である』」という言葉で、後を継ぐことのイメージが変わってすごくポジティブに捉えられるようになった。

  • 家業を継いだ人、事業承継を考えている人にお勧め。
    ファミリービジネスマネジメントの続編。
    ありがちな落とし穴を教えてくれる本。

  • 色んな成功事例を紹介していて、面白かった。前半と最後はフレームワークについて、中盤以降は事例に基づきファミリービジネスに大事な要素や考え方を解説している。大塚久美子氏に対するイメージも変わった。

  • マネジメントに関する本です。ファミリービジネスの新たな可能性を探っています。同族経営は、時として閉鎖的などのネガティブな面が強調されがちな気もしますが、その強みを生かすことで、新たな可能性が広がることを教えてくれる1冊です。同族経営は、特に事業承継が課題となりがちですが、その解決のヒントになることも教えてくれます。事業承継でお悩みの経営者の方がお読みになると、参考になるものがあるのではないでしょうか。

    【特に印象に残ったフレーズ】
    ・「ファミリービジネスは日本経済の価値の半分を生み出しているが、経営のレベルは高くない。逆に言えば、まだ伸びしろがあり、経済が大きく成長できるかもしれない。」
    これからの経済成長のカギを握るのがファミリービジネスという見解は、これまであまり考えられてこなかったのではないでしょうか。
    ・「ファミリービジネスを『立ち上げリスクが軽減されたベンチャービジネス』ととらえれば、継ぐ意欲は変わる。」
    今、中小企業の大きな課題となっている事業承継問題を、解決するヒントとなる考え方ではないでしょうか。
    ・「創業者はいろいろな苦労を経験し、生き残るのはごく一握り。生き残った創業者は、間違いなく優秀な人。一般論として、後継者がそのパフォーマンスを上回るのは難しい。一方で、どんなに優秀でも20年、30年と高いパフォーマンスを出し続けるのも難しい。自分より上回る人材がいなければ、そのまま引き継がず、分権化など会社の仕組みを変えることも必要。」
    こちらも、事業承継問題を解決するにあたって、押さえておくべき考え方ではないでしょうか。

    【本のハイライト】

    〇注目されるファミリービジネス
    ・日本にも海外にもファミリー企業は多い。アカデミックな知見も武器に、ファミリービジネスの強みと弱みを認識して付き合えれば、ビジネスで得られる成果に大きな違いが生まれるはず。今では、ビジネススクールの1科目として確立されつつある。
    ・ファミリービジネスは日本経済の価値の半分を生み出しているが、経営のレベルは高くない。逆に言えば、まだ伸びしろがあり、経済が大きく成長できるかもしれない。
    ・ファミリー企業の経営者、後継者は、「事業を伸ばす」という姿勢が必要。事業を伸ばすビジョンと戦略を持ち、日本経済に貢献するというプライドを持ちながら、家業を承継する姿勢が大事。

    〇ファミリービジネスのビジネスモデル
    ・ビジネスモデルは30年に一度くらいは検証、見直しが必要なものかもしれないが、ファミリービジネスにはその仕組みが最初からビルトインされている。
    ・戦略が正しくても、効果を発揮するのに時間がかかり、資金がついえるケースもあるが、ファミリービジネスの場合、先代から引き継いだ商品、サービスでとりあえず資金を回し、時間を稼げる。イノベーションが成功する可能性が高い。ファミリービジネスを「立ち上げリスクが軽減されたベンチャービジネス」ととらえれば、継ぐ意欲は変わる。

    〇創業者の役割の変化
    ・創業者はいろいろな苦労を経験し、生き残るのはごく一握り。生き残った創業者は、間違いなく優秀な人。一般論として、後継者がそのパフォーマンスを上回るのは難しい。一方で、どんなに優秀でも20年、30年と高いパフォーマンスを出し続けるのも難しい。自分より上回る人材がいなければ、そのまま引き継がず、分権化など会社の仕組みを変えることも必要。
    ・上場したら、創業者の役割や立場は変わらないといけない。コーポレートガバナンスが不可欠になる。株主が一番上なので、経営者を退いてもらい、株主に「上がってもらう」。

    〇スリーサークル
    ・非ファミリー企業では、マネジメントとオーナーの間で対立が生じる。ファミリービジネスでは、そこにファミリーが加わることで、対立が生じる領域が3つに増える。立てるべき計画は、オーナーとマネジメント間の戦略計画、マネジメントとファミリー間でのファミリーの人材開発計画、ファミリーとオーナー間での資産計画の3つが必要になる。
    ・「3種類の計画をつくり、永続のプランを完成させる必要がある」という課題共有がスタート。「承継ではなく永続」が問題という認識を共有する。共有できたら、計画を実行するのみ。

    〇4L(Learn)
    ・ファミリービジネスのオーナーがたどるべき学習と人生のサイクルを示すもの。L1:ビジネスを学ぶ、L2:自分たちのファミリービジネスを学ぶ、L3:率いることを学ぶ、L4:退くことを学ぶ。
    ・L2は重要で、必ず利益に対して責任を負わせる必要がある。失敗を経験させると大きな糧になる。
    ・L4世代にとってリーダーシップを手放す難しさは、親世代は「伝統」を守ろうとし、子世代は「変化」を起こそうとするという構造的な理由がある。感情が絡むと、理性的な話し合いが難しくなる。ハードランディングはやむをえないが、双方が歩み寄ることで、親世代が権力を手放しやすくする工夫もできる。ポイントは、手放す側が「去る」ではなく「どこかへ行く」という感覚を持てるかどうか。加えて、バトンを渡す側も覚悟が必要。

    〇スチュワードシップとエージェンシー理論
    ・ファミリー企業の経営者は大抵、大株主。オーナーとマネジメントの対立はなく、エージェンシーコストが低くなり、自由に、機動的に意思決定が可能となり、強みの源泉になる。一方で、「居座り」や「縁故主義」などの特有のエージェンシーコストがかかることもある。
    ・重要なのは引退をスムーズに行うこと。自分がうまくやる以上に、より良い状態で次にバトンを渡すことが重要な責務。スチュワードシップといわれるが、個人として発揮される場合と組織として発揮される場合でそれぞれ3つの特徴を持つ。
    ・個人として発揮されるのは、①内発的モチベーション、②組織との一体感、③個人としての力。肩書に頼らなくなる。組織として発揮されるのは、①集団主義の重視、②社員の地位による権力差の小ささ、③従業員を巻き込む風土。
    ・優れたファミリービジネスに共通する強みは、オーナー兼マネジメントのトップがスチュワードシップを発揮すると、エージェンシーコストが低くなり、独自のマネジメント手法やリーダーシップ、経営戦略が可能になることである。

    〇ビッグテントと4R
    ・ファミリービジネスには、非ファミリービジネスにそもそも存在しない立場から、事業に貢献できるメンバーが多くいる。こうした役割を可視化して、より多くのメンバーに参加意識を持ってもらうのが、ビッグテントのアプローチ。多様性を生かす。
    ・役割(Role)、要件(Requirement)、責任(Responsibility)、報酬(Remuneration)の4Rを定めておくことが重要とされる。

    〇婿養子制度
    ・婿養子ならば、幅広い候補から、長い時間をかけて後継者を選べる。優秀な人材を創業家の内部に取り込み、株主と経営者の一体感も長期視点も維持できる、との分析がある。
    ・現代は婿養子に抵抗を感じる経営者が多いことが、プロ経営者が増えた理由との考え方もある。

  • ファミリービジネスのフレームワークを模索する為に、数社の承継が成功した次世代経営者と星野さんが対談する。

    キーワードは、4L、3サークル、440→330

    これからは、ファミリー憲章が必要なのか。

  • 家族経営的中小企業経営者としては、非常に示唆に富む一冊だった。

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