鎌倉うずまき案内所 (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
4.09
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本棚登録 : 6338
感想 : 421
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299014900

作品紹介・あらすじ

『木曜日にはココアを』で第1回宮崎本大賞を受賞し、『お探し物は図書室まで』で本屋大賞にノミネートされた人気作家・青山美智子氏の最新文庫です。主婦向け雑誌の編集部で働く早坂瞬は、取材で訪れた鎌倉で、ふしぎな案内所「鎌倉うずまき案内所」に迷いこんでしまう。そこには双子のおじいさんとなぜかアンモナイトがいて……。YouTuberを目指す息子を改心させたい母親。結婚に悩む女性司書。クラスで孤立したくない中学生。気づけば40歳を過ぎてしまった売れない劇団の脚本家。ひっそりと暮らす古書店の店主。平成の始まりから終わりまでの30年を舞台に、6人の悩める人々を通して語られる、心がほぐれる6つのやさしい物語。最後まで読むと、必ず最初に戻りたくなります。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった~

    最初は短編 と思って油断していたら、連作でどんどんつながる。。
    しかも過去に遡っていくので、あれ?どうだったかな??となるけれど、そこは最後にきちんとフォローされている。
    この構成も素晴らしい。。
    星3つ?4つ?と読み進めていたけれど、読み終わった今 間違いなく星5つ。。。

    もう一度 じっくりと読み返したいと思いました。。
    みんなにおすすめ。。。。

  • 人が抱える悩みは「はぐれましたか?」で当てはまる。時代を遡りながら悩みを解決していく、というかすでに自分で答えを見つけている。それを気づかせてくれるうずまき案内所とても心が穏やかになりました

  • 自分探しの、大人の絵本のような、コージー小説ですね。
    「鎌倉うずまき案内所」がパラドックスになっているので、SFの様相があります。
    2019年から六年毎に遡る短篇連作になっています。
    それぞれの蟠りを抱える六人の物語が、交差しながら物語は逆行します。
    蟠りを解消する不思議な空間が「鎌倉うずまき案内所」ですね。悩み人が思考しながら歩いていると異空間に誘われて、地下に有る「鎌倉うずまき案内所」に導かれます。
    ユーモアたっぷりに、自分の気付いていない内面の苦悩を吐露して、案内人の導きで、何故かアンモナイトが答えのヒントを見いだします(喋らないのですが)。そのやり取りもファンタジーなやり取りで、面白いです。
    最後の1989年「ソフトクリームの巻」で、すべてが繋がりをみせるのですが、「鎌倉うずまき案内所」に降りる螺旋階段のように、巻き戻して読みたくなります。
    青山さんお得意の自分探しの物語が、かなり工夫を凝らした仕掛けで綴られています。
    『はぐれた人びとを導く 6つのうずまき。やさしい奇跡の物語』の帯に偽りはありません。
    心奮わせる、感動の物語ですね。

  • 何かに悩み、はぐれた人びと。
    「気づくこと」で強くなる。

    6つの短編だけど、読み進めていくと、時代が遡っていき、同じ名前の人が出てきて、繋がっていました。
    本の最後には年表が分かりやすく載っています。
    読み終えてから、もう一度最初に戻りたくなります。

    「鎌倉うずまき案内所」の双子のおじいさんとアンモナイト。悩みを打ち明けると外巻さんと内巻さんが、「ナイスうずまき!」と言います。とてもシュールです。最後まで謎に包まれていて、とても不思議な気持ちのまま読み終えました。

    温かくて優しい気持ちになれる物語でした。
    読めて良かったです。

  • 現在から過去へと遡っていく中で、次々と登場人物たちのつながりが判明してきます。
    最後についている年表を見て頭を整理した後に、再び最初から読むと、新たな発見が続々現れて、ニ度楽しめました!

  • 平成を遡行するストーリーに、自分自身が歩んだ道筋も振り返り、あぁ私は平成をまるごと生きたんだって、自信にも繋がる一冊だった。個人的にはプレリュードに憧れたのはもう少し前(昭和)でした。赤も素敵ですが、白が好みだな。
    あのとき、もしも違う選択をしていたらと、ふとよぎるもうひとりの自分、パラレルワールド。たったひとつのことを選んで現在の自分がいる。そのひとつひとつ、
    「一瞬一瞬を逃さず愛せよ」この言葉がとても沁みました。
    舞台は鎌倉。お隣にあるような或いは自分のような、身近な悩みを抱えた人たち。ある共通するアイテムを啓示され真意を探り出す。語りはとても優しいが含蓄のある連作と思いました。正直、連作の持ち味あまりわかってなかった。しかしこのお話は、人との繋がりが迷いを解消する糸口だと、そして努力し続ければ成就するのだと、そこを連作で読み取ることが出来良かった。
    外巻さん内巻さん、所長さんのキャラが面白い。
    人生ってまっすぐな道を歩いていくんじゃなくて、螺旋階段を昇っていくようなもの。お互いの曲線がそっと近づいたり重なったりするときに人は出会い、ぐるぐる回りながら同じ景色を見たりする。世界全体が螺旋なのかもしれない。その感覚は年々分かってきたような気がします。人との縁は大切だと。
    図書館の青山美智子さんのコーナーにいつもあり気になっていた本。いつか読んでね、いつか読みます、と。
    何かに導かれたように思いたって借りた。そして飛び込んできた「はぐれましたか?」の言葉。本の神様っているんかな、とほろっときました。

  • 「はぐれましたか?」
    双子のおじいさんが声をそろえて言う。ここは鎌倉うずまき案内所。
    不思議な路地に迷い込み、たどり着いて
    しまう。どうやら悩みを抱えた人だけを
    引き寄せるのか?
    ここの所長、まんまるい瞳でとても個性的。

    平成時代を遡りながら連なる、六つの話は少しずつ昔へと描かれているのがとても楽しい。
    登場人物も、その人物の成長まで描かれ間違いなく連作で、魅力的に描かれて
    いると思う。

    私は鎌倉に行ったことがない。
    本のなかでは、鶴岡八幡宮、荏柄天神、
    宝戒寺。そして、風水館。これは本の中では風水屋になっている。美味しそうな
    お蕎麦屋さんも載っていて、〝天ぷらそばがたべたいなァ〟と思ってしまう。

    この本でひとつ勉強した。
    それは、大正から昭和に変わった年だ。
    昭和元年は12月25日からだったらしい。なんと短い!昭和という時代は、
    初めも終わりもなんと短いのか・・・・
    若い方々は知識として知り得ているのだろうけど、昭和は64年1月7日までだった。懐かしい・・・・

    まさかとは思うが、平成天皇も鎌倉ヘ行き双子のおじいさんに会い、改元のヒントの相談をしていたのでは?と考えると
    何とも言えず最高だ。
    「ナイス!うずまき」と言われたり、帰りに「困った時のキャンディー」を貰ったり考えるだけで素敵だなぁ、と思ってしまう・・・・。

    2021、10、1
    読了



    • hanaさん
      感想読ませてもらいました。
      この本とても気になっていたので、ゆうママさんの感想が読めて嬉しいです!
      想像以上におもしろそうですね♫
      青山美智...
      感想読ませてもらいました。
      この本とても気になっていたので、ゆうママさんの感想が読めて嬉しいです!
      想像以上におもしろそうですね♫
      青山美智子さんは「木曜日にはココアを」を今図書館で予約中なので、順番が回って来たら次はこちらも読んでみます(^^)
      2021/10/02
    • ポプラ並木さん
      ゆうママさん、読んだよ~ホンワカな内容でしたね。リアリティーがないのですがぶっ飛んだ設定。中途半端感がなく、さらに各章のリンクも面白かったで...
      ゆうママさん、読んだよ~ホンワカな内容でしたね。リアリティーがないのですがぶっ飛んだ設定。中途半端感がなく、さらに各章のリンクも面白かったです。鎌倉に住んでいたので懐かしく思いました。
      2021/10/26
    • アールグレイさん
      どんぐりさん♪
      夜遅くに失礼します!

      鎌倉うずまき・・・・お読みになったのですね★
      あの本はとても良かった!
      双子のお爺さん、まんまる目玉...
      どんぐりさん♪
      夜遅くに失礼します!

      鎌倉うずまき・・・・お読みになったのですね★
      あの本はとても良かった!
      双子のお爺さん、まんまる目玉の所長、帰りにもらうキャンディー。時代を遡ることも素敵でした。

      この度、改名しました。アールグレイです♪よろしく
      ヾ(^_^)
      2022/05/10
  • 「平成が、終わった。」で始まり、「平成が、始まる。」で終わる、平成の30年間を6年づつ遡りながら展開される物語です。
    登場人物が若返って現れますが、1回読んだだけでは誰の若い時なのか、ちゃんと思い出せなかったです。
    最後に付けてくれている年表を頼りに再読しないとうまく繋がらないですね^^;

    昭和64年の物語に登場する浜書房の浜文太は、昭和元年の最初の日に生まれた設定です。
    昭和は64年まであるが、元年と64年は共に7日間しかない。
    「昭和時代っていう本の表紙と裏表紙みたいだね」というセリフに思わず納得してしまいました。

    「その都度の全力の結果、今ここにいる。」は、確かにそうだと思います。
    だけど、本当の気持ちに反した行動による結果の今も受け入れざるを得ないのが現実です。
    孤立したくない中学生の話、「二〇〇一年ト音記号の巻」は、誰もが経験したことのある思春期の心の葛藤が良く描かれていると思いました。
    ト音記号の説明も面白かった♪

    最後の話に出てくる「…固定観念を取っ払うことかな。」は、最近心がけているつもりだったのですが、この作品では黒祖ロイドにしてやられました。
    私自身の固定観念を見透かされたように青山美智子さんにうまく誘導されてしまいました。

  • 進む道に迷った人たちが導かれる 時空を超えた場所。
    それが「鎌倉うずまき案内所」。
    看板につられて螺旋階段を降りていくと
    双子のおじいさんがいて、訪ねてきた人に声をかけます。
    「はぐれましたか?」

    悩みを抱える六人のストーリー。
    一人目は2019年、平成が終わった年。
    最後の六人目は、1989年、昭和が終わったところまで。
    青山美智子さんお得意の 少しずつ話が重なっていく展開。
    ところが、時間が過去へと遡るというだけで、頭がぐるぐる。
    実際に螺旋階段を降りていくように感じます。

    例えば、第一話(2019年)に出てくるフリーライターのノギちゃん。
    鎌倉で修学旅行の中学生の集団を見て「ふにゃっと笑う」のです。
    そのストーリーの中では何の意味もない描写ですが、
    第四話(2001年)を読むと、深い意味があったことに納得。
    そんな伏線があちこちに散りばめられていて
    全部読み終えると、最初から読み直したくなってしまいます。

    話を「鎌倉うずまき案内所」に戻します。
    入り口は閉店した古い時計屋さん。
    不思議なことに、時計がさす時間は さまざまです。
    これって、何かを暗示しているよう…。
    そして、双子のおじいさんを通してお告げをするのは
    生きているアンモナイト!
    おじいさんたちの 意味深発言 もあります。
    「地球に小惑星が衝突したのは昨日のことのよう」

    あったかいお話が 時間をさかのぼって繋がるこの作品。
    最後のストーリーで、妻も子もいない64歳の文太さんが言います。
    「僕は何も残さないまま人生を終わるかもしれない」
    それに対して、文太さんが昔好きだった女性がこんな風に応えます。
    「何かを残すためじゃなくて、
    この一瞬一瞬を生きるために 私たちは生まれてきたんだよ。
    生きるために 生きるんだよ」
    ササ~ッ と、清々しい風が吹くのを感じました。

    • しずくさん
      いいね!をありがとうございました。

      数年前にビブリア古書堂を探して鎌倉を訪れました(笑) 鎌倉を舞台にタイムスリップする映画もあります...
      いいね!をありがとうございました。

      数年前にビブリア古書堂を探して鎌倉を訪れました(笑) 鎌倉を舞台にタイムスリップする映画もありますね。

      >「何かを残すためじゃなくて、
      この一瞬一瞬を生きるために 私たちは生まれてきたんだよ。
      生きるために 生きるんだよ」
      同感です。私もきつい時には今日をとにかく遣り過そう、本来の立ち位置である1匹の生物になろうと思うの。それを何日かつないでいく内にトンネルから抜け出せるのよね。

      いつか読んでみます
      2022/06/13
    • yyさん
      しずくさん

      こちらの方こそ、いつもありがとうございます。
      コメントいただけて嬉しいです。

      ビブリア古書堂を探して鎌倉へ、なんて...
      しずくさん

      こちらの方こそ、いつもありがとうございます。
      コメントいただけて嬉しいです。

      ビブリア古書堂を探して鎌倉へ、なんて素敵☆彡
      私は5月の連休に、例の ”タイムスリップする映画” の坂を
      歩いてきました。
      鎌倉って雰囲気のある良いところですよね。

      しずくさんの「一匹の生物になろう」という表現、謙虚で 沁みる!
      辛い時に思い出して、励ましてもらえそう。
      ありがとうございます。




      2022/06/13
  • 青山美智子さん、三冊目。
    青山さんの作品は絶対癒されるって確信が持てます。
    今回は、双子のおじいさんとアンモナイトが出てきて、何だか不思議の国に迷い込んだような気分です。
    2019年から6年ごとに時代が遡って、1989年の平成の始まりにたどり着くという連作短編で、読んでいる間ずっと頭の中が渦を巻いていました。
    6話とも、迷っている人たちに光の手を差し伸べてくれるような、心温まるお話ばかりでした。

    帯に、「読み終えたあと、必ず最初に戻りたくなる」と書いてありますが、ほんとにその通りで、最初に出てきた人たち、SF作家や、大御所女優や、その他さまざまな人たちの謎めいた部分が解き明かされてきます。
    これ、間違っても後ろから読んじゃだめですね。

    ここに描かれている鎌倉の街並みも風情があって、鎌倉に言ってみたくなりました。

    • m.cafeさん
      たけさん、こんばんは。
      私もこの作品、今まで読んだ青山さんの中で一番好きです!!
      平成の30年を丸々体験して、それを振り返って、余計に感慨深...
      たけさん、こんばんは。
      私もこの作品、今まで読んだ青山さんの中で一番好きです!!
      平成の30年を丸々体験して、それを振り返って、余計に感慨深くなってるのかも知れないです。また読み返したい…
      一緒に感動していただけて、ほんとに嬉しいです!ありがとうございます!
      2021/06/06
    • アールグレイさん
      こんにちは!m.cafeさん!
      お久しぶりです。・・・・昨日から「元彼の遺言状」を読み始めました。
      図書館の予約の順番が、やっと廻ってきまし...
      こんにちは!m.cafeさん!
      お久しぶりです。・・・・昨日から「元彼の遺言状」を読み始めました。
      図書館の予約の順番が、やっと廻ってきました。のっけから、ナンだってと引き込まれています。息子がいつも私の読書をチェックするのですが、今回は取り合いになるかも知れません。
      (!o!)オオ!
      図書館マイページを開くと、次に「ドキュメント」が廻って来そうです。でも、前の人が延滞して返却が遅いと、まだ廻って来ないと思っていた本が来たりします。「鎌倉・・・・」も早く読みたい!家にある本は、図書館本が途切れた時に読んでいます。m.cafeさんはもっと読解力を要する本を読んでいるのではないでしょうか?
      私は図書館派ですが、「いけない」が文庫化されたら、買って手元に置きゆっくり好きなだけ読もうと、文庫化を待っています。mcafeさん、今度タイムラインに上げる予定の本は、何でしょうか?
      楽しみです。
      (’∇’)
      2021/06/16
    • m.cafeさん
      ゆうママさん、お久しぶりです。
      息子さんと本の取り合いなんて…楽しそうですね(^^)
      私は文庫買って読む派なので、好きなものを自分のペースで...
      ゆうママさん、お久しぶりです。
      息子さんと本の取り合いなんて…楽しそうですね(^^)
      私は文庫買って読む派なので、好きなものを自分のペースで楽しんでます(^^♪

      「鎌倉うずまき案内所」良かったですよぉ!(^^)!
      2021/06/16
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著者プロフィール

1970年生まれ、愛知県出身。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。第28 回パレットノベル大賞佳作受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が第1 回宮崎本大賞を受賞。『お探し物は図書室まで』が2021年本屋大賞2位に、『赤と青とエスキース』が2022年本屋大賞2位に選ばれる。他の著書に『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』『月曜日の抹茶カフェ』『マイ・プレゼント』(U-ku氏との共著)『月の立つ林で』など。

「2022年 『ユア・プレゼント』 で使われていた紹介文から引用しています。」

青山美智子の作品

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