2030年の戦争 (日経プレミアシリーズ)

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  • 日経BP (2025年1月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784296118038

作品紹介・あらすじ

もし、日本が戦争に
巻き込まれるとしたら?
気鋭の軍事研究者たちが、もっとも可能性の高いシナリオを徹底議論!

中国の軍備拡大、北朝鮮の核開発、ロシアのウクライナ侵略ーー。
日本の安全保障環境は風雲急を告げる。
現代の戦争とはどのようなものか? 
2030年代、日本が戦争に巻き込まれるとしたら、どんな事態か?
実際ミサイルが飛んできたらどうする?
ともに1982年生まれの気鋭の軍事研究者がディープに語り合う。

感想・レビュー・書評

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  • 日本を取り巻く微妙な情勢や、最新の戦法など、気鋭の有識者2人が対談した記録。
    技術が格段に向上し、追跡型ドローンなど、命中確率の高い兵器は増えてきた。ただしAIに頼ると、攻撃誤認により自動報復システムが稼働するリスクがある。「ドラエモン のび太の海底鬼岩城」の例えは秀逸である。

    ロシアや中国のように、人的及び物的資本など、ロジスティクス面でのストックが豊富にある国に対して、日本のように少ない国では異なる戦法にならざるを得ない点も納得。

    中朝露に対して「侵攻するには今しかチャンスがない」と思わせない抑止力が必要。この抑止力が維持できるか、際どい世界情勢であることを認識した。

    韓国の38度線に配置されている兵士は、北朝鮮が攻めてきた時に10分で絶滅する覚悟でいる。その時間稼ぎが大事。

    最初の第一撃を出来るだけ被害最小限に耐え、周辺国と連携した防衛戦に持ち込むこと。

    こういった鋭い考察は、実戦を想定したゲームを通して、シミュレーションを重ねた結果らしい。少しづつ有事が迫っていることを実感させられ、緊張感が高まる一冊であった。

  •  「地域研究と安全保障研究の境界領域に足場を置く」両著者の対談本だが、本書はかなり安全保障研究、それも軍事寄り。現在の戦争や軍事力の形態、台湾有事と半島有事のシナリオ、日本の方策をそれぞれ論じる。
     C4ISRの進化、サイバー戦や統合運用等の最近の傾向を論じつつも、戦争では変遷ではなく拡張、外側に別の戦争形態がありつつも、コアにある古い戦争は状況により蘇るという本書の指摘が腑に落ちる。また軍事力、即応力を測るのは困難と述べると同時に、日本ひいては部分的には米もは中国に対し「交戦のレベルをずらす」非対称戦が良いとする。かつて非対称戦は中国の側が採るとされていたが。
     台湾有事では、海上封鎖、ミサイル攻撃、上陸作戦が論じられているが、その端緒や順序も含め展開を断定しない。半島有事では、さすがに南侵ではなく偶発的事象の後のエスカレーションが一番可能性が高いとする。
     日本の方策としては、グレーゾーン事態への準備、ポジリストからネガリスト、海保と海自の連携、打撃力、戦略的コミュニケーション、住民避難、と既によく言われていることが並ぶ。これら基本を改めて読者に伝える、という意義。
     なお、ごくかすかな事実誤認を見つけたので、更に深く学びたい読者は、防衛白書や報道を含め出典をあたった方がいいだろう。もちろん、新書としての本書の価値を減じるものでもない。

  • 良書。
    安全保障や軍事に関して基本的なところは知識があると、なお読みやすい。
    「もし。日本が戦争に巻き込まれるとしたら?」というシナリオは4章にあるのだが、著者も書いているとおり、正確に予測することは出来ない。
    この本で重要なのは特に「2章 軍事力とは即応力である」ではないかと思う。一般的な軍事力の比較では、なぜ兵員数と装備品(航空機・艦船等)の総数で比較されるのか、なぜそれが実態を現していないのか、これまで十分に説明されてこなかった点を明確に解説している。
    またその理解により、装備品のスペックでの優劣を測る傾向や空母保有論、核武装論まで、巷の軍事情報通?の方々の主張するポイントがなんだかなぁ、というモヤモヤを言語化することが出来るだろう。(まぁ主張にC4ISR が出てこない段階でお察しなのだが。)

    本書は当然のごとくC4ISRに関するの記述も多く、「戦争論」から始まり、米露の戦略の変遷などについても豊富な知識、文献による解説があり、過去からの戦略・戦術思想についての知見を深めるのにも適している。

    この方々に国家防衛戦略の策定を任せた方が良いのでは、と思わせる本。

  • どういう戦われ方をしていくのか、と興味深い内容だった。

  • 対話形式ということもあり、非常に読みやすく、分かりやすいです。
    カバー範囲も広く、「戦争とは何か?」「国防計画とは何か?」というところから、「戦争におけるAIの適用可能性・有用性」といったところまで議論され、更には「将来起こりうる有事のシミュレーション」および「日本が何をすべきか」ということまで触れられてます。

    軍事については素人ですが、「軍事力とは即応力であり、構造即応力と運用即応力に分かれる」「国防計画とは究極のマネジメント問題」という指摘は、民間企業にも通じるところがあるように感じます。C4ISRについてはより深く勉強したいところです。

    細かなことを言えば、AIに意思決定の責任は取れないのでAI指揮官のようなものは難しいが、兵站を考えるのは向いている、という指摘も関心を持ちました。

  •  .
    2022年に、ロシアによるウクライナ侵攻が、勃発しました。
    また、中国が台湾を武力により統合する可能性も、取り沙汰されています。

    近隣諸国による不穏な動きを見聞きして、「日本は今後、どうなってしまうのだろう?」と、不安に感じています。
    日本の防衛力強化についても情報を得たいと思っていたところ、この本の存在を知りました。
    近未来の(日本に影響がありそうな)戦争勃発の可能性が論じられてそうな題名が気になり、読むことにしました。

    本書は、安全保障関連の専門家2人による対談を、全5章にまとめた構成となっています。

    第1章は、2020年代の戦争とは、どういうものなのか?について。

    そもそも、戦争とはどういうものなのか?という説明から始まっているので、自分には理解しやすく感じました。
    そして、現在の戦争は対象分野が広くなっていること、いつから戦争が始まったかわかり辛くなっているということも、報道を見聞きして感じていたことと符合するなと思いました。

    第2章は、軍事力とは何か?について。

    なぜ、軍事大国であるアメリカやソ連・ロシアが、軍事力で劣る国に苦戦してきたのか。
    装備の多さ、新しさだけでは戦争の勝ち負けは決まらないのだと、理解しました。
    実践経験が乏しい日本の自衛隊が、いざとなった時にどれだけ対応できるのか? 不安に感じました。

    第3章は、現代の戦争が過去からどう、変わってきているのかについて。

    戦闘が行われている/これから行われる現場の状況が、かなり速いスピードで共有されていることに驚きました。
    2025年に自衛隊に統合司令部が創設されたことも、世界の流れについていくための施策なのだと、理解しました。

    第4章は、日本周辺で近未来に起こる可能性がある戦争とは、どういうものかについて。
    第5章は、では日本は何をすべきか、について。

    最初に台湾有事が挙げられていることが、印象に残りました。
    日本の防衛力が中国より格段に劣っていること、このため中国を抑止できる要点を見つけて、その点に特化する必要があること。
    これらのことを国全体の共通認識として、防衛力強化を進めていくべきだと感じました。
    また、北朝鮮、ロシアも関与した複数の有事が同時期に起こることも、夢物語ではないのだと、認識しました。

    全体を通じて、話がやや専門的な部分はありますが、自分のような素人にもわかるように配慮されて対話・書籍化されていると感じました。
    個人的には、なぜ戦争が起こるのか、軍事力とは何かといった基本的な部分がしっかり書かれているので、今後、この問題を考えるにあたっての基礎知識を得ることができました。

    本書を読んで、安全保障というのはただ、武器をどれだけ持っているか?ということではなく、幅広い分野に支えられていることも認識しました。
    日本を取り巻く状況も刻々と変わっているので、継続して関連書籍を読んで、知識をブラッシュアップしていきたいと思います。
     .

  • 地震を想定した防災訓練に参加しても、Jアラートが出たときに動けるか。富士山噴火と有事は忘れがちな日常ですが、誰かは、嫌な想定を繰り返している。テクノロジー、装備、施設、作戦、戦術、組織、トレーニング、教育、人事、リーダーシップ…軍事作戦、戦力構築の要素にはバランスが必要。「カタログ・スペック」で兵器を選び、そこから作戦や戦術を立てることは、整合性が取りにくい非生産的な方法(130頁)評判が良いので活用方法は後から考えようとして導入したがサポートなしには自分では使いこなせないサービスみたいで、ものの調達が先で失敗することは多々ある気がします。

  • 第1章から第3章章までが概論、第4章と第5章が台湾、朝鮮半島有事と日本のすべきことを論じている。知識を整理するにはいいと思う。

    【目次】
    はじめに 

    第1章 戦争をどうとらえるか 
    2人が軍事問題に関わるようになったきっかけ 
    新しい戦争と古い戦争 
    戦争は「変遷」ではなく「拡張」している 
    今の戦争はわかりにくい 
    軍事作戦にずっと参加してきたオーストラリア 
    防衛「イエスかノーか」の先の議論を 
    臨戦状態にある台湾・韓国 
    コラム1 厳しさを増す安全保障環境 

    第2章 軍事力とは即応力である 
    軍事ランキングは当てにならない 
    構造即応力と運用即応力 
    即応力の質を測る困難さ 
    軍事力のあいまいな部分を抑止力にせよ 
    コラム2 軍事力は測れない 
    予備力のあるロシア、予備力のない日本 
    ネットアセスメントとシナリオプランニング 
    ロシアが短期決戦で勝てなかった理由 
    スポーツと戦争の似ている点、似ていない点 
    交戦のレベルをずらす 
    コラム3 国防計画のきほん

    第3章 テクノロジーの進化、統合運用、戦場の霧 
    C4ISRによる革命的な変化 
    大きく変えた作戦と軍のあり方 
    アイデアの原型はあったが、実行しなかったソ連 
    ハイテク軍事力は模倣される 
    平時と有事の境目がはっきりしないサイバー戦 
    能動的サイバー防御 
    統合運用は重要だが、実践は難しい 
    作戦とドクトリン 
    戦略、作戦、戦術の整合性 
    「戦場の霧」をめぐって 
    AIにどこまでゆだねるか 
    戦争を起こすのは人間だ 
    コラム4 戦争予測はなぜ外れるのか

    第4章 これから何が起きるかーーメインシナリオを考える 
    中国による台湾の海上封鎖 
    中国が「今しかない」と思った時が危ない 
    中国が台湾を海上封鎖したら、米国は助けにいくのか
    海軍力の劣る国にとっては、潜水艦や機雷が重要 
    米中全面戦争が起きたら 
    沖縄と九州の基地へのミサイル攻撃 
    朝鮮有事のメインシナリオーー偶発的事態の後のエスカレーション 
    北朝鮮のミサイルと中国のミサイルの違い 
    朝鮮半島と台湾海峡の「ダブル有事」
    コラム5 北朝鮮の即応力不足と核使用の脅威 

    第5章 では、日本は何をすべきか 
    グレーゾーン事態への準備 
    ポジティブリストをネガティブリストに 
    海上自衛隊と海上保安庁の連携強化を急げ 
    戦略的コミュニケーションの重要性 
    中国の直接侵攻を躊躇させるために 
    日本独自の打撃力 
    足りない住民避難の議論 
    米国の抑止力が信用できなくなる時 
    コラム6 急ピッチで進む中国の軍事近代化 

  • 東2法経図・6F開架:B1/9/522/K

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著者プロフィール

東京大学先端科学技術研究センター准教授。早稲田大学社会科学部、同大学大学院政治学研究科修了(政治学修士)。民間企業勤務、外務省専門分析員、未来工学研究所研究員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所客員研究員、国立国会図書館調査員等を経て2019年に東京大学先端科学技術研究センター特任助教。2023年より現職。
【主要著作】
『オホーツク核要塞――歴史と衛星画像で読み解くロシアの極東軍事戦略(朝日新書943)』(朝日新聞出版、2024年)、『ウクライナ戦争(ちくま新書1697)』(筑摩書房、2023年)、『「帝国」ロシアの地政学――「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(東京堂出版、2019年)など。

「2025年 『北方領土を知るための63章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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