効果検証入門〜正しい比較のための因果推論/計量経済学の基礎

著者 :
  • 技術評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784297111175

作品紹介・あらすじ

ビジネスで利用されるデータの多くは、その施策の意思決定を行う人物や組織の目的にそった活動の延長上で作られています。具体的には、DM送付などの広告施策であれば、担当者はユーザの反応率を上げるために、反応しやすいであろうユーザに対してのみDMを発送します。ここで発生したデータでDMの効果を計る場合、単純にDMを受け取っているか否かで結果を比較することは、DMの効果以外にも意図的にリストされたユーザの興味や関心を含んでしまうことになります。

データが生まれるプロセスに人の意思が関わる場合、単純な集計では判断ミスとなる可能性があります。わずかな計算の狂いでも後々のビジネスにおいて大きな影響を及ぼすことになるため、バイアスのない状態で効果検証できることが望まれるのです。

本書では「単純に比較すると間違った結論に導くデータ」から、より正しい結果を導くための分析手法と考え方を提供します。計量経済学における効果とは何か? を提示し、RCT(ランダム化比較試験)がいかに理想的な方法かを説明し、RCTができない場合でも因果推論を用いてRCTの再現が可能だということを説明していきます。

感想・レビュー・書評

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  • 因果推論入門の好著
    ただ本書だけだと「気持ち」が分からないかも

    「原因と結果」の経済学
    データ分析の力 因果関係に迫る思考法
    岩波データサイエンス Vol.3
    実証分析のための計量経済学
    本書
    実証分析入門 データから「因果関係」を読み解く作法
    政策評価のための因果関係の見つけ方 ランダム化比較試験入門
    調査観察データの統計科学―因果推論・選択バイアス・データ融合
    統計的因果探索

    の順で読むといいかも

  • 1時間の点検読書を行った。この本の事例では企業活動による、マーケティングの効果が本当にあったのか。それとも何もしなくても、その売上は達成できたのかを、思い込みを排して検証する手法を紹介している。

    RCT(*1)の手法などは「貧困と戦う知」で知っていたが、因果分析の具体的な方法について書いてあるのは良い。Rでの自分で確認できるのも良い。

    前述の「貧困と戦う知」でも出てきたが、この因果推論とやった施策の検証は、「政策」とその「効果検証」にも力を発揮する。国の役人のかたで心ある方はすでに勉強を開始しているとも聞く。データに基づく政策というのは、このような知見をもとに国の運営を行うものであり、もっと広く読まれると良いと信じる。

    (*1) Randomized Controlled Trial

  • 丁寧な印象もあると同時に,個人的には文章が読みにくいところがあると感じます。

    例えば,「メール配信の対象を決定する方法が,それぞれのグループの潜在的な購買傾向を考慮するような方法であれば,セレクションバイアスは0にならないでしょう。」(p.17)です。この手の書籍を読む人は,ランダム割り当てくらいは承知しているでしょうから,この文の「考慮」は,「潜在的な購買傾向が偏らないように配慮すること」と解釈すると思います。ところが,その後に続くのが「セレクションバイアスは0にならない」なので,「へ? どういうこと?」となってしまいます。この文章で著者が言いたいのは「対象の決定を購買傾向に基づいて行う方法であれば」なのだといちいち解釈し直さないといけないです。こういう読み方をしなければならない箇所がまあまああります。加えて,「てにをは」が変なところもあったりします。

    でも,トータルとしては良い本だとは思います。引用文献のリストがないのが欠点。

    *****
    …分析者が認知していないようなセレクションバイアスに関しては[因果推論と言えど]減少することはありません。つまり,分析者が事象について洞察力を働かせ,その仮説をもとに分析を進めることが非常に重要です。(p.35)

  • 実際のビジネスシーンに即しながら、できるだけ科学的に正しく、かつ、ビジネス的に意味のある効果測定を行う方法について、理論面、実装面の双方からわかりやすく述べられている。

    この分野は初学者であったが、回帰、傾向スコア、DIDなど、各種手法についての基本的な理解は十分に得られたように思う。
    あとは実践を繰り返して、より理解を深めていきたい。

    この手の書籍では、理論の説明がしやすいような具体例が用いられることがあり、実際のビジネスシーンとの乖離を感じることがある。
    一方本書では、いずれの具体例も、実際のビジネスシーンとの類似度が高いため、実務を想定しながら理解を深めることができた。

  • 評判の良さも納得の本で,原理と実装のバランスが読者層をうまく把握していると思う。実装しようとする人はもちろん,因果推論をとりあえず知っておきたい人にもおすすめできる。

    3章までの理論面については,グラフィカルモデルやバックドア基準などに詳しいPearl本により補完するのがいいだろう。

  • https://cool.obirin.ac.jp/opac/volume/875855

    千駄ヶ谷にもあります

  • 結構難解でしたが、実ビジネスの課題がシッカリ書かれていて実感がこもっていました。あとはRの凄さを垣間見た気がします。

  • 因果推論を使って、正しい意思決定をしよう、という本。そのための考え方やツール、具体的なRの使い方も書いてありますが、自分には少し難しかった。もうちょっと勉強します。

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著者プロフィール

2011年、立教大学経済学部卒業。2013年、ノルウェー経済大学修士課程修了後、サイバーエージェント入社。入社後は広告代理店で広告効果検証等を行い、2015年にアドテクスタジオへ異動。その後は機械学習の応用や、機械学習が使われている状況下でのデータ分析や効果検証を主な業務とする。2016年よりAI Lab経済学グループを設立。2019年よりData Science Center副所長も務める。2022年より主席データサイエンティスト。著書:『効果検証入門』(技術評論社、2020年)『施策デザインのための機械学習入門』(技術評論社、2021年)

「2023年 『因果推論入門〜ミックステープ:基礎から現代的アプローチまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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