護られなかった者たちへ (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 405
感想 : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (477ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299006332

作品紹介・あらすじ

号泣必至!
佐藤健、阿部寛出演!
10月1日映画公開予定の「骨太社会派ヒューマン・ミステリー」ついに文庫化です。

誰もが口を揃えて「人格者」だと言う、仙台市の福祉保険事務所課長・三雲忠勝が、身体を拘束された餓死死体で発見された。
怨恨が理由とは考えにくく、物盗りによる犯行の可能性も低く、捜査は暗礁に乗り上げる。
しかし事件の数日前に、一人の模範囚が出所しており、男は過去に起きたある出来事の関係者を追っているらしい。そして第二の被害者が発見され――。
社会福祉と人々の正義が交差したときに、あなたの脳裏に浮かぶ人物は誰か。

※画像はポスタービジュアルです

感想・レビュー・書評

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  • 中山七里『護られなかった者たちへ』宝島社文庫。

    実は中山七里の熱心な読者ではなく、作品を読むのはこれで4作目になる。佐藤健、阿部寛出演で10月1日映画公開予定の『骨太社会派ヒューマン・ミステリー』の原作である。

    端から見れば社会的な地位もあり、善良そうな公務員と、不遇の人生を歩んだ元囚人の利根勝久のような人間たちのどちらが、底根に善良さを持っているのか……

    タイトルの『護られなかった者たちへ』は近年の社会問題にもなっている生活保護の受給を拒否され、餓死した遠島けいのような人たちと、苫篠誠一郎の家族のように東日本大震災の津波で犠牲になった人たち、そして、もう1つの意味があるようだ。

    生活保護は作中にも描かれているように芸人の親の不正受給や、ヤクザがしのぎとして不正受給を行うケースもあることは報道などでもよく目にする。一方で税金を取るだけ取って、いざ困窮した時に充分な社会保証が提供されないというのは不条理極まりない。健康保険、失業保険、年金にしても支給額は目減りする一方だ。また、最近の新型コロナウイルス感染拡大の第5波を受け、日本政府や東京都は重症者以外は自宅療養の方針を打ち出した。高い健康保険料を徴収しておきながら、国民を見殺しにしようと言うのである。

    本作は、そんな社会保障の不条理を描きつつ、ミステリーとしての面白さも兼ね備えた傑作であろう。

    東日本大震災の甚大な被害から復興しつつある仙台市。職場でも、家庭でも誰からも怨みを買わない善人と言われる仙台市の福祉保険事務所の課長、三雲忠勝が古いアパートの一室で身体を拘束された餓死死体となって発見される。宮城県警捜査一課の苫篠誠一郎らは事件の捜査にあたるが、怨恨や物盗りによる犯行とは考えられず、捜査は暗礁に乗り上げる。

    そんな中、清廉潔白がバッジを付けて歩いていると言われた堅物の県議会議員、城之内猛留が同様の手口で殺害される。城之内は元福祉保険事務所職員で、塩釜福祉保険事務所時代に三雲との接点があった。

    2つの事件の数日前に刑務所から出所した模範囚の利根勝久は、刑務所時代の仲間を頼り、元塩釜福祉保険事務所所長の上崎岳大の所在を探っていた……

    利根勝久が護ろうとしたのは……

    定価858円
    ★★★★★

  • 餓死させられた遺体が発見された事から始まる話

    東日本大震災後の仙台と生活保護とテーマが重い

    再犯するような囚人を養うのも、声の小さな貧者に出し渋るのも同じ税金だ

    この言葉はすごく考えさせられました

    ラストは辛くて、でも温かかったです

  • 今の時代に、とても考えさせられる内容で、最後は驚きもありました。
    仕事柄、私も感じている問題でもあり、またとても切なくて悲しく共感できる内容です。
    もしかしたら自分の周りでも起こる事かもしれないなと思いました。
    難しいかもしれませんが、本当に必要な人だけが生活保護を受けれるようになれば良いとつくづく感じました。



  • 息苦しさを感じながら読みきりました。
    税金の使い道をどう振り分けていくのか。きっと災害復興も福祉も司法矯正も予算が十分に足りるなんて現場はどこにもないのではと思います。
    それはインフラ、教育、医療にとっても同じでしょうし。
    この国に生きる一人としてできることは、選挙権を無駄にしないことなのかな。
    と、考えました。

    ミステリーについては、序盤の笘篠さんと彼の会話と第二の事件が起きた後の二人の会話が違和感で、後半にいくほどそういうことだったのかなと思い至る、ことになりました。
    復讐を遂げるまで警察に嗅ぎ付けられたくなくて、逆恨みの話を出さなかったのかなと。

    初の中山七里さん作品でした。
    最後の対談が興味深かったです!読めてよかった!

  • どんでん返しの帝王、中山七里の作品。
    かなりの作品を読んでるのにまたやられた。そして久しぶりのどんでん返しが最高の読後感だった。
    内容は福祉とくに生保問題で社会派なストーリー展開。
    生保問題は職業柄絡む事が多く、憤りを感じる事が頻回であったが、また知らなかった福祉の別の面を見る事ができてそういう意味でも読んでよかったと思う。
    4.1

  • 中山七里の長編社会派ミステリ、映画化原作。
    拘束したまま餓死させる連続殺人の謎を追う刑事と、容疑者の過去と現在を絡ませながら、事件の顛末を描いています。
    中盤からクライマックスでの展開が気になっての一気読みでしたが・・・ヤラれました、この展開は読めなかった!完全に裏をかかれました(^_^;)
    大満足の一冊、映画化作も楽しみです。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。2009年『さよならドビュッシー』で第8回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞を受賞し、翌年デビュー。以後、ミステリーを軸に精力的な執筆を続けている。近著に『連続殺人鬼カエル男ふたたび』『中山七転八倒』『TAS 特別師弟捜査員』『静おばあちゃんと要介護探偵』など、多数。

「2021年 『文庫 ふたたび嗤う淑女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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